【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:利己は悪いことか」から
2015/08/21
2015. 8.14 日経産業新聞の記事「眼光紙背:利己は悪いことか」から
倫理性をどこに求めるのか
コラムの著者は、極論ではあるが、利己を否定しないことが市場を生み、自由競争が生産と消費に過不足ない状態に持っていくとして、日本企業や政治の考え方に異論を唱えている。
○安保関連法案や東芝の不適切会計の根源
自民党の武藤貴也参院議員がツイッターで安保関連法案に反対する学生グループ「SEALDs」を批判したという。
「だって戦争に行きたくないじゃん」との主張は「極端な利己的考え」だという。「国を守るために自己犠牲は尊い」という考えに「殺したくもないし殺されたくもない」という若者たちの主張はどうか。滅私奉公という考えが、人権を上回るか?
翻って資本主義は利己を否定しない。「どうやって競争に勝つか」という利己の集積が「市場」であり、自由競争が生産と消費のブランスをもたらす。利己が生み出す合理性を「金の亡者」と蔑むことは負け惜しみと言われるかもしれない。
この利己を企業の中には否定するところもあるらしい。不適切会計で揺れる東芝だという。歴代社長は「チャレンジしろ」と社員に「滅私」を求めたという。
日本は70年前、若者に「お国のため」に命を投げ出すことを求めた。そして今は「会社のため」に不正を犯すことを求めている。その際に「だって監獄に入りたくないじゃん」と言える社員はいなかったのか。
組織に善悪の判断を委ね、判断に従わない者は「利己的」と切り捨てる。このメンタリティーは倫理性にあまりにも欠いている。