【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑭アルフレッド・チャンドラー」から
2011/09/01
2011.8.31 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑭アルフレッド・チャンドラー」から
チャンドラーの命題の核心は挑戦にあった
コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー ディレクター岸本義之氏が示す今回の人物は、アルフレッド・チャンドラーと彼の導入した戦略論の系譜だ。(▶参考)
先のコラムで紹介したピーター・ドラッカーの著した『創造する経営者』で後に「今日我々が戦略と呼んでいるもに関する本」としたが、アルフレッド・チャンドラーがこれを聞いたら、1962年に著した『経営戦略と組織』こそ最初だと主張するだろうという。
チャンドラーが示したのは「組織は戦略に従う」という命題である。チャンドラーの戦略の定義は、
- 企業の長期目標と目的の決定
- 行動指針の採用
- 目的を達成するために必要な資源配分
とした。これに対して企業は、戦略を達成するために最もふさわしい組織を決めることができると論じた。
チャンドラーの命題に疑問を呈する『エクセレント・カンパニー』の著者の一人 トム・ピーターズは、「どの市場を選ぶのかを決定するのは、長期的には組織構造にある」と主張。現実には、組織と戦略は複雑に絡み合っているとした。
チャンドラーの命題の核心を見落としていると主張するのは『コア・コンピュタンス経営』の著者の一人 ゲイリー・ハメルだ。命題の核心は、新たな挑戦が新たな組織構造を生む点である。ハメルは以下がその事例と言う:
- 企業の大規模化への挑戦→事業部制の導入
- 企業間関係の複雑化への挑戦→連邦型組織の導入
チャンドラーは産業構造の拡大がマネジメント技法の進化をもたらしたとする。いわゆるマネジメントの専門家の必要性だ。ビジネススクールを卒業したMBA(経営学修士)が重用されるようになった。
ドラッガー、チャンドラーについて戦略の研究で有名になったのはイゴール・アンゾフだ。彼はロッキード社での副社長経験から『企業戦略論』を著し、戦略的な意思決定を行う手法を誰にでも使えるようにしたいと考えた。多角化という戦略に関する意思決定手法に重点を置き、シナジー効果(相乗効果)の概念を導入した。チャンドラーは組織と戦略を結び付けたが、アンゾフはシステムをこれらに追加した。これによって戦略策定のプロセスを分析的に行う仕組みを導入しようとした。この考えは米国の大企業で普及したが、「分析麻痺」という弊害ももたらしたという。
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