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2011.4.27  日経産業新聞の記事「ネットのチカラ、第6部震災が変えた(下)」から

大震災でライフライン化したネットの課題は?

コラムでは、大震災でインターネットがライフラインとして機能してきたこと(▶ 参考)を受けて、その死角について語る。

福島県郡山市のシステム開発会社福島コンピュータシステムズ。大震災で本社のサーバーは倒れ、メールは一時不通となったが、取引先データは米国セールスフォース・ドットコム社のデータセンターに保存してあったために無傷であったという。さらに、コラムでは震災後、自社サーバーのデータセンターへの引越し依頼が急増しているという。計画停電の影響と管理コストの削減のためだ。

地震情報、安否確認、ニュース、被災地の現状、顧客や取引先との情報、世界との拠点のメッセージはすべて既存メディアだけでなく、インターネットに集まり全世界がその情報を手にした。新たなライフラインとしての存在を高めた日本のネットであったがその課題も多い。

震災時の混乱で一部の官庁、自治体、インフラ事業のウェブサイトも閲覧が困難となったことを受けて、米国ネットの専門家は、「日本にはアクセスできないサイトが多すぎた」という。アクセス不能の恐怖はまさに、既存のライフラインと同様に死活問題となったからだ。

これまでセキュリティの問題で及び腰であった企業もクラウドコンピューティングへの注目が集まっている。情報の偏在・集中を分散してリスクを低減する効果を目の当たりに見たからだ。

また、メディアの垣根を越えた協力も見られた。ニコニコ動画を運営するニワンゴのNHKへの震災特別番組の配信申し出だ。NHKは震災の特別報道体制の時にはニコニコ動画で同時配信した。

雑誌が震災で定期購読者に届けられない。そこで、これまで違法コピーを恐れて電子書籍化に及び腰だった出版社もこの動きに初めて取り組んだ。

ネットの恩恵は、デジタルデバイドの課題を拡大させたともいえる。高齢者の多い避難所ではネットはほとんど使われていない。ネットを使える人とそうでない人の情報格差を浮き彫りにしたのも今回の大震災だ。

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