【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<再考学び舎>期待高まる哲学どう生かす、違和感のセンスを磨く」から

2024.11.6  日本経済新聞の記事「<再考学び舎>期待高まる哲学どう生かす、違和感のセンスを磨く」から

現場での実践、原点回帰を提唱する哲学者にインタビュー

「正義論」や「存在論」、「現代思想」といった堅い書籍が売れているという。大学生のみならず社会人にも学び直しの機運が広がっているという。だが、最高学府の大学ではこうした要望に十分に応えられていないという。コラムの著者 、鷲田清一氏(哲学者・大阪大学名誉教授)にその課題を聴いた。

○現代社会がアマチュアだらけのプロ集団になっているのが哲学への期待の要因

■鷲田氏にまず、現状をどうみるか尋ねた:

「哲学が急に求められているとは思っていない。」「世界や社会が混乱し、先行きが見えず、不景気になったりすると、人々の関心がしばしば哲学に向かう。」

「時代に翻弄されたり押しつぶされりしないよう、一種の精神的武器として哲学が呼び出される」

「だが、21世紀になって哲学がより強く要請されるようになったのは確かである。」「科学技術や情報システムの発達で、世界がすごい速度で密接に結びつけられ、経済活動や政治をはじめ、たいていのことが世界中を巻き込むことになった。」「日常の暮らしがグローバルで多元的で全体を見通せない問題を抱え込むようになった。」

「科学者も官僚も政治家も専門分化して細部には詳しくても、担当分野以外ではずぶの素人で我々と変わらない。大きな流れを見通して、今やるべき課題に取り組むことができないでいる。」

「変な言い方だが、アマチュアだらけのプロ集団になっている。だから哲学に期待がかかる。」

■哲学はこのような期待に応えているか:

「時代を見通すには、それぞれの学問の根本に哲学がないといけない。だが、実際はそうはなっていない。」

「しかし、頼みの綱の哲学も閉じこもりがちで、細分化が進んで『哲学・学』が主流を占め、期待には応えていない。」「そこで鷲田教授は状況を変えようと努力してきた。」

「研究と哲学とは違う。哲学の原点に帰れと問題を提起した。まず、学者が頭の中で考え出すものではない。介護や教育の現場に行き、人々の生きる上で何が大切にしてきたのか、その哲学を汲み取ることが必要。」

■実践する際の重要なことは何か:

「『臨床哲学』は哲学の専門家が行うのではなく、やるのは現場の人々である。例えばエンジニア自身がエンジニアリングとは何かを深く考えることが臨床哲学で、難しい問題と対峙することになる。」

「すぐに答えが出ない問題を緻密に濃密に考え続ける。」「論理的に考えるのは当然であるが、忘れてはいけないのはセンスである。」「哲学には世の中が変だぞと感じる感受性、おかしな兆候に敏感に反応するアンテナが欠かせない。」

「この違和感があれば、世界の現実について、皆が『当たり前』と考えることに、果たしてそうかと問い返していける。思考の枠組みで初期設定されているので、この『当たり前』を疑うことは難しいがそこに哲学がある。」❓☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「ジョブ型『降格』悩む企業:富士通やパナコネクト、『軟着陸』の工夫、見通しにくい司法判断」から

2024.11.4  日本経済新聞の記事「ジョブ型『降格』悩む企業:富士通やパナコネクト、『軟着陸』の工夫、見通しにくい司法判断」から

未経験な日本企業が多い賃金低下を伴う降格

コラムの著者 礒 哲司氏(日本経済新聞社)は、ジョブ型を導入したパナソニック・コネクトなどを事例に紹介している。人材の流動化で会社と社員を活性化し、競争力を強化することが目的とするのが人事トップの考え方ではあるが、不利益な変更として社員との間に紛争が発生する恐れもあるという。

○配置転換と見るか賃金低下を伴う降格とみるかは判断が困難

磯氏によれば、ジョブ型人事を導入した企業が、社員の「降格」に神経を尖らせているという。これまで日本企業は、賃金の低下を伴う降格をあまり経験してこなかったという。降格された社員が、不利益な変更と受け止め、訴訟を起こす可能性もあるという。導入各社は、降格確定以前に「改善プログラム」を用意し、軋轢の軟着陸を試みている。

パナソニックホールディングス傘下のシステム事業子会社、パナソニックコネクト(東京・中央区)は2022年に同社が発足する際にジョブ型人事を導入した。就業規則にも、降格規定が明記されている。実際、2023年度には上位等級に昇格した社員が約25%いた一方で、降格も1.3%発生しているという。

ジョブ型人事を設計した執行役員は、

「人材の流動化で会社と社員を活性化し、競争力を強化することが目的」

と説明しているという。これまで日本企業は、一般的な職務能力で従業員を評価して賃金体系の基本になる「等級」を決める「職能資格制度(メンバーシップ型)」であった。つまり社内の経歴が職能として蓄積され、基本給は事実上の既得権益として減少することはなかった。だが、ジョブ型ではこの前提がない。ポスト異動による基本給の変動が日常茶飯事となった。

ジョブ型人事を導入する企業は、降格を配置転換の一部とみなしている。しかし、メンバーシップ型になれた社員が同様の考え方であるとは考えにくい。この考え方の際で、訴訟を起こった場合、労働法に詳しい専門家によると、

「裁判所がその人事を単に配置転換とみるか、賃金低下を伴う降格と見るかで判断の考え方が変わる」

という。メンバーシップ型人事の根本的な考え方に、賃金と雇用を定年まで保証する代わりに企業に広範な配置転換命令権を認めるといった考えがある。従業員が身につけた能力は変わらないとされ、等級ダウンによる賃金低下が想定されていない。一方でジョブ型人事は雇用管理上「職務・役割等級制度」と分類されている。労働法務関係者によれば労使間が労働契約段階で合意していれば、企業は配置転換命令で賃金引き下げを伴う降格も可能とする意見もあるという。

ジョブ型の導入は容易くない。だが、先行企業の多くは、労働組合との対話を通じて、運用の懸念を残さないように制度や運用を工夫している。ようやく、日本企業がこれまで経験してこなかった事態に軟着陸することを模索し始めているという。🎋🌿☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『アイデアが出ない』と悩むな」から

2024.11.4   日本経済新聞の記事「私見卓見:『アイデアが出ない』と悩むな」から

先行者がいるのはリーディングカンパニーになれるチャンス

コラムの著者 大林 尚朝氏(アナザーワークス代表)によれば、行政の起業支援や支援機関からのサポートが拡充され、起業しやすい環境が以前以上に整備されてきているという。大林氏も多くの若い起業家やこれから起業したいという大学生から相談を受けるという。こういった相談で多いのは、「起業したいけど、ぼんやりした発想で具体化できない、アイデアが浮かばない」というものである。大林氏は、アイデアの具体化についてヒントを与えている。

○アイデアが出たら実現させるための覚悟を決め、踏み出そう!

大林氏は、ほとんどのアイデアはすでに世の中に出ているということで、起業したい人や新規事業を立ち上げる人は知っておいてほしいという。いくら「日本初」とか「世界初」と言っても、大抵は類似の商品やサービスが展開されている。だからといって、問題かというとそうではないと、大林氏は示唆する。自分が知らなかったということは、まだ当たり前、つまり一般化されていない証拠である。その業界で圧倒的な企業がない状態で、むしろ自らリーディングカンパニーになるチャンスがあることを示していると考えるべきだという。生み出したアイデアに先行者がいるといって諦めてしまうのは、チャンスを自ら逃していることになる。

アイデアを生むためのアプローチは、大林氏によれば2つあるという:

  • プロダクトアウト的発想:「あったらいいな」という発想。このアイデアでは実現するための方法をひたすら考えることにある。あったらいいなが、いつもあるという状態にするためのアイデアを深掘りする。
  • マーケットイン的発想:課題解決を考えるアイデアの出し方。解決しなければならない社会課題をとらえて、そのアプローチで解決するのかを言語化していくことになる。さらに、そのアプローチが必須あるいは必ず必要であるという課題を持ち続けてアイデアを生み出していく方法である。

いずれの方法でも、大林氏によれば、アイデアを絵に描いた餅で終わらせないためには、「ビジネスで絶対にトップを取る」とか「自分が日本の社会構造を変える」といった強い「覚悟」を決めることだという。覚悟とは、起業家自身がその事業領域が好きで、ずっと没頭し、熱中できることであるべきだと大林氏は示唆している。⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>農業は温暖化の加害者か、環境共生型へ戻る契機」から

2024.11.3  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>農業は温暖化の加害者か、環境共生型へ戻る契機」から

温暖化ガスの2割以上が農林業由来

科学者組織である気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界で排出される温暖化ガスの2割以上が農林業由来であるという。さらに、コラムの著者 久保田 啓介氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、農業は少なくとも地球温暖化の観点からは有力な加害者とみなされ、温暖化ガスの大幅な排出削減を迫られているという。その対策として注目されているのがバイオ炭である。

○バイオ炭で大気中のCO2を植物に吸収させて化石燃料の消費の逆過程をとる

久保田氏によれば、国連食糧農業機関(FAO)の報告でも、作物の生産・加工から流通、廃棄までを含む食料システム全体でみると排出量の3割を占めるという。よく知られていることに牛が餌を反芻過程で出すゲップが温暖化ガスのひとつのメタンガスの主要な発生源であると言われている。米作りも水を張った田んぼの土壌中の有機物が分解して発生するメタンは、国内のメタン排出量の4割以上だともいわれている。

現代の農業は機械化が進み、燃料から出るCO2の量も無視できない。工場で加工する化学肥料にもエネルギーを使い、間接的にCO2を排出する。

先進国各国は、農業政策の舵を大きく切りつつあるという。温暖化ガスの排出が少ない農法や飼育法に切り替えたり、農薬や化学肥料の使用を控える動きである。自然本来の復元力を生かすリジェネラティブ(環境再生型)農業が重要だと言われ始めている。その中で世界的に注目されているのが未利用の木や竹、わななどバイオマス(生物資源)を蒸し焼きにして作る「バイオ炭」である。

承知のように植物は大気中のCO2を吸収して成長する。つまりこれを原料としたバイオ炭も炭素を蓄えている。分解しにくく、土壌にすきこむと数百年以上にわたって炭素を保持し固定し続ける。微生物の住処となって土壌を改良し、作物の収量を増やす効果も確認されている。欧州各国ではバイオ炭の普及を政策的に支援している他に、日本国内でも食品・飲料分野の大手製造メーカーや商社が活用の道に乗り出したという。

バイオ炭は、大気中のCO2を植物に吸収させて地中に戻すので、化石燃料の消費と逆の過程を辿ることになる。ここでも地球規模での炭素循環を視野に入れ、農業が環境共生型に戻るきっかけにしたいところだと、久保田氏は示唆している。🎋🌿☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AI、多国間協力に光」から

2024.10.31   日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AI、多国間協力に光」から

インターネットと同様にAIの可能性と安全性は世界の公共財

コラムの著者 イアン・ブレマー氏(米ユーラシア・グループ社長)とマリーチェ・シャーケ氏(元欧州議会議員)によれば、近年、国際的な多国間主義は悉く厳しい状態にあるという。例えば、国際連合の安全保障理事会はロシアによるウクライナ侵略も阻止できず、パレスチナ自治区ガザとレバノンでは停戦もできていないという。国際連合のCOPでも温暖化対策に必要な加盟国の対応を十分に促進できていない。いまだ保護主義が強く、国家連合や経済圏に分断されている状況である。その中で多国間主義で希望が持てる事項としてデジタル技術と人工知能(AI)の世界的統治に関する包括的な枠組みであるグローバル・デジタル・コンパクト(GDC)を採択した。ここでの熱意は、世界中の誰もがAIの恩恵を受けられるようにすることだという。両氏は国連での取り組みについて解説している。

○AIには膨大な需要が存在するが、成長に目を光らせるインフラや仕組みが必要

ブレマー氏とシャーケ氏によれば、国連のグテレス事務総長は約1年前に国際的にAIをどのように統治すれば全人類の役に立つかの意見を求めた。ハイレベル諮問会議を立ち上げ、その報告書をコラムの著者らが執筆して報告した。各大陸から39人のメンバーが選出され、政府や学識経験者、市民団体、テック企業の代表で構成された。そこで、AIに関する国際科学パネルの設置を提言し基本的な承認を得た。

このパネル設置には、気候変動対策を通じて得た教訓がある。AI技術開発の進捗分析という難作業が不可欠で、これをパネルが担い、目標や議論、政策決定の判断材料として政策立案者に中立でかつ事実に基づく根拠情報が提供できることになる。

一部ではなく世界の誰もがAIの恩恵を受けられることを熱望するが故の活動である。共通の知識基盤の構築に加え、あらゆる国やコミュニティーでAIへのアクセスを強化する取り組みを勧告している。中には、国連がこのような統治をAIに行うことやその役割を疑問視する意見もある。国やテック企業が取り組むべき課題も山積しているが、インターネットの利用と同様にAIの可能性や安全性は世界の公共財である。🇺🇳🛜🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01