製品情報

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:人間拡張の原理、メタバースが広げるもの」から

2022.11.18  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:人間拡張の原理、メタバースが広げるもの」から

20世紀メディア論から考察

 コラムの著者 三浦 俊彦氏(中央大学商学部教授)は、人間拡張について論じたマーシャル・マクルーハン著「メディア論 人間の拡張の諸相」(みすず書房)を取り上げ、最先端のメタバース(仮想空間)が人間の何の拡張なのかについて考察している。

◯目、口、耳、手足の拡張の先

 三浦教授によれば、20世紀のメディア論の大家であるマクルーハンで、技術やメディアは人間の身体の拡張だと考えてきたという:

  • 石斧:手の拡張
  • 車輪(自動車、自転車):足の代わり
  • ラジオ:耳の代わり
  • テレビ:目の代わり

と考え、人間の身体能力以上にその能力を拡張してきている。

インターネットは目や耳を拡張し、好きな時に世界の人々と繋がり、世界のニュースがわかり、世界の商品を買えるようになり、空間や時間を拡張した。

時間面は、テレビが放送時間の制約があったが、インターネットでは好きな時間に動画配信サイトなどから視聴できる。またショッピングも店舗の営業時間に無関係にインターネット上で注文ができる。放送時間・営業時間の枠を超えて消費者の行動が24時間行えることになった。

空間面では、初期ではPCのある職場か自宅に限られていたが、携帯電話やスマートフォンが普及すると、身体拡張の地点を広げ、能力を空間的にも広げた。

さらに口の能力をインターネットは拡張した。消費者がネットでの配信ができるメディアを持つようになった。もともとはマスメディアと言われるように企業が所有するものであったが、ブログサイトからYouTubeのチャンネルまでで消費者が所有できるようになった。マクルーハンの口の拡張は同著ではメガホンを例示したが、今はYouTubeなど音量の拡張以上に時空間的に口の能力を拡張した。

今や消費者は、好きな時に、好きなことを、好きな場所から世界に発信できるようになった。さて、今話題のメタバースは何の拡張であろうか。🥩🐮🍫🎍🍄📙📖👚🚗📰✏️🗒🍷💻🏢⚡️📖🎓🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ニッチ市場を攻めるには、諦めずに多様な手を打つ」から

2022.11.11  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ニッチ市場を攻めるには、諦めずに多様な手を打つ」から

販路拡大に単純な広告宣伝では効果なし

 コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)は、前回に引き続きSNSやクラウドファンディングの活用についてニッチ市場での攻め方の事例を示している。

◯西川教授のゼミ生が挑戦

 西川教授によれば、打開策の多さが、ニッチな市場を立ち上げるといい、その事例を自分の研究ゼミの大学生が挑戦した商品企画で示している。

商品企画の挑戦は、企業からのテーマをもとに全国の大学生が商品企画を競う「Sカレ」への応募であった。ゼミ生が応募した商品企画は「ぺらっぷ」である。

ぺらっぷは、ピアノ演奏経験者の94%が抱える「楽譜めくりが大変」という悩みに応える商品であるという。対象が狭い上に電子楽譜の普及という逆風の市場を狙っている。このアイデアは、メーカーから提示された「クリアシート便利グッズ」を受けて学生自らの経験から発想したという。さらに、専門家などの意見を集め、楽器小売り大手の島村楽器(東京都江戸川区)の商品開発者や楽器インストラクターと接触して助言をもらい、めくりやすく改善しながらターゲットをピアノ演奏者に絞った。試作品の評価も好評で、店頭価格300円を提示して、商品化が決定したら同社が仕入れるとの確約を得た。こうした成果から、Sカレでは2021年12月の大会でぷらっぷの商品企画は優勝し、見事商品化の権利を得た。

ところが、最終試作品を元にメーカーが試算すると初期費用がかかり、小ロットでは店頭価格が880円かかり、商品化は遠のいた。さらに、メディアに取材をしてもらい販路拡大を狙ったが、ニッチな悩みに対応したためか共感が得られず、反応もない状態となった。

そこでゼミ生らは自らのSNSで発信しつつ、初期費用を得るためにクラウドファンディングを利用した。クラウドファンディングでの購入や支援の募集で初期費用を得て、結果的に店頭価格を500円まで下げることができた。島村楽器でぺらっぷの正式販売が決定し、2022年9月より首都圏の店舗とオンラインストアで販売を開始した。ニッチな市場でもいろんな手段を使えば、学生でも商品化が可能であると、西川教授は応援している。🎹🥤💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「WAVE:ミトコンドリアに学ぶ」から

2022.11.10   日経産業新聞の記事「WAVE:ミトコンドリアに学ぶ」から

太古の地球に酸素を生み出した藍藻類とミトコンドリアの類似性

コラムの著者 成田 宏紀氏(DCIパートナーズ社長)は、いつものVB投資やビジネスの話から離れて、我々の生物に不可欠な共生について触れている。

○多くの疾病要因となるミトコンドリア異常

 成田氏はコロナ禍で祭りに恵まれず、自宅に飼っていた金魚が死んでいったために金魚鉢が藍藻類で汚れることが気に入らない。だが、藍藻類は光合成によって太古の地球に大量の酸素を供給した、生物の恩人である。藍藻類は、植物の始祖によって細胞内に取り込まれ、光合成を担う葉緑体となり今も細胞内で共生している。植物にとっては太陽光を自らの生命エネルギーに変える重要な生物内の生物であろう。

他の生物の細胞内で共生していて人類の細胞にも存在するものがミトコンドリアである。ミトコンドリアは細胞内で酸素を使ってエネルギーを産生する重要な機能を持つ。つまり生物の語源である「息をするもの」はミトコンドリアが酸素をエネルギーに産生してくれているからである。

厄介なのは酸素で、反応性が高く危険な物質であり、ミトコンドリアがなければ劇物指定の物質である。ミトコンドリアに異常が起こると、エネルギー産生以前に、放射能漏れの如く、活性酸素が細胞を傷つけ、機能不全を起こすことも多い。これが、人類では疾病になり、心血管系、内分泌系、感覚器系、中枢系疾患の原因となる。ミトコンドリア自体が巨大な複合体であるために、病気の原因箇所の特定が難しい。細胞膜の内側でさらに堅牢な膜で覆われており、薬剤も届きにくい。治療薬の開発が難しい標的と言える。

近年そのミトコンドリア自体を治療しようという試みが行われているという。患者自身の健常組織から取り出したミトコンドリアを移植することで治療する試みである。この試みを推進しているスタートアップがルカ・サイエンス社(東京都中央区)である。同社は外部からミトコンドリアを取り込ませ、細胞内のエネルギー産生を改善させる戦略である。広く医薬品として利用できる可能性があるという。💊🌻🌵🌱🐡🐟🩺🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoSalon:鉄道150周年、英国への恩返し」から

2022.10.19  日経産業新聞の記事「TechnoSalon:鉄道150周年、英国への恩返し」から

100年以上経って師匠へ恩返し

2022年で明治5年(1872年)に新橋と横浜を結ぶ鉄道が開通してから150周年となった。コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)によれば、当時の最先端技術国の英国から鉄道技術を取り入れ、その後輸入先の日本が1964年に運行した新幹線で時代遅れの交通機関であったイメージを変えたという。

◯今や脱炭素で注目を浴びる鉄道

 山﨑教授によると、150年前は新橋=横浜間が53分、1日9往復という交通で、英国社製の蒸気機関車を導入したという。第2次世界大戦後、鉄道は自動車や航空機に押され時代遅れの乗り物と考えられていたが、日本の新幹線が1964年に定常運転となることで印象が変わったという。

CO2の排出量は、他の交通機関よりも有利であることから見直されている。1人を1キロメートル運ぶための二酸化炭素排出量は、鉄道で約25グラム、これは、

  • バスの1/3
  • 航空機の1/5
  • 自家用車の1/7

という。また、日本の鉄道技術は、師匠の国である英国に2000年以降輸出するほどにもなった。首都ロンドンと主要都市を結ぶ鉄道が老朽化し、刷新が計画された。だが、鉄道の開祖の英国にはもはや鉄道メーカーはそ存在しない。世界3大メーカーとされるドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルディアを相手に日本の日立製作所が競り勝ったという。

老朽化した鉄道網では難儀なことにさまざまな給電方式が使われている。25kVの交流電化の架線区間もあれば750vの第三軌条から集電する直流電化区間とさらに非電化区間もあって、給電もままならない。日立は、ディーゼル機関の発電ユニットを床下に配置し、給電方式によらず、どの区間も走れるように動力システムを開発した。さらに新幹線で実証済みのアルミ合金による軽量化も図り、車両約1000両を期日内に納品した。技術導入から100年以上かけて師匠の英国にまさに恩返しできた。🚅🚇⚡️💡😷🌍🤖💻🧠🍞🎓✏️🏙🌾🍓😅🏃‍♀️🏠😷🦠❄️🍅📖🔎⚡🌍happy01🇯🇵🇬🇧


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:食料品のネット販売、根強い『現物比較』志向」から 

2022.10.28  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:食料品のネット販売、根強い『現物比較』志向」から

生鮮食品を日常的に食べる日本はマーケティングが複雑

ネットショッピングのシェアが世界的に増加している中で食料品のEC化は世界的にも遅れており、特に日本では顕著だという。コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、その原因を探っている。

○同じ名前、同じ値段でも個体差がある生鮮食品

 横山教授によれば、農産物を対象にした研究では「触りたい」という要求が高い消費者は、農産物のECでの購買時に品質への高い懸念を持つことが知られているという(キューン、リヒター&クレイ 2020年)。世界で食料品のEC化率が高い国はイギリスであるが、それでも8%になるまでに25年以上かかったという。コロナ禍でロックダウンの8週間、15%まで上昇した。日本では、酒類・飲料を含めても2021年で3.8%(経済産業省調査)と低水準であるという。

横山教授の仮説では、日本でEC化率が低い理由を以下のように考えている:

  • 実際に検分して選びたい:
    • 生鮮食品の場合は日常的に消費する日本では実物を見ることは重要で、同一物、同一価格でも個体差があって鮮度や品質を確認する必要がある。
  • ネットと実店舗の利便性の差がそれほど大きくない:
    • 日本国内の食品スーパーやコンビニエンスストアは買い物に便利な立地で、品揃えも豊富であり、開店時間も海外より長い。
  • ECの配送コストを事業者および消費者が抱えきれない:
    • 店から家までの配送は、実店舗では消費者が無料で運び、ECの場合は事業者か消費者が配送費を負担しなければならない。
  • ECと小売店、コンビニエンスストアとの棚サイズが異なるといった課題がある:
    • ECなら商材の大きさはさほど問題にならないが、実店舗の場合は棚の横幅など陳列スペースや置き場所、高さなど複雑なマーケティングが必要となる。

横山教授はこのような日本市場を考えると、ECの絶対的な優位性はなく、実店舗でも消費者のニーズを今の所満たしているようだ。🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵