時事問題

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(3)、予測した未来と異なる現実」から

2024.10.16   日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(3)、予測した未来と異なる現実」から

組織から個人が情報発信できるウェブ2.0の時代

コラムの著者 佐々木裕一氏(東京経済大学教授)は、前回に引き続きソーシャルメディアの歴史を追いながら、まずその光と影について語っている。

○マスメディアの圧倒的な優位性が揺らぐ

佐々木教授によれば、2005年以前はソーシャルメディアはサブカルチャーの扱いが多かったが、ECやインターネット広告などのビジネスチャンスが広がると利用者は増え、コピー型投稿から、マルチメディア(静止画、動画、音声など)が共有される時代に移ったという。

情報配信として絶対的優位性を持っていたマスメディアから企業や組織、コミュニティーが自身のメディアが持てるウェブ1.0に移行し、さらに進化して個人が低コストで情報発信できるというウェブ2.0に移っていった。情報の「個人の時代」が始まったのである。

社会の透明性が上がり、個人が触れることができる情報量が格段に増大したことは佐々木教授によればソーシャルメディアの光の部分だという。そこでは予想された薔薇色の未来ではなく現実は次のような特徴をもったソーシャルメディアであった:

  • 熟議よりも動員: 各国の言語の違いはあるが、かつては個人による冷静な意見の交換やより深い交流が想定されていた。ソーシャルメディアは熟議を通しての、民主的な合意形成の基盤になると考えられていた。しかし、ソーシャルメディアは熟議よりも動員が得意で、スマートフォンが全盛な今は、「瞬間的な動員」となった。まさに2021年の米連邦議会議事堂襲撃事件はその象徴となってしまった。
  • 大衆化と情動:ソーシャルメディアの急速な普及の帰結は、悪意ある者の偏在という事態であった。繰り返し極論を触れ周り、詐欺などの犯罪に巻き込もうとする。さらにソーシャルメディアでは動画の取り扱いが増え、理性よりも情動がより優勢な場と変質した。
  • 経済格差の広がりや政治的主張の対立:ソーシャルメディアは格差の拡大や対立を深める要因となっている。

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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>博士が輝く日本への方策、研究者の専門性生かせ」から

2024.10.13  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>博士が輝く日本への方策、研究者の専門性生かせ」から

学生が不安定な雇用を嫌い博士課程進学を避ける傾向

日本は博士号を持つ人材が活躍しにくいとされているという。コラムの著者 草塩 拓郎氏(日本経済新聞社)によれば、国立大学の法人化で若手研究者の雇用が不安定になり、学生が博士課程への進学を避ける風潮が強まっているという。人口100万人あたりの博士号取得者は2021年に日本は126人、米国や英国、ドイツの4割程度にとどまっているという。欧米では増加傾向であるのに日本は2010年度から4%減少した。草塩氏はその背景について考察している。

○日本の企業や大学が相変わらずゼネラリストを求めることも要因

科学研究や産業の高度化が進むと深い専門性や知識を持つ博士人材の活用は必須だと言われている。草塩氏によれば、文部科学省の科学技術・学術政策研究所が9月に公表した博士課程修了者の仕事に対する満足度調査を分析すると、人材の活かし方が見えるという。

調査では、2012年度に35歳以下で博士課程修了者の企業、大学、行政分野で働く人の仕事に関する満足度を、1年後から6年半後の3時点でサンプリングしている。研究と仕事の内容がどの程度合致しているかを、「強く関連」「やや関連」「関連なし」の3グループに分類した。結果は、研究と仕事の合致が大きいほど、満足度が高いものとなった。

懸念は、調査結果で就職後の時間の経過とともに満足度が下がっていく傾向にあった。博士人材が輝きを失う理由について、調査を行った研究官によると「日本の企業や大学はゼネラリストを育てる傾向が今も強い」と指摘している。年齢を重ね昇進するときに、専門性が高い研究職を離れて管理職に移り、満足度が下がる。欧米のように年齢を重ねても研究者として活躍できる制度が必要だという。

確かに国立大学の法人化で、若手の研究者に任期付きの雇用が広がった。だが不安定な雇用環境は不満を生む可能性もある。今回の調査で、職務の条件についても満足度を見た。任期付きのポストに就いた人の満足度は3年半後で任期の定めがない人よりも13%低かったという。ただし、6年後には有意な差はなかったという。専門性が深められる時間があれば次のポストにつきやすいからだという。

若手の活躍の場を広げるには大学だけでは受け皿が不十分である。経済団体連合会も2月に博士人材の活躍を目指す提言を公表し、専門性を活かすジョブ型雇用の拡大を打ち出した。今後は企業の人材活性がポイントとなろうと、草塩氏はみている。🧬🩻💊👩‍🎓🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『陰謀論』に取り込まれるな」から

2024.10.14   日本経済新聞の記事「私見卓見:『陰謀論』に取り込まれるな」から

批判の矛先を見極め、情報源を見極めよ

「陰謀論」は「一般には知られていない秘密だけれど…」といった、自分たちだけが真実を知っているような言説が飛び交う。科学的な根拠がないものが多く含まれ、反証不可能なことが多く、真偽を見極めるのは難しいとされる。コラムの著者 若宮 和男氏(メタバースクリエーターズ代表)は、陰謀論のついての対応策について語っている。

○意見の同質性は危険

若宮氏によれば、陰謀論には盲信したり、全否定することではなく、適切な距離を持つことが対応策だという。陰謀論の危険性を避けるにはいくつかのポイントがあるという:

  • 批判の矛先を見極めろ
    • 批判自体、自分も含めて批判の対象にする。自己批判を含まない他者批判だけの情報では危険であるという。他社のみを否定すると自分には防衛的な言説となり、結果として「自分は正しい」という自己満足と思い込みで盲信してしまう。
  • 情報源を見極めよ
    • 陰謀論、ゴシップ、スキャンダルが危険な方向に進むのは、情報源が又聞きで1次情報でないことが多い。自分が実体験していないことや、1次情報に当たらず聞き齧った情報だけが1人歩きする。誰かの発言から、自分の考えを補強する一部のみを取り上げて、都合の良い情報に歪曲することもある。
    • 陰謀論が無責任に広がるケースは1次情報でないと自覚して、それを拡散している人がどのくらい1次情報に基づいているのかを注意深く見れば、多くの危険は回避できる。
  • 閉鎖性に注意せよ
    • 心理的に人間は閉鎖空間にいると妄想に陥りやすい傾向にある。閉鎖性は正常な判断を失わせる危険な条件である。エコーチャンバー現象で、自分と同じ意見だけが反射されて繰り返され、増幅される。フォロー、ミュート、ブロックといったSNSでの効能は、情報空間における閉鎖性を助長することがある。
    • ある主張を持つコミュニティーで意見の同質性が高くなったり、異なる意見を聞く耳を持たないと感じたら危険信号である。

VUCAの時代、人間は陰謀論に取り込まれやすいことを意識しておこうと若宮氏は警告している。🛜💬👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:国立公園に訪日客を呼ぼう」から

2024.10.13  日本経済新聞の記事「社説:国立公園に訪日客を呼ぼう」から

オーバーツーリズム対策と地域への経済効果を狙って

社説によれば、日本政府は全国35箇所の国立公園へのインバウンド(訪日外国人)に向けて本格的な呼び込みを始めるという。高級ホテルの誘致などを通じて集客力や満足度を高める方針だという。自然保護と利用を両立させる好循環を生む知恵が必要とされる。

○生物多様性や景観など地域の価値を損なわない配慮が必要

社説によれば、生物多様性や景観など地域の価値を損なわないように留意しながら、訪日観光の魅力を向上させようという日本政府の考えである。今は京都など一部の地域に観光客が集中し、過度な混雑が起こり、いわゆるオーバーツーリズムの社会課題が生まれている。国立公園の活用は、旅先の分散を促し、自然や地方文化を体験する先端的な旅行や観光が期待できる成長分野である。滞在は長めで、消費単価が高くなるために、地域への経済効果は大きいとされる。

前岸田首相も7月に開催した観光立国推進閣僚会議で全ての国立公園で民間企業の活用による魅力向上事業を実施するよう指示していた。期間は国立公園制度100周年の2031年までとした。次政権の石破首相も地方創生を看板政策に掲げ、観光産業は重要な柱であるとの認識は強い。日本の弱点である国際水準の高級ホテル新設や国立公園の一段の活用はその施策として上るだろう。

ただし、課題も山積している。国立公園はもともと手つかずの自然や景観が魅力の源泉である。そこで環境省の計画に、ホテルの立地や設計、周辺のインフラストラクチャー、廃棄物処理で公園の価値を損なわない丁寧な配慮が不可欠である。そこにはホテル新設といったハードウェアだけでなく、環境負荷の少ない移動設備や交通路、移動手段の確保、自然や文化の理解を促す外国語での案内や案内人の育成といったソフトウェアも考慮した、地域の総合力を高めるといった課題がある。保護と利用を両立させる好循環を生む知恵が必要である。🏨🥂🚲🚗♨️🍽️🏕️🥾⛰️🏬✒️📕📗💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:人を動かすスキルを身につけよ」から

2024.10.11   日本経済新聞の記事「私見卓見:人を動かすスキルを身につけよ」から

相手をどれだけ深く理解できるか

コラムの著者 林田 康裕氏(わだちコンサルティング代表取締役)によれば、社会が複雑化し、その中で人(部下)を動かすには指示・指導だけでは難しい状況だという。時代の価値観の差だけでなく、社員の多様性の広がりによって言葉に対する捉え方も多様になっているという。このような捉え方の違いが、価値観の相違が起こる可能性が高くなっていく。林田氏の対応法をみてみよう。

○相手の主体性を見出すこと

林田氏によれば、価値観の相違が齟齬を生むことになり、人を動かすことを阻害してしまう。これを解消するには、「目の前の相手のことをどれだけ深く理解できるか」にかかっているという。しかも、想像だけで、この理解が深まるわけではない。そこで、相手に「問う力」が重要となる。漠然とした問いではなく、相手を理解するために、深く問わねばならない。

相手が理解できれば、相手の中に主体性を見出さねばならない。主体性を見出すには、相手の現在地を把握する必要があるという。だから、問いかけも「今、あなたは何をどのように考え、何を悩んでいるか」といったことを2、3の問いかけで明確になるものではない。

例えば部下に「仕事が面白くないんです」と言われたとしよう。あなたは、「もっと楽しみを見つけていこうよ」などといった助言は部下には何の役にも立たない。そうではなく、「なぜ、仕事が面白くないと思うようになったのか」「何がきっかけでそう思うようになったのか」あるいは「仕事以外で何かあったのか」など、深く、多角的な傾聴が求められるという。

部下や仲間で多様性が広がると、組織内の思考の選択肢はますます増えていく。さらにインターネットなどであらゆる情報が発信されることによって、自らの考え自体も複雑化していく。人を動かすには、動かそうとする以前に、人を理解することが必要だと林田氏は提言している。

また、目の前にいる相手の考えを表現するときに、「〇〇さんはきっと△△だろう」と、「だろう表現」が入っているうちは理解できてはいないという。明確に本人の言葉を通じて、その人の考えを聞き切ることも重要だという。このようなスキルが現代のビジネス社会では必要とされているスキルだと、林田氏は示唆している。💬👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵