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2024.5.9  日本経済新聞の記事「あすへの話題:生きていてよかった」から

誕生肯定は哲学者にとって聳える未踏の絶壁

前回に引き続き、コラムの著者 森岡 正博氏(哲学者)は、誕生肯定である「生まれてきて本当に良かった」とは具体的にどんな気持ちであるのかを、類似した言葉で「生きていて良かった」と対比して考察している。

○「生きていて良かった」と似通っているが対比する対象が異なる

相田みつを氏の作品に「生きていて良かった」という著作がある。この著者のタイトルと誕生肯定の「生まれてきて本当に良かった」と似通っているがかなり違うと、森岡氏は指摘する。

「生きていて良かった」は、そう思う以前に当事者にとって辛く厳しい好ましくない状態が続いていた中で、不意に思ってもいなかったような素晴らしい体験をした時に使われるのが典型的であろう。つまり、死なずに今日まで生きていて良かったと言う感想を持ち、その背景には死ななくて良かった、生き続けて本当に良かったという感慨である。ここでは死ぬことと生き続けることが対比されている。

一方、「生まれてきて本当に良かった」は、多分に比喩的になるが、森岡氏によれば、誕生以前の永遠の無に沈んでいる状態から脱出し、この世に生まれて人生を経験できるようになった状態と言える。この言葉は、生まれる以前と生まれた後の存在を対比している。「生きていて良かった」と対比の対象が異なり、誕生とは無関係である。「生まれてきて本当に良かった」が難しいのは、比喩的にしか語れず、まさに哲学者にとっては聳える未踏の絶壁だと森岡氏は指摘している👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵

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