Previous month:
2017年8 月
Next month:
2017年10 月

2017年9 月

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:次世代通信技術、中国が成果、乏しい支援、遅れる日本」から

2017.9.15   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:次世代通信技術、中国が成果、乏しい支援、遅れる日本」から

中国は宇宙空間を使った世界的な実験に成功

コラムの著者 筒井泉氏(高エネルギー加速器研究機構准教授)は、昨年中国の打ち上げた科学技術実験衛星「墨子」の使命に触れ、この実験が次世代通信の基礎研究となり、遠距離量子通信をリードする可能性が高いことから日本の科学技術が追いついていないことに危惧している。

◯日本の後退要因は研究支援体制の硬直性と消極性の結果

この「墨子」は、中国の上空を毎夜1回通過し、地上の受信基地との間で光子と呼ばれる光の粒子を用いて通信の基礎実験を行うことが使命であるという。高度およそ500キロの軌道にある衛星はと、お互いに1200キロ離れた地上の2つの基地との間で交信する。大気中を潜り抜けてくるほんのわずかな光子を捉えることは至難の技である。しかし、今年の夏、実験チームはこの至難の技を磨き、見事に次々と成果を発表し、世界的にも注目されているという。

どの結果はかなり専門的である;

  • 量子もつれ(エンタングルメント)と呼ばれる量子特有の絆で結ばれた光子2個を、人工衛星「墨子」から別々の地上基地に配送することに成功
  • 量子もつれを多数生成して、2つの基地の間で安全に通信するための暗号鍵を共有することに成功
  • 遠隔地間の量子テレポーテーション(量子状態の別の場所への瞬時の転送)の実証実験に成功

これらの成功で量子力学の有効性を宇宙規模で確認するだけでなく、今後の遠距離の量子情報通信の可能性を切り開く上でも画期的な成果である。実際、中国は近い将来アジアと欧州を結ぶ量子通信網を構築し、最終的には20機の衛星を打ち上げて、宇宙空間での世界的通信網に拡大する計画があるという。

一方、日本の研究支援体制の硬直化と消極性で、このような技術開発に研究費を一気にかける米中との格差がどんどん大きくなっている。国家の将来を見据えて、思い切った科学政策を推進すべき時期であろうと筒井准教授は述べている。⭐️🇯🇵🇺🇸🇨🇳🎓📖⚡️🌍happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:米中貿易摩擦の足音」から

2017.9.14  日経産業新聞の記事「眼光紙背:米中貿易摩擦の足音」から

かつての日米貿易摩擦の再来?

コラムの著者は、最近の国際社会が個人独裁色、国家資本主義色、対外進出を進める中国との折り合いが悪くなっている現状を分析し、米国との貿易摩擦の懸念について語っている。

◯米国の対中貿易赤字は全体の5割、3500億ドルと増加

 コラムの著者は、中国の高度経済成長がこの数字から米国からの巨額の所得移転によって可能であったと推察している。中国は、対米輸出の多くは米国企業による現地生産だと主張している。しかし、外国資本の割合は6割から4割に減ってきている。米国からの輸入で最大品目は半導体であるが、中国国内の「爆投資」と海外企業に公開させた技術の国産化で一気に対外輸出に出ている。

もやは米国も中国の挑戦を容認できない状況となり、トランプ政権もUSTR(米通商代表部)の日米貿易摩擦の立役者ライトハイザー氏を任命し通商法301条に基づいて不正行為の調査を開始している。

日本の電機産業に壊滅的な打撃を与えた日米貿易摩擦が米中間に再燃する可能性も否定できない。🇺🇸🇨🇳⚓️⚡️🌍happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:ロイヤルティ神話、オンライン、もろ刃の剣」から 

2017.9.14 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:ロイヤルティ神話、オンライン、もろ刃の剣」から

顧客関係管理(CRM)の基本命題も疑問の余地あり

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、購買頻度の高い、ロイヤル顧客に関するマーケティングにいくつか疑問を呈している。

○「ロイヤル顧客は企業に継続的に利益をもたらす」という命題は神話か?

 これはマーケティングの世界での命題である。ロイヤル顧客が利益をもたらすのは、主に次のような理由だからとされてきた;

  • 同商品、サービスをリピート購入するだけでなく、利益率の高い補完品や関連品を購入する→客単価と利益が増える
  • 価格弾性力が低く、プレミア分の高い価格を受け入れ、競合他社の販促や低価格訴求になびきにくい
  • 口こみや推奨をしてくれるほか、新規顧客を紹介してくれる可能性が高い
  • 新規顧客に対する既存顧客の取引割合が増える→営業マーケティング費用が劇的に低下する

というありがたい、上得意様だという。この命題を応用したモノがCRMであるが、その後の実証研究では、一般化できない「ロイヤルティ神話」ではないかという指摘がされているという。

高い購買頻度は、ロイヤル顧客の行動の1つであるとされるが、価格弾性力が低いとは限らないという。心酔したブランドなら定価購入もあろうが特殊な事例で、むしろ、価格に敏感で安く買おうというのは珍しくないという。一見客の方が利益率が高い場合がある。

ロイヤル顧客のもたらす経済性は概ね正しいと小野教授はいうが、過度の信じ込み、無理して顧客を維持しようとすると、収益性を危険にさらしかねないという。さらに、オンライン化で比較検討ができる時代では他ブランドにスイッチしやすい。ここでは冷静にデータ分析を行って仮説を立てる必要がありそうだ。✏️👝💴🏥💡⚡️🌍happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: モノプリのエスプリ、顔もほころぶレジの音」から

2017.9. 12    日経産業新聞の記事「風向計: モノプリのエスプリ、顔もほころぶレジの音」から

パッケージデザインは視覚効果だけではなかった!

コラムの著者 竹原 あき子氏(工業デザイナー)は、パリのスーパーマーケット「MONOPRIX(モノプリ)」の経営主体が変わったことで、80年続いたロゴも消し、新しくロゴを設定した効果について触れている。

◯新しいロゴはオタマジャクシ(♪)あるいはコンマ(,)のような丸いかたち

これまでの同社の客層は都会のエリート消費者といったイメージから、経営改革で、浸しみやすい地域に根ざした店を目指すものとなった。その表れがロゴの変更。このコンマ?ロゴと一緒に始まったスローガン「今日もはつらつと」であり、四角いこれまでのMより丸いコンマの親しみやすさで、新しく迎えたい若年層にそなえたようだという。

店頭の看板にコンマが飛び出し、小物のパッケージデザインまで変わった。例えば文房具のスティックのりには、白い筒に「のり、10g、水で洗える」とあり、あとはコンマのロゴマークの列。最下部に、モノプリの商品名、企業名、所在地、簡単な使い方だけといった最低限の表示だけという。

ただ、同種類の商品を出す競合他社のパッケージとは明らかに一線を画している。さらに、レジでバーコードを読み解きの音が、「ピー」ではなく、牛乳なら「モー」、卵だったら「コッコー」といったユーモアたっぷりの音が聞こえるという仕掛けである。

単純にレジで支払いをするだけだったのが、お客様も店員の笑顔になるという。買い物を楽しくするパッケージデザインは、視覚だけでなく音にもあったという驚きだ。🇫🇷♫👛⚡️💡🌍happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:明治時代のイノベーター」から

2017.9.12  日経産業新聞の記事「眼光紙背:明治時代のイノベーター」から

明治維新時のイノベーターの活躍

コラムの著者は、「ムーンショット」という米国のアポロ計画時に生まれた言葉が、当時若かった研究者や技術者が培ったテクノロジーはその後に大きな産業構造の変革に役立ったと述べている。

◯日本に必要なイノベーターの活躍

コラムの著者は、このムーンショットが明治時代の維新期にあり、大隈重信、笠井順八、岩崎弥太郎、高峰譲吉らの当時30歳代で悪戦苦闘しながら近代産業を生み出したという。

もともと、ムーンショットは、月面着陸を達成しようと米国が1960年代に推進した「アポロ計画」から生まれた言葉である。乗り越えねばならない課題は山積するが、実現すれば非常に大きな影響力の大きい、壮大な挑戦を指すようになった。計画は成功し、肯定的に使われている。

アポロ計画も明治時代の近代産業の誕生も若手の研究者や技術者が悪戦苦闘したことが原動力となり、個人の活躍する余地は今以上であったかもしれない。確かに明治政府はその後殖産興業から富国強兵といったベクトルに導いた責任は大きいが、殖産興業のイノベーターは今も必要な人材であろう。🇯🇵🌙🚀⚡️🌍happy01