【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:カートリッジ回収箱、全国の郵便局とタッグ」から
2016/08/09
2016.8.4 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:カートリッジ回収箱、全国の郵便局とタッグ」から
インターネット時代でもすべてがネットで完結するわけではない
コラムの著者 三浦 俊彦教授(中央大学商学部)は、プリンターメーカー5社と日本郵便が運営する「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」に着目し、その成功事例について述べている。
○Win−Winの関係を構築
ブラザー工業、キヤノン、デル、セイコーエプソン、日本HPのプリンターメーカー5社が共同で日本郵便の郵便局を拠点に使用済みインクカートリッジを回収し、再資源化を推進するリサイクル活動として、このインクカートリッジ里帰りプロジェクト」を進めている。
もともと1社単独で回収しきれなかったことを5社共同で進めることと、郵便局という絶大な経営資源を生かし、環境活動の拠点としての活動は社会的な価値を上げる。
まず、全国の郵便局などに回収箱を設置し、2008年から着手、集まった使用済みカートリッジは「ゆうパック」で仕分け拠点に送られ、プリンターメーカーごとに仕分けされる。仕分けたカートリッジは、各メーカーに「ゆうパック」で送られ、リサイクルされる仕掛けだ。
回収箱は全国約3600カ所の郵便局、全国の自治体の支所や市民センターなどに置かれ、2015年では340万個の使用済みカートリッジを回収し、126トンの二酸化炭素削減効果を実現した。
一方、プリンターメーカーにとってインクカートリッジは、レザー・ブレード(カミソリの刃)商法と呼ばれ、プリンター本体の価格を抑え、消耗交換品(替刃、この場合はカートリッジ)で儲ける戦略である。ただ、唯一の問題が使用済みのカートリッジの回収で環境問題につながることである。それをこのプロジェクトは競合他社も共同で問題にあたることで解決した。また、日本郵便も全国の郵便局の経営資源をうまく活用し、「ゆうパック」で実利も上がる。プリンターの利用者もリサイクルでECOに貢献することになる。
すべてがネット上で解決しそうだが、リアルの場も含め大きな流れでエコシステムをつくることも重要だ。
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