【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:標準物質、10年で250種整備」から
2013/10/20
2013.10.18 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:標準物質、10年で250種整備」」から
人間の五感に感じない放射性物資の分析にも
コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)は、物質の計測の基本となる標準物質についてその重要性と日本の取り組みについて触れている。
○標準物質とは
物質の濃度や成分分析の基準となり、結果の正しさを保証するものが標準物質であるという。
【身近な例】
血液検査の成分分析、車検の際に測定する排ガスの分析値などの信頼性に関わるのが標準物質である。こう考えると非常に重要な物質であるにも関わらず、社会の認識は低いという。
【標準物質の利用は】
標準物質は成分、濃度などが安定で、公的機関で成分などの値付けが行われ認証された物質である。化学分析装置や計測機器の校正に利用する。純粋な物質だけでなく、成分や構成比が安定な混合物もあるという。
○標準物質の安定供給
校正などで利用された標準物質は、使用後の成分の変化を嫌って再利用しない。つまり、電圧や質量の標準は校正操作で変化しないために、繰り返し使えるが、標準物質は消費されることになる。となれば、消費を伴うことから継続的な供給体制が必要となる。物質の種類は非常に多いので、標準物質の整備と供給が課題となる。
2001年立案された知的基盤整備計画では、特に整備の遅れていた標準物質の強化が図られた。10年までに250種の整備が計画された。
整備に従事した産総研などの関係者の努力で、この目標は達成され、計画立案当時、最も最先端であった米国の国立標準技術研究所(NIST)のレベルに近づいたという。
○新しいタイプの標準物質のニーズ
東日本大震災後ニーズが高まったのは、五感に感じない低レベルの放射線の計測に使う際の標準物質である。特に経口での食品での汚染状況を計測するためであるという。計測した分析値の信頼性を保証するにも標準物質は欠かせない。このように標準物質への理解が進めば、分析への信頼が高まり、無用な不安が解消できると山﨑教授は指摘する。
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