【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「名経営者に学ぶ仕事術⑨:金川千尋氏の巻」から
2013/02/05
2013.1.31 日経産業新聞の記事「名経営者に学ぶ仕事術⑨:金川千尋氏の巻」から
M&Aの成功の裏には
コラムの著者 吉田勝昭氏(日本ケミファ元専務)は、信越化学工業会長の金川千尋氏の側近で、元常務 金児昭氏の著書から「目指すべきM&A」について紹介している。
○M&Aの功罪
吉田氏はM&Aの功罪として、
- 功:新市場の開拓や新技術の取得といった事業展開の加速ができる
- 罪:買収した咳が離反し、資金を浪費するだけになる。有能な人材を退職させたり、優良な取引先を失う
を挙げている。会社の経営方針や風土をすり合わせが苦労の種であるという。
○金川千尋氏の手法
塩化ビニール樹脂では世界の首位である信越化学工業の会長 金子千尋氏は、M&Aを会社の成長にうまく生かした名経営者である。塩ビパイプ大手の米ロビンテックと合弁会社の米シンテックを作り、その後、同社を完全子会社にして、塩ビ製造で世界一の会社にした。シンテックは本社の信越化学の大黒柱になっている。
金川氏はM&Aを行う際に、「敵対的M&Aは絶対にやらない」と決めていたと、金児氏は述べている。シンテックの取引先や従業員との信頼関係を気付く努力を金川氏は怠らなかった。誠実に話し合い業務の継続を銀行や取引先と確認。従業員には「解雇は絶対しない」と強調したという。
さらに、合弁解消の相手先であるロビンテックからも厚い信頼を得ていた。完全子会社にした際のシンテックの販売にロビンテックのナンバー2 エド・エルジン氏が支援してくれたという。この時の様子を金川氏は『私の履歴書』で次のように語っている。
「資本関係が切れてからもしばらくロビンテックはシンテックの大口顧客だったのである。エルジンさんのオフィスを訊ねて雑談していると、彼は最後に鉛筆をなめなめ、貨車で数台分の塩化ビニールの大口注文をくれた。エルジンさんとは夫婦ぐるみで長いお付き合いとなった」(2006年5月22日)
金川氏はその後シンテックの社長ともなり同社の成長を加速させる。
○企業の本当の強み
吉田氏は、企業の本当の強みは財務諸表だけでないと指摘する。事業の将来性、経営者と従業員の質、ブランド、特許、銀行を含む取引先との信用などがあり、企業の資源は多岐にわたる。金川氏はシンテックの経営が安定するように買収前に経営資源をしっかり把握して、周到に手をうった点である。
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