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2012.12.20  日経産業新聞の記事「名経営者に学ぶ仕事術⑤:本田宗一郎氏の巻」から

需要の読みで事前に生産調整

コラムの著者 吉田勝昭氏(日本ケミファ元専務)は、ホンダ創業者の本田宗一郎氏の『私の履歴書』から安定供給の確保、すなわち必要な時の生産調整のヒントを紹介している。

【本田宗一郎氏の市場動向の読み】

ホンダ創業後、二輪から四輪自動車への進出時期と、日本では岩戸景気と東京オリンピックの狭間の期間景気がかなり悪化した時期が一致した。吉田氏は、本田氏のこの時の市場動向の読みが重要だという。本田氏はすでに景気後退が深刻化する1年以上も前に生産調整を断行した。

『私の履歴書』経済人6で本田氏は、

ドル防衛で米国経済が変調を来たして日本にも影響しそうな気配があり、(中略)正月にかけての大雪で日本中の3分の2が交通マヒを起こした。そんなこんなで売れ行きがかんばしくなかった。そこでこんなときにこそ生産調整すればいいんじゃないかと考えた」

 

と語っている。寒さの残る2月に操業をストップすると取引先に先行きへの不安を抱かせるので、暖かい季節に向かって、景気が良くなりそうなムードになる3月に生産調整を断行した。5日間の調整を設定して約1カ月の実施計画を立てた。

○生産調整で浮かび上がった課題を逆手に

ホンダも急成長の中で生産設備や部品の調達で課題が目立つ状態になっていた。ちょうど生産調整時は、社員全員でその棚卸と対策を立てる時期とした。反ってこれが、生産を再開する時に、以前より品質を上げ、低コストで製造できる状態となれた。世の中では岩戸景気の後半で増産を行う企業が多いために、ホンダは生産を停止しても取引先からはクレームは全くなかったという。

危機回避への決断のタイミングと実行力の差が企業にとって致命的なことになりかねない。本田氏のトップとしての判断と実力は卓越していた。happy01

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