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2012.11.29  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:マーケティングへの期待」から

コスト低減ではなくパフォーマンス向上で「高くても買いたい」提案に

コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、研究者と実務家の協働を目指して設立された「日本マーケティング学会(石井淳藏会長)」の第1回設立記念大会の講演「マーケティングへの期待」(加護野忠男神戸大学名誉教授(経営学))に触れ、日本企業の戦略の転換について解説している。

○利益率の低さとコストパフォーマンス戦略が軸の今の日本企業

三浦教授が指摘するのは、講演から日本企業が利益率が低くコストパフォーマンスの高さを武器にグローバル化してきた歴史を省みると、利益率の改善と高価格ブランドの育成が不可欠で「ものを高く売る」ことを期待する点である。

経営学とマーケティングは発想が表裏一体で共に19世紀後半に生まれた学問である。企業の生産(モノ9、財務(カネ)、人事(ヒト)を如何に効率よくコストを下げて管理する「内部管理」のアプローチを取ったのが経営学である。これに対して、顧客のニーズに合わせる「外部適応」がマーケティングの基本であるという。

今までの日本のモノ作りは、同じパフォーマンスのクルマやテレビを生産管理でより低コストで作る戦略であった。つまり、内部管理の経営学の得意技であったため、利益率の低さを招き、電機などで象徴されるように大きな赤字となった。

高度経済成長期であればこの戦略は意味をもったが、成熟期には発想の転換が必要であると三浦教授は語る。コストを下げることではなく、パフォーマンス自体を高めに創造して「高くても買いたい」というモノを提案することになる。これはビジネス戦略のパラダイムシフトに他ならない。高く売るという挑戦的な課題に対して研究者と実務家のコラボが重要だと三浦教授は指摘している。happy01

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