【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:ブランド認知力」から
2012/11/04
2012.11.1 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:ブランド認知力」から
持っても使える松坂牛
コラムの著者 高岡美佳氏(立教大学経営学部教授)が取り上げるのは、高級和牛として海外にも有名な松坂牛とかばんのコラボについてである。
【大手かばんメーカーのエース(東京・渋谷)の企画】
同社が9月下旬に発売した「松坂レザーバック」が話題を集めているという。松坂牛に素材を限定して仕入れ、タンナー(製革業者)になめしを委託し、素材・加工・縫製のすべてを国内で手掛ける、『メード・イン・ジャパン』の鞄である。
企画のきっかけは、イタリアでの調査に「メード・イン・ジャパンのバックをイタリアで販売するにはどうすれば良いか」に対するものに「日本と言えば『マツサカビーフ』」という回答が多かったからだという。
そこで同社のマーケティング部の森川泉氏は、松坂牛を素材とすることを検討し始めた。
【技術課題を克服した西岡製革所(兵庫県・たつの市)】
実現には2つの課題があった:
①通常の北米牛に比べ油分が3倍多い:なめしの段階では油分を巧くコントロールしなければならない。
試行錯誤の結果、西岡製革所は松坂レザーを制作。
②限定された松坂牛での製作:通常はなめし過程後の素材を利用するが、それでは松坂牛の素材は少ない。
バック素材用に松坂牛600頭の原皮を直接購入して製革所になめしを委託した。ただし、天然の原皮は品質にバラツキがあり、通常は選んで鞄にできるが、今回は選んではできないため、「スムースレザー」「シュリンクレザー」「エンボスレザー」という、皮の表情と価格のことなる3ラインを設定した。
ブランドの認知力をバッグに転用しようとする着想と、それを成し遂げる企画は見事だと、西岡教授は称賛している。メード・イン・ジャパンの成功を期待したい。
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