【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:生命科学発展の要諦、高い視点と広い視野」から
2012/08/05
2012.7.31 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:生命科学発展の要諦、高い視点と広い視野」から
展望なき意見ではなく、研究開発には戦略的発想が必要
コラムの著者 和田昭允氏(東京大学名誉教授)は、一部の無理解な専門家に対して憤りを感じながら、今や世界の第一線をリードする生命科学には、高い視点と広い視野の戦略的発想が必要と説いている。
○展望なき意見に憤り
和田教授は、東大理学部物理学教室に生物物理研究室を開設した人物。70年代からDNAの遺伝情報の大量解読に苦心した。結果として、81年に和田教授が主宰する国家プロジェクト「DNA高速自動解析」が動き始めた。その時、医学畑の専門家から、
- 「あなたの研究は技術だ。科学をやれ」
- 「そんなものを作るぐらいなら、俺に予算をよこせ」
- 「人が手でやれるのに、ねんで機械ににやらせるのだ」
- 「機械は解析の名人にかなわない」
- 「解析の一部分だけ速くしても意味がない」
など、散々足を引っ張られたという。将来に何の展望もない意見である。
○戦略的発想の必要性
自動化による精度向上は、機械が得意な繰り返し操作を複数で行うことで達成。名人技では、昼夜兼行で作業はできない。さらに、複雑な解析工程を全体から一斉に速くすることはできない。しかし、一部を速くすることで、残りの部分の開発意欲があがるという開発戦略であった。すでに先進的な技術を得た国では、このような開発戦略を取っていた。さらに、このような日本の戦略的発想の欠如によって、20年後に遺伝情報大量解析時代の到来が来るとも思っていなかった。すなわち、生命科学を推進するには、和田教授が指摘するように、狭い生物学ではなく、高位の視点と広い視野をもったシステム構築戦略が不可欠である。そこは、数少ない、日本が得意とする科学技術の総力を挙げられる未開地である。
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