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2012.7.10   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:エネルギー政策、進むべき道の議論を」から

じっくり討議後に国民の進路を判断

コラムの著者 渡辺慎介氏(学校法人関東学院常任理事)は、とてつもない質量欠損のエネルギー変換が原子力技術であることを解説しながら、東日本大震災後の原子力発電への検討をどうすべきかを提案している。

○アイシュタインが発表した特殊相対性理論に由来するエネルギー

E=mc2

物体はその質量mに光速cの平方をかけたエネルギーEをもつ。これがアインシュタインが1905年に特殊相対性理論として発表した方程式である。これはとてつもないエネルギーを予言していた。当時は、質量からエネルギーを取り出す手段が知られていなかった。20世紀後半、原子核同士が反応する際に、反応後の質量が、反応前の質量よりも小さければ質量の一部が失われる。すなわち、質量欠損だ。この欠損した質量分が膨大なエネルギーを生むことになる。

重いウランの分裂、軽い水素の融合などのエネルギー放出を伴う核反応を、核分裂、核融合と呼ぶが、石油などの化石燃料には及ばない桁違いのエネルギーを出す。原子力発電はこの核分裂を利用する複雑なシステムであり、一般的にいえば完成された技術である。

○安全神話

政府も電力業界も、安全神話を唱えてきたが、脆くも東日本大震災で崩れ去った。福島第一原子力発電所については、老朽化や地震・津波に対する想定の甘さなど、様々な指摘も実は事故までに指摘されていたようである。同じ津波を受けても、東北電力女川原子力発電所は、冷温停止に成功している。元副所長の先見の明とされる、海抜14.8メートルに原子炉を設置した差があった。

事故で原子力発電所への信頼は揺らいでいるのは事実だ。存続か、削減か、あるいは全廃か。渡辺氏は、国の政策や経済の進路、ひいては国民一人一人の生活スタイルにも関わるこの問題をここで十分に議論してはどうか、と提案している。そののちに国民投票で進むべき道を選ぶことで、日本の新しい進路の決定論になるのではないかとも示唆している。happy01

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