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2012.5.31  日経産業新聞の記事「眼光紙背:技術流出防止は良識に委ねるか」から

属人的な企業情報をどう守るか

コラムの筆者が取り上げているのは、知的財産分野での新日本製鉄と韓国ポスコの電磁鋼板に関する裁判である。

電磁鋼板の技術が新日鉄からポスコに流れたと、不正競争防止法に基づいてポスコを新日鉄は訴えた。新日鉄側の見解では、不正は時間を欠け組織的に行われたという。秘密を漏らしたとされる元社員A氏は、技術分野では部長クラスまでつとめ、70歳を超えている。他の故人を含む複数のOBがこれに関係したとされる。ポスコが周到に学会などで各人に接触して報酬を渡したとみており、訴訟は拡がる可能性もあるという。

電磁鋼板は数十年をかけたコア技術として新日鉄では虎の子の技術とされ、製造設備のありかも限定された役員しか知らないとされる。A氏らは退職後秘密保持の義務を契約で負っていた。

不正の証拠は発見しにくく、今回は漏洩した秘密に関する資料が確保できたために裁判に持ち込めたという。

多くの企業が企業の内部資料や機密に対してアクセス制限をしたりするが、退職後の元技術者を追跡調査することは困難を極めるという。結局、良識と元会社への忠誠心に期待するだけだが、リストラや再編で、良識に委ねるのも危うくなっている。

政府の知的財産戦略本部(本部長・野田首相)が企業の技術流出防止策を来春までにまとめると決めたが、期待できるだろうか?happy01

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