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2012.3.14   日経産業新聞の記事「眼光紙背:3万円のTV、8万円のヘッドホン」から

チャンネル権なき後、TV事業の危機は続く

コラムの筆者は、国内TV事業の各社の読み違えを消費者のニーズの読み違えにあるとみている。

○1インチ1万円がプライスリーダと考えたメーカーの誤算

かつて電機大手の社長は『1インチ1万円を最初に切ったメーカーが勝つ』と語り、巨大なテレビ工場を立ち上げたが、いまや、1インチ1000円を切り、値下げ競争はそこがない状態である。相場を読み違えた各社はれて日事業の大赤字にあえいでいるという。

○値下げの要因は外国勢ではない

海外勢のシェアが1%未満のTV事業。昨今、韓国の勢いを思い浮かべるが、このシェアからみると価格破壊の「破壊者」ではないという。本当の要因は、消費者がTVに価値を見出していないというもの。いわゆる、ニーズの縮小という最大の危機である。

これを裏付けるように、最新モデルのTVを販売する同じECサイトでも、8万円もするヘッドホンなど、従来は、音響機器の付属品にすぎなかった製品が売れ筋である。その背景に、スマートフォンや音楽携帯端末の人気があり、消費者の「良い音で聴きたい」というニーズに応えている。さらに、TVは「映ればよい」と割り切り、余分な出費はしない。一方で、ヘッドホンは高額であっても「良い音」を求める消費者が見え隠れする。

テレビは家電の王様であったのは過日であり、家族で「チャンネル権」を争った姿はもうない。このニーズの読みをどう変えるかがTV事業の未来である。tv

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