【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「『スカイツリー』完成、そびえ立つ技術の『広告塔』」から
2012/03/05
2012.3.1 日経産業新聞の記事「『スカイツリー』完成、そびえ立つ技術の『広告塔』」から
世界一の高さは世界一の技術から
コラムの著者 山根昭氏は、2月29日に完成した東京スカイツリーに多くの世界トップクラスの技術のまさに広告塔であると解説する。
【東京スカイツリーが採用した新技術】
- ゲイン塔の円形鋼管(神戸製鋼所・佐々木製罐工業):高強度鋼板を特殊なプレス機で加工し、強風でも耐震性を失わない円形鋼管を共同開発。
- ゲイン塔のリフトアップ工法(大林組):本体の工事と並行にゲイン塔(突端の部分)をスカイツリー本体の内部の地上で組み上げた後に引き上げて設置。工期を大幅に短縮。
- 氷雪の落下防止設備(日建設計・大林組):2つの展望台の屋上に設置して、雪や氷を溶かし、排水として処理。
- 「心柱」による制震構造(日建設計・大林組):木造建築の五重塔を支える「心柱」を応用し、中央部の鉄筋コンクリート製の円筒を設置。外周部とは別の構造となる心柱によって地震発生時に重しとして働き、揺れを抑制する。
- オールLEDのライトアップシステム(パナソニック):1995台のLED照明を一括管理制御してゲイン塔を照らす。
- 外周部の新型鋼管(新日本製鉄):強度を50%向上させた厚鋼板を素材から開発。鋼管に加工して、外周部の柱に設置。
- 地域冷暖房システム(新菱冷熱工業、大林組、大成建設など):大容量の水蓄熱槽に冷水や温水を蓄積。電力量をピーク時に5割削減可能。
- ナックル・ウォール工法(大林組):突起の付いた杭を基礎地盤に打ち込み、スカイツリー全体の構造を安定化。
この他に、クレーンでつり上げた鋼材を安定して運ぶ「スカイジャスター」など新技術の金字塔である。
世界一高い634メートルのタワーは、ニッポンの技術力の高さを発信する「広告塔」の役目も担っているという。スカイツリー自身、日本一注目される建設現場であったことから、コスト面では震災や後期のずれ、追加工事めぐる交渉など多くの問題に直面したプロジェクトであったが、広告宣伝効果は数十億円に上るとも言われている。
東京スカイツリーで培った技術を海外などにアピールして、震災復興以外に明るい材料が乏しい建設業界にどう広告塔を立てるかが課題だという。
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