【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:エピソード記憶」から
2011/11/24
2011.11.17 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:エピソード記憶」から
時間の流れが速い時代こそ、過去のエピソードが力を持つ
コラムの著者 中央大学商学部の三浦俊彦教授は、地域おこしとして成功している大分県国東半島にある豊後高田市を例にエピソード・ブランディングについて解説している。
豊後高田市の取り組みは、「昭和の町」というコンセプトで地元商店街が2001年に昭和の風情や街並みをてこに活性化を行った事例である。(▶参考)この事例は、江戸克栄氏(文化学園大学准教授)が提案した「エピソード・ブランディング」の概念で行ったものである。この概念は、認知科学で取り上げる「エピソード記憶」に原点があるという。
認知科学では人間の記憶は、意味記憶とエピソード記憶があるという。エピソード記憶は、意味記憶に時間軸が入った記憶である。
- 意味記憶の例:法隆寺
- 世界最古の木造建築
- 奈良にある
- (暗記科目的で共通概念)
- エピソード記憶の例:
- 今年の初詣に彼女と行った寺
- (個人的なエピソードが詰まった特別な意味のある記憶)
これを応用すると、個人的なエピソードが多く見受けられる昭和という時代の記憶を「昭和の町」としてブランディングしたといえる。40歳以上にはノスタルジーがあり、その時代を知らない若者には、貧しくてもどこか温かい、日本人の心の故郷のいうな感覚えるのだという。意味記憶のような記号的な論理ではなく、こころに通じるところがミソであろう。(同様に映画「三丁目の夕日」が若者に支持されている現象もある。)
エピソード・ブランディングには、①生活者が持つエピソードを基礎にブランディングする、②生活者にエピソードを作らせる方法があるという。特に②は小売りやサービス業では有効で、レストランにおける誕生日サービス、鉄道のスタンプラリー、スーパーでの親子料理教室など、生活者に思い出やエピソードを新規に創ってもらい、そのブランドへのエンゲージメントをあげる方法などがある。
時間に追われている現代では、反って個人的記憶で生活者の心の中に深く刻まれているエピソードに的を絞ったブランディングは有効だと、三浦氏は語る。
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