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2011.9.5   日経産業新聞の特集記事「強い大学:第8部稼ぐ力を磨く(上)」から

私大の学費戦略が問われる時代に

コラムでは、慶応義塾大学を軸に、私立大学の学費戦略について解説している。日本私立学校振興・共済事業団によると、私立大学の収入に占める学納金の比率は、09年度で77.2%となっているようだ。学費収入が、私立大学の経営を支えている実態を示している。

慶大では、3万人近い学生の7割が首都圏出身者。景気低迷を受けて、優秀な学生も「地元に近い国公立大学を選ぶ傾向にあるという。ここに同大学の危機感がある。同大学の施策として新設の「学問のすゝめ奨学金」を設定。地域別の奨学金制度で年60万円で計107人に支給、授業料80万円の約8割が賄えるという。このような奨学金制度を導入するのも、親や学生に直接訴求できる費用面のメリットを示し、全国から優秀な人材を取り込もうという考えだ。奨学金を契機に全国の高校が改めて同大学に興味を示し、継続的に優秀な学生を集めれば経営基盤が安定するといった考えである。

さらに値下げ最大33%と学費の大幅な引き下げを考えている大学もある。北海道北広島市の道都大学だ。値下げにより、3~4年後に入学定員を満たし増収効果を考える動きである。

機械的に物価スライドでの値上げによる学費戦略では、他大学との競争に勝てず、将来の経営基盤も厳しくなる。こういった傾向から、今後も学生像や大学の方針と連動した学費戦略が不可欠になろう。

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