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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『擦り合わせ』の力、衰えていないか」から

2011.6.21  日経産業新聞の記事「眼光紙背:『擦り合わせ』の力、衰えていないか」から

システム構築力の基礎は「擦り合わせ」から

コラムは、福島第一原子力発電所で進められている汚染水処理システムについて手厳しい意見だ。さらに言えば、日本のシステム構築に「擦り合わせ」を始めとする原動力の衰えを心配している。

汚染水処理システムは、油分離や塩分除去の淡水化装置(日本製)、セシウム吸着装置(米キュリオン社製)、ストロンチウム除去装置(仏アレバ社製)の持ち寄り技術で成り立ってる。試運転段階で米社製の装置から水漏れやポンプの不具合が見つかり、修理して本格稼働後も急激に放射線量が増え、システム停止となった。

問題は、装置の故障が1つでもあればシステムとして不完全であり、今回の汚染水処理ができないということだ。個別の装置がOKであっても、最適な組み合わせを見出す日本が得意とする「擦り合わせ」に抜かりがあったのではないか、という見方だ。

これは原発問題ではあるが、産業全体として、機器単体ではなく、付加価値のあるシステムとして海外市場にでる場合も同じ問題に直面する。現場の作業者の知恵と技術者の擦り合わせを武器にした日本の産業構造をもっと昇華しなければならないというのだ。国際競争力は原発問題という違った形で捉える必要もありそうだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:3か2か1か0か」から

2011.6.24  日経産業新聞の記事「眼光紙背:3か2か1か0か」から

業界再編の適正数は

コラムの数字は、米国でハーバードビジネススクールプレスより刊行された「World 3.0: Global Prosperity and How to Achieve It」(▶参照)からの話題である。コラムの著者は、同著作より、「米ボストンコンサルティンググループの創始者ブルース・ヘンダーソンは1970年代『3の法則』を唱え、企業人に衝撃を与えた」という。主要プレーヤの数は3社が上限という説で、ビッグスリーが登場した時点で再編は完了したという見方だ。

同様に81年にGEのジャック・ウエルチ会長(当時)は「業界1位か2位でないと事業継続の意味はない」と宣言。その後リストラの嵐が吹いた。ITブームの90年代には、勝者総取り競争と言われ、2位以下もダメという。オンリーワン企業である必要があるという。OSのマイクロソフト、CPUのインテルなどがそうだという。

さらに1より小さいとなればOだが、薄型テレビを例にとると、コスト競争で第1位のサムソン電子でさえ、儲かっていない状況を指すのかもしれない。つまり、全員負け組の「ゼロ」説も真実味があるのでは?というのがコラムの意見だ。

ただ、この説にも弱点があると思う。再編を許す原動力は、独占的な企業の製品やサービスに対する顧客の信頼だ。独占しているからといって品質や価格、配送と言った価値で落としたり、遅らせたりすれば、一気に市場は他業界からの新規参入を望むからである。0社の次は、新規参入の企業による、乱立かもしれない。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「会議を変える勘所⑪:予定調和打ち破る」より

2011.6.23  日経産業新聞の記事「会議を変える勘所⑪:予定調和打ち破る」から

ビジネスキャンプで会議の転地効果を活用

  コラムの著者、JTB法人東京 取締役 大塚雅樹氏は、同じメンバーで、知らず知らずに予定調和となってしまうことを打破するために、「ビジネスキャンプ」を勧めている。

予定調和を打破するために、非日常的な空間に一度移って、創造的な議論を重ねる”オフサイト会議”や”ビジネスキャンプ”を提唱している。旅行の効果としてストレスを受けると出るホルモンの一種「コルチゾール」を抑え、快感をつかさどる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促すといわれている。この効果をビジネスにも活用しようというわけだ。大塚氏が失敗しない”オフサイト会議”について以下の3つをポイントとして挙げている:

  • 開放性:リラックスで5感を刺激する場所を選ぼう。都心のビジネスホテルでは効果が低い。
  • 創造性:創造力をかきたてる議題を選ぼう。事業の方向性や新商品の開発と言った、出席者の創造性をかきたてるものを選ぶ。
  • 再現性:結論を名付けてわすれないようにする。オフサイトでの高揚した気持ちを棚上げするのではなく、会社に戻っても活用できるように、キャッチフレーズや場所の名称等を付ける。例えば、富士山の見えるホテルでの議論で一定の方向性が出たら、その結論に「富士山ビジョン」といった名称をつけること。名付けの効果は参加者の当事者意識を残す効果がある。

さて、引きこもり会議を脱却して、ビジネスキャンプを楽しみながら結果を出すのも良い方向性だhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑥エルトン・メイヨー」から

2011.6.22   日経産業新聞の記事マネジメントの肖像⑥エルトン・メイヨー」から

効率化の源泉は労働者の人間性にあり

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー岸本義之ディレクターが示す今回の人物は、エルトン・メイヨー だ。(▶参照) Image

これまで、テイラーは仕事を発見し、フォードは大規模な生産の発見、スローンは、仕事の組織化を発見した。しかし、仕事をする人間を発見していなかった。この発見は、画期的と言われる研究のためにハーバード大学に補助金が下り、集められたメンバーがこれに注目した。オーストラリア人のエルトン・メイヤーである。

メイヤーは、後に著名な実験となるウェスタン・エレクトリックのホーソン工場(米国イリノイ州)で行った「ホーソン実験」を主導した。最初、照明の明るさによる生産性の比較実験などを行ったが、照明による変化で効率は変わらず、具体的な要因が見つからない。研究チームは少人数の労働者を選抜して実験をおこなったが、実はここに落とし穴があった。選ばれた労働者は選抜され特別であるという「感情」を持つことで、チームは一体感を持ち、結果として作業効率を上げたのだ。

つまり、人々はある一定の期間、「同じ釜の飯を喰う」と一体感が生まれ、固有の文化を形成し、派閥で代表されるような階層化が起こることを発見した。つまり、仕事の効率は、人間の同僚と協力しながら継続的に仕事がしたいという欲求と感情によるものであった。テイラーやフォード、スローンが求めた科学的管理法に一石を投じ、人間性を重視するマネジメント手法がうまれたのもこれ以降であった。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の特集記事「強い大学:第7部閉塞破る学生を(下)」から

2011.6.22  日経産業新聞の特集記事「強い大学:第7部閉塞破る学生を(下)」から

地域に求められる「県民大学」への脱皮

コラムでは、鳥取環境大学の「公設民営」から「公立化」で、鳥取県に望まれていた経済学部の地域重視の事例を皮切りに、最初に公立化を行った高知工科大学、北九州市立大学、静岡産業大学などの取り組みを紹介している。

「公設民営」の経営の弱点は、多くの学生候補を地域に求めたのに、地域産業や社会が求める人財を育てる戦略の欠如であった。地元の中小企業が望む経営者のサポート人財が不足しているにも関わらず、応えてこなかった。経済学部の創設は、地元の望みであり、地域経済の活性化につながるとの戦略だ。国際的な経営にも注視し、交易拡大に携われる人財の育成にも貢献する。

公立化の切り札は、実は授業料の引き下げにある。原資を県等の自治体が負担する運営費で補助するからである。運営費は国の交付税で賄えるという。

鳥取の取り組みは、多くの地方での課題に対する解決法の1つでしかない。地元産業と大学の還流を見据えた戦略立案が肝心だろう。