【ヒット商品】ネタ出しの会 4. 実行編 ヒット商品ネタを実現する8つのトレーニング②インタビュー結果を分析しよう!
2010/06/16
聞くではなく、聴く!
陥りやすいインタビューは、ギブ・アンド・テイク(give and take)がないことです。Give、つまり、情報を相手にあたえ価値を感じてもらうこと。Takeは、相手から価値ある情報を得ること。Taka and takeになってはいませんか。たとえ、相手が業界に通じた専門家でも、素人の視点で見たときに気付きがある場合もあります。専門家も人間ですから既成概念で見ているかもしれません。つまり、インタビューはあくまでもgive and takeのコミュニケーションなのです。その信頼の中で、得られた意見や批判、疑問には真っ向から取り組まねばなりません。
批判的な意見は聴き辛いものです。しかし、一歩引いて考えると、その意見にはいくつかの商品仮説の弱点や既成概念で作られた部分を含んでいる場合があります。また、前提条件自身が、専門家から見れば、稀なことかもしれないからです。
QCDを明確にしよう
想定顧客インタビューを進めていくと、いくつかの気付きがありませんか。
- 口を揃えて、指摘される事項がある
- 顧客が日常感じている問題点である場合にでる傾向です。言い換えれば、問題点を解決できれば大きな需要が見込めるとも言えます
-
「○○だったら、検討したのに」と言われた
- 仮説の前提条件が、顧客のニーズと差がある場合ですね。顧客が想定しているQ(Quality 品質)、C(コスト Cost、価格)、D(Delivery 納期)の3つが異なっている場合にでることばです。
-
「ウチでは○○だから、この商品だと取り上げられない」と言われた
ビジネスモデルが想定と異なる場合にでる意見です。ビジネスモデルは、商品やサービスを提供する場合、どうやって対価を得るかを示すものですが、インタビューした相手の位置付けが、想定した仮説と異なっていることを示します。例えば、インタビューの相手がエンドユーザで、商品を仲介業者経由で卸して販売する場合、このような意見がでることもあります。自分にとっての直接顧客はあくまでも仲介業者となります。エンドユーザに意見を聴くなら、「今は取り上げられないかもしれませんが、直接お買い求めできるとして意見をお伺いしたい」と切り返す方法もあります。
商品カタログとインタビューの資料で得たフィードバックで、仮説が大きく変わる場合もあります。早速修正をしましょう。
エキスパートインタビュー結果を分析しよう
エキスパートから聴いた参入業界の状況や変化、動向を活かして、商品展開を再検討しましょう。特に重要なのは将来の動向です。新商品は、参入する業界側で既存顧客を持っているという点では不利ですが、新たな顧客や既存業界が「しがらみ」でできない部分を攻めることができるという点で有利です。動向を見極めて、商品を提供する相手とタイミング、商品の差別化ポイントであるQCDを明確にしておきましょう。
将来の動向は、顧客の要求がどれくらいかをする手掛かりでもあります。今は満足していないで購入しているのか、もう基本的な機能には満足して購入しているのかといったレベルです。また、顧客の中には、想定しない利用法や応用を知って購入する場合があります。これも新しいアイデアに結びつくヒントが隠されています。
例えば、天日干し用の吊るし網という商品があります。干物を手軽に作れるという三段網です。本来は、干物ようですが、乾燥させる対象を広げて、衣類や食器といった用途にも使えます(もちろん、干物と一緒というわけではありません)。アウトドアなど食器を使った後の乾燥にはとても重宝です。まったく構造が同じで、アウトドア専門メーカーも目をつけたのか、同様の商品を出しています。セーターなど拡げて干せるので、皺になりにくいことから部屋干用に購入している人もいます。このように、利用者側の工夫で、新しい用途を生み出すこともあり、それがヒット商品になる場合もあります。干し網の場合は、第3章で述べた上位概念として「自然乾燥を行う」ことで用途が広がったわけです。
では、プラクティスに進んで、インタビューの結果を活かし、商品アイデアをブラシュアップしましょう。
コメント