事例

【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:国立公園に訪日客を呼ぼう」から

2024.10.13  日本経済新聞の記事「社説:国立公園に訪日客を呼ぼう」から

オーバーツーリズム対策と地域への経済効果を狙って

社説によれば、日本政府は全国35箇所の国立公園へのインバウンド(訪日外国人)に向けて本格的な呼び込みを始めるという。高級ホテルの誘致などを通じて集客力や満足度を高める方針だという。自然保護と利用を両立させる好循環を生む知恵が必要とされる。

○生物多様性や景観など地域の価値を損なわない配慮が必要

社説によれば、生物多様性や景観など地域の価値を損なわないように留意しながら、訪日観光の魅力を向上させようという日本政府の考えである。今は京都など一部の地域に観光客が集中し、過度な混雑が起こり、いわゆるオーバーツーリズムの社会課題が生まれている。国立公園の活用は、旅先の分散を促し、自然や地方文化を体験する先端的な旅行や観光が期待できる成長分野である。滞在は長めで、消費単価が高くなるために、地域への経済効果は大きいとされる。

前岸田首相も7月に開催した観光立国推進閣僚会議で全ての国立公園で民間企業の活用による魅力向上事業を実施するよう指示していた。期間は国立公園制度100周年の2031年までとした。次政権の石破首相も地方創生を看板政策に掲げ、観光産業は重要な柱であるとの認識は強い。日本の弱点である国際水準の高級ホテル新設や国立公園の一段の活用はその施策として上るだろう。

ただし、課題も山積している。国立公園はもともと手つかずの自然や景観が魅力の源泉である。そこで環境省の計画に、ホテルの立地や設計、周辺のインフラストラクチャー、廃棄物処理で公園の価値を損なわない丁寧な配慮が不可欠である。そこにはホテル新設といったハードウェアだけでなく、環境負荷の少ない移動設備や交通路、移動手段の確保、自然や文化の理解を促す外国語での案内や案内人の育成といったソフトウェアも考慮した、地域の総合力を高めるといった課題がある。保護と利用を両立させる好循環を生む知恵が必要である。🏨🥂🚲🚗♨️🍽️🏕️🥾⛰️🏬✒️📕📗💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(1)、ビジネスの可能性で急拡大」から

2024.10.11   日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(1)、ビジネスの可能性で急拡大」から

利用者が増えれば増えるほどサービスの価値が上がるビジネスモデル

コラムの著者 佐々木裕一氏(東京経済大学教授)は、ソーシャルメディアの歴史を振り返りながら「情報」の観点から課題を明らかにし、ソーシャルメディアとの接し方について考察していく。この連載では、最初にソーシャルメディアの定義、その歴史を紐解いていく。

○「グリー」やmixiがSNSの転機となる

佐々木教授によれば、統計データ企業スタティスタ(ドイツ)による世界のソーシャルメディアの利用者は2023年時点で49億人だとされているという。このうち日本は1億600万人で、インターネットの利用者のほとんどが、ソーシャルメディアを利用しているという。

佐々木教授は、ソーシャルメディアを「ユーザーがコンテンツを共有、交流し、コミュニティーの形成を可能にするアプリケーション」とこの連載では定義している。YouTubeや個人間のやり取りが基本のLINEもソーシャルメディアと考える。SNS(交流サイト)はその1部で、ユーザーのプロフィールをもとにユーザーの人間関係が辿れるものである。ソーシャルメディアには米メタのFacebookやインスタグラム、X(旧Twitter)も含まれる。

日本では、1995年以降、インターネットの利用が拡大し、投稿をする個人も増えた。21世紀初頭にはユーザーが生み出すコンテンツを扱うUGM(User Generated Media)という言葉も生まれた。Blogなどがその例である。

「ソーシャルメディア」という言葉は2010年ごろから使われ始め、UGM時代の情報発信者は300万人程度の小規模であった。仲間内の交流意識で、検索エンジンで検索され、誰かに届けられれば良いといった漠然とした「公有」意識が強かった。1999年に誕生したネット掲示板サービスの「2ちゃんねる」も、利用者同志をフォローする機能はなかった。

SNSで革新的であったのが「グリー」とmixiで、2004年に誕生し、いずれも海外のビジネスモデルを参考に、ネットビジネスに挑戦する起業家が出てきた。2006年以降、利用者が増えれば増えるほどサービスの価値が増大する、ネットワーク効果のビジネスモデルが意識され、日本国内では、mixiが2010年2000万人の会員数を突破して、SNSの勝者となった。🛜💬📱👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:人を動かすスキルを身につけよ」から

2024.10.11   日本経済新聞の記事「私見卓見:人を動かすスキルを身につけよ」から

相手をどれだけ深く理解できるか

コラムの著者 林田 康裕氏(わだちコンサルティング代表取締役)によれば、社会が複雑化し、その中で人(部下)を動かすには指示・指導だけでは難しい状況だという。時代の価値観の差だけでなく、社員の多様性の広がりによって言葉に対する捉え方も多様になっているという。このような捉え方の違いが、価値観の相違が起こる可能性が高くなっていく。林田氏の対応法をみてみよう。

○相手の主体性を見出すこと

林田氏によれば、価値観の相違が齟齬を生むことになり、人を動かすことを阻害してしまう。これを解消するには、「目の前の相手のことをどれだけ深く理解できるか」にかかっているという。しかも、想像だけで、この理解が深まるわけではない。そこで、相手に「問う力」が重要となる。漠然とした問いではなく、相手を理解するために、深く問わねばならない。

相手が理解できれば、相手の中に主体性を見出さねばならない。主体性を見出すには、相手の現在地を把握する必要があるという。だから、問いかけも「今、あなたは何をどのように考え、何を悩んでいるか」といったことを2、3の問いかけで明確になるものではない。

例えば部下に「仕事が面白くないんです」と言われたとしよう。あなたは、「もっと楽しみを見つけていこうよ」などといった助言は部下には何の役にも立たない。そうではなく、「なぜ、仕事が面白くないと思うようになったのか」「何がきっかけでそう思うようになったのか」あるいは「仕事以外で何かあったのか」など、深く、多角的な傾聴が求められるという。

部下や仲間で多様性が広がると、組織内の思考の選択肢はますます増えていく。さらにインターネットなどであらゆる情報が発信されることによって、自らの考え自体も複雑化していく。人を動かすには、動かそうとする以前に、人を理解することが必要だと林田氏は提言している。

また、目の前にいる相手の考えを表現するときに、「〇〇さんはきっと△△だろう」と、「だろう表現」が入っているうちは理解できてはいないという。明確に本人の言葉を通じて、その人の考えを聞き切ることも重要だという。このようなスキルが現代のビジネス社会では必要とされているスキルだと、林田氏は示唆している。💬👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:オープンAI、営利化の不安」から

2024.10.10   日本経済新聞の記事「Deep Insight:オープンAI、営利化の不安」から

法人の起源は非営利にある

こう説くのは経済学者として資本主義や会社について研究考察し、多くの著作を著した岩井 克人東京大学名誉教授である。コラムの著者 村山 恵一氏(日本経済新聞社 コメンテーター)は、岩井克人教授が心配する生成AIでお馴染みのオープンAIについて解説している。

○非営利と営利は水と油ではなく連続性がある

村山氏によれば、岩井教授は「イノベーションを成功させて持続させるには、どこかで必ず非営利的な要素がいる」と考えているという。その実例が米Googleだという。同社の出発点も非営利的であった:

  • ミッション:「世界中の情報を整理し、だれでもアクセス可能にする」
  • モッチー:「邪悪になるな」
  • 従業員の創造性を引き出す、非金銭的なインセンティブ:社会的尊敬、文化的環境、就業時間の20%を自由に使えるルール

以前より、リスクマネーを確保するために上場したが、種類株によって創業者が圧倒的な議決権を握っている。短期視点の利益追求を追う株主に解雇されない安心感を従業員に与えた。経営理念など非金銭的な目標が従業員を長期的な視野で研究開発に向かわせた。その結果は、検索分野で首位で、資本主義の評価でも群を抜いた大成功をもたらした。

オープンAIも1995年に非営利団体(NPO)として発足した。「人類全体のためになるデジタル知能を進化させる」ことを高らかに宣言した。2019年、営利的な要素を取り入れ、ハイブリッド組織となったが、利益配分に制限をつけ非営利性をぎりぎりで保った!つまり、Google流のインセンティブで従業員を奮い立たせ、ChatGPTの実現となった。

岩井教授はこの後のオープンAIの動きが不安だという。そこには資本主義社会の歴史を左右しかねない課題を含んでいるという。つまり、

  • 産業革命後:産業資本主義が世界を席巻。大規模な機械設備に投資し、労働者を安価で大量に雇って利潤を得るビジネスモデルであった。
  • ポスト産業資本主義:1070年代以降、創造的な人材が牽引するイノベーションで利潤を上げるビジネスモデル。勝ちの中心が人間が必要となる。
  • AIは学習するデータ量が多ければ多いほど性能が高まる「スケーリング則」が働く。開発やサービス提供には莫大なコンピュータパワーと電力が不可欠で、大きな設備投資を必要とする。これは以前の産業資本主義の再来となる。

このようにオープンAIの行方は、営利と非営利のバランスをどうとれば革新的な企業となれるのかという資本主義の普遍的なテーマを浮き上がらせてきた。🚀💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「デンシバSpotlight:広がるプライバシー保護技術、AIのビジネス活用で注目」から

2024.10.7  日本経済新聞の記事「デンシバSpotlight:広がるプライバシー保護技術、AIのビジネス活用で注目」から

AIのビジネス活用で顧客の属性情報や購買・移動などのデータが必要

コラムの著者である吉川和輝氏(日本経済新聞社 編集委員)は、医療サービス、金融サービスやマーケティングなどの分野でAIのビジネスへの活用が進むにつれ、扱うデータに応じて個人のプライバシーへの配慮が必ず必要になっており、残念ながら日本企業は欧米に比べてこうしたデータに対応する技術の導入が遅れていると語っている。プライバシー保護に配慮した技術は「プライバシーテック」や「プライバシー強化技術(PETs)」と呼ばれているという。吉川氏は現在使われているPETsについて解説している。

○日本企業でも秘密計算やゼロ知識証明などを研究開発

吉川氏によれば、個人データの「収集」「保管」「分析」「活用」の各段階で、様々なタイプのプライバシーテックが使われているという:

  • データの「収集」:早くから「匿名化・仮名化」の技術は普及している。個人の特定ができないように、仮名に変えたり、年齢を「20代」のように加工したり、データの特徴を維持したまま擬似的にデータを生成する「合成データ」という技術も使われる。
  • データの「集計・分析」:患者の医療情報や遺伝情報をもとに病気のリスクを予測するAIや、顧客の投資履歴や財務状況をもとにAIが金融商品を推奨するサービスでプライバシー保護が考慮される。集計時にノイズを加えたり、「差分プライバシー」といった手法が使われる。
  • データの「分析」:データを非開示で秘匿化したまま統計分析やAIによる機械学習ができるのが、「秘密計算」技術である。この分野には日本企業が早くから研究開発を進め、NECやNTTがリードしている。
  • 最近注目されているプライバシーテック:相手に追加情報を与えることなく、主張の真実性だけを証明する「ゼロ知識証明」という技術。正しいパスワードを持っていることを、パスワードを開示せずに証明したり、マイナンバーカードの個人情報をすべて開示しなくても、年齢だけを確認できたりできる。中でも安全性が高いとされるのは、「リセット可能統計的ゼロ知識アーギュメント」と呼ばれる技術である。NTTではこれまで実用化に課題があったが、これを解消したとの発表が9月にあったという。

これからプライバシーテックを適時利用しながら、様々な分野のサービスを活用する時代になると、吉川氏は予想している。💡♿️👨👩🔍🏢💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵