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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『公正な移行』、EUを参考に」から

2024.11.19   日本経済新聞の記事「私見卓見:『公正な移行』、EUを参考に」から

EUではすでに基金などをもとに支援実行フェーズ

来るべき脱炭素社会への移行を考えると、労働者や産業、地域経済への負の影響が出てくる。国際的にも2015年に採択されたパリ協定でも「公正な移行が不可欠」と記載され重要視されている。コラムの著者 栂野 裕貴氏(日本総合研究所 調査部研究員)は、欧州連合(EU)の状況をもとに、日本での公正な移行の進め方について提言している。

○日本企業にもGXの重要性は理解できるが、自治体などの実行支援が後手

栂野氏によれば、すでにEUでは「公正な移行メカニズム」を導入し、中核の「公正な移行基金」を設立して現在175億ユーロ以上となっているという。この基金は、域内の企業や労働者の資金供給となり

  • 中小企業の事業転換支援
  • 中小企業の研究開発支援
  • 労働者向け支援:リスキリング

が対象になっている。EUの移行メカニズムには次のような特徴があるという:

  • 脱炭素移行に伴う悪影響を強く受ける東ヨーロッパへの資金配分が大きい
    •   東欧には産炭地域が多いため、石炭需要の減少の影響が大きい。
  • 移行に対する課題や目標の達成に必要な事業を記した「公正な移行計画」を各地域が作成。欧州委員会による審査を受ける。審査を通じて、各地域の実情に即した支援が可能となる。
  • 地域に対する情報提供や能力開発の支援もある
    • 欧州委員会は申請に必要な情報や優良な事例をウェブで公開。各地域の公的機関や企業の計画遂行能力の強化に向けて専門家も派遣。

日本も欧州も脱炭素社会への移行は必須である。日本企業も産業構造の転換が不可欠であり、公正な移行への取り組みが必要である。しかし、現実は十分とは言えないと栂野氏は指摘している。特に中小企業は依然として少数にとどまり、多くの中小企業が資金・人材・ノウハウなどの支援を必要としている。さらに伴走型の支援が重要で、企業が立地する地方自治体に大きな役割が期待されているが、対応に限界がある。日本政府はEUを手本に脱炭素移行の悪影響が大きい地方自治体に的を絞って、移行計画や情報提供の強化、資金支援などで公正な移行の後押しをすべきと、栂野氏は指摘している。💨⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵💶


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「『AI作曲家』に疑念:『人間離れ』の著作権登録、市場ゆがめる」から

2024.11.18  日本経済新聞の記事「『AI作曲家』に疑念:『人間離れ』の著作権登録、市場ゆがめる」から

日本音楽著作権協会(JASRAC)では「著作者が自分の作品と保証すれば受け付ける」

音楽業界で生成AIによる作品を自分が作ったと偽る「AIゴーストライター」への疑念が広がっているという。コラムの著者 瀬川 奈都子氏(日本経済新聞社 編集委員)は、不適切なAI利用は、本来は創作者に配分されるべき収益を侵食し、流通する作品全体の質をさげるとみている。また、専門家の間では、著作権法の見直しが議論になっていると言う。AIの生成物を著作物とみなせないところに違反条項が適用されないためである。新技術が法律との間でどう解釈されるか、また創作物の世界を生成AIが荒らしまくることを防御することも考えなばならないと指摘している。

○日本政府は「AIが自律的に作ったものには著作権は生じない」と知的財産戦略本部が整理

瀬川氏によれば、音楽著作権管理のNexToneによれば、「おかしいと思ったが『AIではなく人が作曲した』と言われたら受け入れざるを得ない」が現状だと言う。

AI創作物についての日本政府の整理
  創作過程 著作権の有無
AI創作物 人はAIに簡単な指示をするだけ(自律的) 著作権は生じない
AIを道具として利用した創作物 人の創作意図と創作的寄与がある 著作権が生じる

(出典:日本政府の知的財産戦略本部「新たな情報財検討委員会報告)

JASRACにも2023年度は3年前の2倍近い約18万曲が新規登録されたという。2023年8月には指針を作成し、AIが自律的に作詞作曲した作品は登録できないと明記したと言う。申請件数が不自然に多い場合は創作過程を問合せ、「著作者が自分の作品と保証すれば受け付ける」としている。

上表は2017年に日本政府が整理したもので、欧米でも基本的には考えは同じであると言う。だが、NexToneの事例のように実際の現場では簡単に割り切れず、「AIゴーストライター」を特定する決め手がないためである。不適切なAI利用は、本来は創作者に配分されるべき収益を侵食し、流通する作品全体の質をさげるとみている。

一方、著作権法にも議論が専門家の間で行われている。同法121条は著作者名を偽った著作物の複製物を頒布した者は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を科すことになってる。しかし、生成AIの生成物は、同法の前提である「著作物」でないため、この条文は適用できないと言う。専門家の一部には物理的に見分けることが難しい状況では、同法を改正しても実効性に疑問があるという。AI生成物には電子透かしなどを法的に義務付けるべきだとの意見もある。

生成AIは人間の創造性の新しいところにいかすこともできよう。一方、安易な集金ツールとして創作市場を席巻し、荒廃しかねない。🎤🛜♪♩🎻📉📈🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

2024.11.15  日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

学業や賃金に影響を与える「ショック」を利用して長期的スマホ利用の経済的影響を研究

世界的に多くのの国や地域で、未成年者のスマートフォンやネットゲームの利用すべきかどうか議論になっている。コラムの著者 渡辺安虎氏(東京大学教授)は、規制の是非や根拠を考える前に、スマートフォンの過剰な利用が利用者にどのような影響を与えるかを理解すべきだと言う。渡辺教授は、最近の米ウィスコンシン大学マディソン校と中国の経済学者が共同で発表した研究に注目しているという。

○スマートフォンの長期利用が成績を下げることは確認できた

渡辺教授氏によれば、この研究では、中国の大学生のスマートフォン利用データを取得し、個々の学生の授業出席や成績との関係、さらに将来の就職や賃金まで結びつけたデータを作成し、分析を行った。

分析の際に考慮しなければいけない点がある。学業や賃金に及ぼす影響を考える時、「逆向きの因果」と呼ばれる問題が発生することだと言う。スマートフォン利用の学業に及ぼす影響を測定したいも関わらず、逆に学業がうまくいかないからスマートフォンの利用時間が増えるという影響をとらえかねない。

こうした問題を解決するために、この研究では、学業や賃金に直接影響せず、スマートフォン利用を通じてのみ学業や賃金に影響を与える「ショック」を活用している点である。この研究では世界的大ヒットゲーム「原神」のリリースと中国政府による未成年者のゲーム導入規制を「ショック」として利用して、統計的因果推論を行なっている。

結果として、スマートフォンの長期利用が成績を低下させているということは確認できたという。興味深いのは、その影響の半分以上が友人からの間接的効果だという結果である。若年層のスマートフォン利用は、友人関係と想像以上に強い関係であることがわかり、また、成績低下は授業への遅刻や早退とも強い相関を示した。

さらに就職後の賃金も低下させており、大学生に週3時間のゲーム規制を実施すれば、約1%賃金が上昇すると試算している。スマートフォンのヘビーユーザーほどメンタルヘルスが悪く、就職の出願数も低下し、仕事に不満を持つこともわかったという。

今後も利用場面ごとに規制の是非やその具体的な形について議論が続くと渡辺教授はみている。これらの研究を集め蓄積し、具体的なデータやエビデンスに即した議論を行う必要があると示唆している。🛜📱📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇨🇳🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『胸突き八丁』の再生医療、課題残る条件付き承認」から

2024.11.17  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『胸突き八丁』の再生医療、課題残る条件付き承認」から

製品開発と共に規制も革新を遂げると期待

コラムの著者 安藤 淳氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、再生医療技術の開発着手から安全性を確認した本承認まで1つもないことを取り上げ、日本政府が10年間に約1100億円を投じた見返りがなりと「胸突き八丁」の状態に差し掛かっているという。どこにそれほどの年月が必要となる要因があるのかを解説している。

○企業は開発費を回収できず厳しい経営環境

安藤氏によれば、今年7月日本政府が開いた創薬エコシステムサミットの会場で、政策決定にも影響力を持つ有力研究者から「iPS細胞なんかに金をかけているから日本の創薬力が低下した」と言い放ったという。

政府の長期間の多額な投資に対して、日本の技術やノウハウを使った「再生医療等製品」の開発の多くが「胸突き八丁」に差し掛かっている。すでに多くの企業や大学は、決定を下しているところもある:

  • 住友ファーマー:2024年10月、iPS細胞から製作した神経細胞を使うパーキンソン病治療薬の承認申請を「2024年度内」から「早ければ2025年度」に延期することを公表している。
    • 同社は「条件および期限付き承認」の申請を準備中。この申請は、安全性に問題なく有効性を推定できれば大規模な臨床試験を経ず市販が始められる承認である。市販後にデータを集め、有効性を示して本申請するものである。
  • 遅れの要因はデータの収集・解析の条件や方法を審査当局とつめるのに相当の時間がかかっているようだと言う。
  • 再生医療などに使う細胞は均質に作るのが困難で、有効性の評価にも時間がかかる。そこで、先の「条件および期限付き承認」を制度化した。だが、同制度を適用しても再生医療等製品は4件のみである。企業は開発費を回収できず、事業環境は厳しい。
  • テルモ:2024年7月、患者の筋肉の細胞から作り、重症心不全の治療に使う再生医療製品「ハートシート」の販売を打ち切った。大阪大学と共同開発し2015年に「条件および期限付き承認」を得たが本承認は得られなかった。
  • 田辺三菱製薬:アンジェスが開発し、「条件および期限付き承認」の取得を経て販売していた遺伝子治療薬「コラテジェン」は、本承認の申請を取り下げた。市販後の有効性を示す方法論が確立しておらず、当局と議論を続けても先行きがないと判断した。

国立医薬品食品衛生研究所の佐藤陽治薬品部長は

「最初から完璧な制度は作れない。製品開発とともに規制も革新する」

という。厚生労働省は3月に「条件および期限付き承認」制度を使いやすくるための手引きなどの改善を試みるが、スピード感や精緻さが不足していると言う。日本は創薬力を上げるためにスタートアップなどを育成支援するが、「出口」が見えないと製品化にはおぼつかない。いまはの重要な地点である。🧪🔬💊🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:消費者の行動を考える(6)」から

2024.11.15   日本経済新聞の記事「やさしい経済学:消費者の行動を考える(6)」から

消費で幸福感が高まる理由

コラムの著者 白井 美由里氏(慶應義塾大学教授)は、消費者のウェルビーイングの定義とそれがどんな要因に影響を受けるかについて考察している。

○自分の生活や選択に対してどれだけ幸福に感じているか

白井教授は、消費者のウェルビーイングを

「消費者が自分の生活や選択に対し、どれだけ幸福に感じているかという主観的で個人的な側面」

と定義している。このウェルビーイングにどんな要因が影響を与えるのか。

  • 時間の捉え方:時間はお金と同様に貴重で有限。管理・節約しながら消費する一方で無駄遣いもする。幸福感はお金の多寡より時間に目を向けることで高まると言う。時間について考えると自己内省が生まれ、人生の時間の有限性を自覚するため、幸福感を得られる行動をとる。
    • 商品販売では時間と関連づけて訴求すると、消費者は自己に関連づけて考え、結果的に消費の楽しみが増える。
    • 持っているものでも購入金額より使用時間の長さに焦点を当てると、繋がりを強く感じて愛着が増す。一方、所有に価値を感じる高級品は逆で、購入金額を考えた方が愛着が深まります。
  • 選択の多さ:選択では所有より経験の購入の方が幸福感は長続きする。製品の所有に比べ、経験は消費者自身が定義するもので、選択しなかったものと比較しにくい。快楽順応も経験の方が遅く、思い出として長く残る。たとえ、購入まで待たされても、経験はワクワクしながら待つのに対して、所有はイライラしながら待つので、幸福感に影響される。
  • 満足度:幸福感は選択満足度にも影響される。複数の選択肢から選ぶ場合、それらの違いが知覚できない状態だと選択満足度は低下する。似たようなものからの選択は選択の実感が弱く、十分に楽しめない。
    • 選択肢が多いと満足度も下がる。この場合、何らかの基準で分類されていると、分類基準の質に関係なく満足度が上がるという。より良いものの期待は今の選択評価を下げる。

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