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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『紅麹』サプリにみた二律背反、機能うたう制度、1つに」から

2024.8.4  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『紅麹』サプリにみた二律背反、機能うたう制度、1つに」から

特定保健用食品、機能性食品、栄養機能食品の相違がわかりにくく混乱を招く

テクノロジーとシステムには必ず「安全性」と「利便性」という二律背反(トレードオフ)が存在する。ICTでは情報セキュリティーがこれにあたり、原子力発電では安全規格が堅固になるにつれ、電力会社からみれば利便性が低下した。ここに挙げた、「紅麹」サプリも二律背反のジレンマから逃れられず、健康食品による健康被害を引き起こしたのではないかと疑われている。コラムの著者 矢野 寿彦氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、小林製薬の国民の関心が高いヘルスケア製品を扱う際に安全性よりも利便性をばかりに目を向けたのではないかと考えているが、その背景に多くの健康関連の制度が輻輳して未整理のまま一本化もできずにいることに課題があると指摘している。

○機能性表示食品の制度維持はメーカー側の性善説が前提

矢野氏によれば、機能性表示食品を巡る規制のあり方に大きな不備があると指摘している。この制度は規制改革の流れの中で15年までに開始されたという。製造・販売には事業者が安全性や機能(効果)に関する論文やデータを「自ら」集め提示すればよいというもので、日本政府や専門家による審査はない。

そこで問題になるのが、巧みな広告宣伝で希薄な科学的根拠(エビデンス)であってみ「医薬品」のような効果があると消費者に訴求している点である。健康ビジネスを主軸に考えるメーカーにとってはうってつけの制度であろう。実際次々と先生品が登場し、市場は急成長、スタートから7年ほどで5,000億円の市場となっている。制度自身がメーカーの性善説によるものとなっており、消費者にとっては安全性が第1であるはずなのに、事業拡大を考える一部の企業では誇大広告を駆使してしまう。すでに15年前に大手日用品メーカーが手がけヒットした「体に良い食用油」から、分解すると発がん性物質を生成する疑いのある成分が検出され、社会問題となった。結局、当時のメーカーが特定保健用食品の表示許可を取り下げ事態は収拾した。

日本政府としても健康食品を高齢化社会におけるセルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする)の一環として見るなら、政府や第三者機関の審査やチェックは不可欠であろう。エビデンスも消費者に正しく明確に伝える必要があろう。さらに、特定健康用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の3種類を明快に誤解の生まない形で制度を一本化して整理し、サプリメント法などの制定も考える必要があると矢野氏は提唱している。💊🎓🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:Z世代のリスク回避を理解して」から

2024.8.2 日本経済新聞の記事「私見卓見:Z世代のリスク回避を理解して」から

人事採用担当は「何がしたいのか」ではなく「何をしたくないのか」を問うべきか?!

コラムの著者 林 佳杜氏(慶應義塾大学経済学部4年生)によれば、Z世代の視点から就職活動と企業の採用担当の間にあるギャップについて触れている。

○Z世代はやりたくないことを避けることが安全で幸福な人生の基本と考えがち

林氏は現役4年の大学生で就職活動を終えたZ世代(1990年半ばから2010年後半生まれ)であるという。Z世代の目線で就職活動を見ると、価値観は多様であるが、ある1つの共通点があるという。それはZ世代はあらゆる局面で「リスク回避」をする傾向にあるという。

同級生の集まりでは

  • 「働きやすいホワイト企業で給料が高いのが最高」
  • 「転職できないのはリスク」

といった本音が出ると言う。同様に同級生で言うリスクの中にはテレビドラマが見れないといった内容を上げる人もいた:

  • 「9時、5時で働いて、生活できるだけの給料がもらえればそれでよい。毎日、韓国ドラマを見ることだけは譲れないので、定時退社できそうな会社にした」

確かに荒唐無稽のようだが、この学生にとって、定時退社が最優先するリスク回避の方法だったという。さらに、やりたいことに没頭できることを最優先と考えた学生もいた:

  • 「この会社は自分のやりたいことに合致していたが、18時になったら強制的にパソコンがシャットダウンされるらしい。ホワイトなのは良いが、若い時はたくさん働いて成長したいから内定を辞退した」

という。多くの企業がホワイト企業であることをアピールするが、やりたいことに没頭できる環境をアピールする企業は少ないと言う。

Z世代は一見わがままに見える就活を行なっているように見える。だがこの世代はリスク回避が幸福の本質だと信じてもいる。つまり苦痛を避けることが幸福に繋がると思っている。多くの社会人が現代は先の読めないVUCAの時代だと言っている。仕事でやりたいことを見つけるよりも、やりたくないことを把握する方が容易である。つまりZ世代の人生の基本戦略はやりたくないことを避けることで、安全で幸福な人生を送れると考えがちであると言う。

このようなZ世代に対して、企業の人事採用担当はどうすべきか。たとえば、担当から就活生に対して「何がしたいのか」ではなく、「何をしたくないのか」と問いかけることであるという。その問いかけの答えに学生の本音とリスクが見え隠れするという。転勤や配属だけの問題ではないことがわかると言う。👦👧📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:ESG情報開示はAI活用で」から

2024.7.31  日本経済新聞の記事「私見卓見:ESG情報開示はAI活用で」から

企業はESG情報をAI活用を前提に量・質共に充実、透明性を確保すべき

コラムの著者 中久保 菜穂氏(シェルパ・アンド・カンパニー CEIO、ESG責任者)によれば、膨大で広範囲な情報となるESG(環境・社会・企業統治)の確認や分析にはAIが活用されていくことが増えるという。人間のアナリストに比べ、その評価に情報処理速度より高速で、正確であり、参考情報の範囲は広く、量も多く、客観性も向上するという。さらにAI活用によるこれまでの課題解決にもつながるという。

○AI活用で、ESGウォッシュ対策や人間の持つ無意識の心理バイアスを排除できる効果が期待できる

中久保氏によれば、現在の企業のESG情報は、有価証券報告書や統合報告書など多様な文書で開示されている。ファイルの形式も多岐にわたり、評価時には日本政府や第三者機関による調査データも参考にする必要があるという。このように膨大で広範囲な情報となるESG(環境・社会・企業統治)の確認や分析にはAIが活用されていくことが増えるという。

さらにAI活用による効用もある。例えば、ESGウォッシュ対策である。実態が伴わない見せかけのビジネスにより、ステークホルダーに誤解を与える「ESGウォッシュ対策」にも有効である。AIを用いれば、企業はモニタリング機能を向上させることができ、SNSやNGOなどの報告がほぼリアルタイムで参照でき、サプライチェーン全体のモニタリングができる。

さらに、人間の意識に潜む無意識のバイアスを排除して、評価の客観性を担保できる期待がある。ただ、AIにも学習データによってバイアスを持ちうることも認識しておく必要がある。

このようにESG評価でAIを使うことはもう不可逆となっており、それなら企業側もAI活用とアナリストの評価の両者があることを前提に情報の量と質の向上、さらに透明性の確保をこれからも進める必要があろう。🧠📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:認証不正、制度設計は柔軟に」から

2024.7.29  日本経済新聞の記事「私見卓見:認証不正、制度設計は柔軟に」から

ルールの前提となる状況や条件は刻一刻と変化し予測不能

コラムの著者 吉野 直人氏(西南学院大学商学部教授)が提唱するのは、国が安全基準を決めて具体的な試験方法や条件はメーカーに一任することで、現状の課題解決を図れるのではないかという。自動車メーカーの型式指定を巡る認証不正問題で明るみに出た国の規定とは異なる試験方法や手順が取られていた。その原因とは。

○医薬業界で行われている市販後調査も必要

吉野教授によれば、今回の不正はメーカーの順法精神の低さと不正を指摘できない職場風土を批判する一方で、元来の国の規制のあり方やルール自体の問題を指摘する声もあるという。

自動車メーカーが例え国の基準よりも厳しい方法で実施しても、ルールに則らないことには違いなく「不正」となる。確かに虚偽記載やデータの改竄のケースは問題外であるが、規制する側に課題はないのであろうか。

組織においてルールと現場の手順に乖離があることはしばしばであるという。これは、ルールの前提となる状況や条件がダイナミックに変化していることにも影響を受けている。事前にこのダイナミックスを予測することは難しい。そうなると現場ではルールから切り離されて、安全性が求められる現場ではリスクの温床となっていく。

このリスクを抑えるため、認証制度にも当局への申請を通じて試験方法の見直しの道がある。ただし、多くの車種や技術の多様化で、モデルチェンジや設計変更が頻繁に行われる中で試験方法の変更に対するコストは大きくなり、実質的には見直しされない状態となる。さらに現場でいくら工夫しても国の規定に反するのであれば検査不正として問題視されてしまう。

つまり規制と裁量のバランスが中途半端な状況が続いていることが不正の要因にもなっている。他業界である医薬品業界の安全基準のように、国は基準だけを決めて、試験方法や条件はメーカーに一任するといった設計の方が柔軟であるのではないかと、吉野教授は提案している。その際も、市販後調査のようなフィードバックでルールの見直しを考えられることも重要であろう。🚗🚕🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「個人情報、保護強化に逆風:課徴金・団体訴訟導入に企業反発、法改正、公開で議論へ」から

2024.7.15  日本経済新聞の記事「個人情報、保護強化に逆風:課徴金・団体訴訟導入に企業反発、法改正、公開で議論へ」から

当局は個人情報保護と企業活動のバランスをにらんだ舵取りを迫られる

記事の著者 瀬川 奈都子氏(日本経済新聞社編集委員)によると、ICTの進展に機動的に対応するため3年ごとに個人情報保護委員会が検討し改正されるが、改正の目玉とされる課徴金や団体訴訟制度の検討案に経済界が「データ活用が萎縮する」と強く反発している。

○EUの一般データ保護規則(GDPR)の影響が大きい

記事によれば、6月27日に個人情報保護委員会は法改正の検討に向けた「中間整理」を公表したという。目を引いたのは課徴金と団体訴訟の導入を巡る厳しい表現であったという。これについて経済界が猛反発している。経済団体連合会、新経済連盟、日本IT団体連盟など8つの事業者団体は4月4日付けで、これら2制度に反対し、個人情報漏洩などの報告義務の負担軽減や3年ごとの見直しのプロセスに対して透明性を上げる要望を示している。

自由民主党にもこの反発が波及し、個人情報保護委員会の政策立案と執行の両面を担うことを分離すべきなどの意見も出ているという。世界的には個人情報の利活用よりも保護を重視するEUのGDPRの影響を大きく受けているといいう。

企業側が規制強化を懸念している一方で、消費者団体側は既存の救済システムでは不十分との意見が根強いという。現法では情報漏洩などに対して「事業者側の故意」または「財産的請求と合わせて請求する」ことが要件で、被害の立証が難しいために団体訴訟が事実上難しい。

社会に受け入れられる洗練されたICTサービスやデジタル産業を発展させるためには、事業者側も消費者側も論議を尽くして適切なルールを見出さねばならない。個人情報保護委員会の舵取りは極めて難しい。💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵