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【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「社説:主要国並みのサイバー防御で安全高めよ」から

2024.6.13  日本経済新聞の記事「社説:主要国並みのサイバー防御で安全高めよ」から

現代の戦争は物理的な攻撃とサイバー攻撃が同時並行で発生

ロシアのウクライナ侵攻などで浮き彫りになった物理的攻撃に対する防御とともに安全保障上重要になっているのが、能動的サイバー防御をめぐる議論である。社説の著者によれば、相次ぐサイバー攻撃から重要なインフラストラクチャーや国家機密を守る問題意識が浮上しており、有識者会議で能動的サイバー防御について議論を進め、西側主要国の中でも立ち遅れた体制を急ぎ、国民の安全と安心を高めるべきだとしている。

○憲法21条の「通信の秘密」との整合性、政府機関への権限付与とその行動の監視の議論も重要

社説によれば、能動的サイバー防御とは、日本政府が平時から外国からの通信を監視するなどして攻撃の兆候を探り、危機が発生すると判断すれば、攻撃を無力化する措置をとることだという。能動的サイバー防御は事案が発生してからでは被害の拡大が防ぎきれないこともあり、危機を未然に防ぎ、国民の暮らしや命を守ることが目的だという。

電力や金融などの社会インフラストラクチャーが麻痺したりすれば社会は大混乱に陥る。すでにサイバー攻撃を受けた事案が国内にもある。攻撃の頻度も過去10年で35倍に増えたとの指摘もあり、手口の巧妙化も進み、脅威が増大している。

ウクライナ戦争でも物理的な攻撃とサイバー攻撃を同時進行で発生させるのが常套手段となってきている。サイバー面の防御を固めるのも安全保障上の必須要件である。すでに、米国や英国、オーストラリア、ドイツなどの西側先進国もサイバー防御の強化に力を入れてきている。東アジア情勢の緊迫化に直面する日本も各国並みに体制を整える必要があるという。

有識者会議の主要議題の1つが通信情報の活用である。悪用の疑わられるサーバーやサイトを検知するには、通信網における不審な交信に目を光らせることが有効であるとされている。このような交信の監視と憲法21条の「通信の秘密」とどのように整合を取るのかが問題である。外部の攻撃から国民を守るという「公共の福祉」のために通信の秘密が一定程度、制約される可能性もあるという。もちろん、日本政府の監視は、必要最低限度に絞り、人権やプライバシーの保護を遵守する歯止めも必須であろう。米国や英国に倣い、政府の挙動をチェックする独立機関の設置も必要であろう。💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇬🇧🇦🇺🇩🇪


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「あすへの話題:眠る子どもと話すこと」から

2024.6.6  日本経済新聞の記事「あすへの話題:眠る子どもと話すこと」から

肉体の表面に現れた親子の人間関係で活性化された子どものこころにふれる

コラムの著者 森岡 正博氏(哲学者)は、前回に引き続き、「アニメイテド・ペルソナ」について、能役者の能面の事例を示したが、さらに眠っている子どもに話しかける場合の思惑について考察している。

○欧米とアジアの文化の差でアニメイテド・ペルソナの感じ方が違う?

私たちは眠っている自分の子ども達に話しかけるとき、何を感じているのだろうか?もちろん、起こさないように小声で話しかける。しかし、よく考えてみれば、このとき、一体何に向かって話しかけているのであろうか。子どもの脳の中にある子どもの精神に向かって話しかけているのであろうか?

だが、子どもはぐっすり寝ているのだから、私たちの声は子どもの精神には届いていないはずである。だとしたら、私たちが話しかけている相手は、目の前の子どもの肉体なのだろうか。それも否定的である。では、誰に私たちたちは話しかけているのだろうか。

森岡氏がいう「アニメイテド・ペルソナ」がその話し相手であり、ぐっすり眠る子どもの肉体の表面に現れた子どものこころであるという。子どもの精神は、熟睡している子どもの表面には現れていないが、その子のアニメイテド・ペルソナは生き生きとその子どもの肉体の表面に現れ、話しかけて欲しいと鳴き声で叫ぶという。

このような話を欧米の学者の前で話すと、何か違和感を感じるという。ただ、インドや中国の学者からは共感をもっと迎えられることがしばしばあった。どうやら文化の東西差が関係しているようだと森岡氏は感じている。👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「生成AI、小学校授業にも:国語や情報教育に活用、適切な利用を早期に学ぶ」から

2024.6.5  日本経済新聞の記事「生成AI、小学校授業にも:国語や情報教育に活用、適切な利用を早期に学ぶ」から

早期から適切な利活用を身につけトラブルを防ぐ

コラムの著者 三浦 日向氏(日本経済新聞社記者)は仙台市にある宮城教育大学附属小学校での情報科の授業の様子を説明し、児童が生成AIにプロンプトを出しながら、利用に際しての仕組みの理解などの気づきを与えているという。小学校での取り組みについて考察している。

○ユネスコやオープンAIでも13歳未満の使用を禁止、18歳未満では保護者の同意が必要

三浦氏のコラムでの紹介している小学校情報科の授業の一部は次のようである:

  • 「新しい絵文字を描く」、「架空の野球選手を作成する」といったテーマに対して児童が一斉に生成AIに指示(プロンプト)を出す。
  • ある児童が、「2021年までの情報しかないと(生成AIが)答えている」という。担当の上杉秦貴教諭は「発見だね」と応じたという。さらに授業の最後に「生成AIはネットの情報をつなげるもので、つなげ方を間違えることもある」などと解説した。
  • 生成AIを取り上げる理由を上杉教諭は「子どもは家庭や社会でAIに触れる機会があり、仕組みなどの理解がなければ取り返しのつかない事案につながる可能性がある」と語る。生成AIは基本的に子どもの利用を想定していない。誤りや危険な情報を鵜呑みにしたり、個人情報などAIに学習させるべきでないことを入力する可能性があるためである。

対話型AI「ChatGPT」を開発したオープンAIは13歳未満の使用を禁止し、18歳未満は保護者の同意を必要とする。ユネスコも教室での使用は13歳からとしており、教員研修の必要性を強調する。文部科学省も生成AIについて開発元が求める利用規約などに基づいて使うように求める。

三浦氏のコラムでは、一般的な教科で生成AIを使う札幌市立中央小学校を紹介している。同校では俳句や詩を作る国語の授業で使っている。教員が生成AIに作らせた俳句を示し、児童が「季語が2つもある」「意味が通らない」など批判的に読み解くことにより、より良い創作を模索できたという。

安全に利用するための取り組みも宮城教育大学附属小学校ではAIに学習されない仕組みのデジタルツールを使って実証を進めている。💬🏫📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「米コロンビア大デモを考える:教養教育が培う現実感覚」から

2024.6.3  日本経済新聞の記事「米コロンビア大デモを考える:教養教育が培う現実感覚」から

ガザ地区攻撃に反対するデモは米コロンビア大学から全米に

コラムの著者 佐藤 仁氏(東京大学教授、米コロンビア大学客員教授)は米コロンビア大学大学院で客員教授を務めている。この反戦デモの精神的背景に同大学の米国で最も保守的な教養教育があるという興味ある考察をしている。

○同大学が最も保守的な教養教育を維持していることも大学生の現実感覚を養ってきた

佐藤教授が東京大学と全く異なる視点にある米コロンビア大学について2つの点に注目している。

  • 教授会の議題に「困難な対話」という見出しでパレスチナ問題について学生とどう対話すべきかという論題である。
  • ガザで殺された大学教授や芸術家などの名簿が教室の廊下に張り出されている。

同大学は、1960年代のベトナム戦争以来、繰り返し学生デモの象徴的拠点となってきた。例えば、タバコ産業や化石燃料、民営刑務所などの分野からの大学の投資引き揚げなど、大学から具体的な譲歩を獲得してきた。今回も全米に反戦デモを拡大する拠点となった。佐藤教授が興味を持ったのは、同大学が、コア・カリキュラムと呼ばれる全米で最も保守的な教養教育を維持し続けている大学である点である。具体的には、大学生にアリストテレスの「二コマコス倫理学」やマキアベリの「君主論」といった西ヨーロッパの歴史、哲学、文学から選び抜かれた古典を読ませるといった教学体系である。

この教養教育の背景には大学生に現代世界を作り出した議論の幅に触れさせ、自分とは異なる意見を理解する能力を養うとともに、自分自身のアイデアをアップデートする機会を提供している。物事を善悪の二元論で判定するのではなく、自分と他者の間に広がる立場の幅の中に解を見出す想像力を鍛えるのだという。このような保守的なカリキュラムが鋭い現実感覚をもった学生以外の活動家による社会運動の拠点になってきたことは、大学が知の生産拠点である以上に、社会変革の拠点になることも示していると佐藤教授は指摘している。古典を遺物ではなく、生きた知識として教える伝統が、学生たちに正義感と現実感覚を醸成してきたのではないかとも佐藤教授は考えている。一見、現実離れした教養科目も、どこかで先につながっている。コロンビア大学が維持している教養教育のように激変する世界に反応する力の源泉が日本にも必要ではないか、と佐藤教授は指摘している。⚡️📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇮🇱🇵🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「経営の視点:新規事業がつまずく理由 『目標ありき』の愚かしさ」から

2024.6.3  日本経済新聞の記事「経営の視点:新規事業がつまずく理由 『目標ありき』の愚かしさ」から

打破すべきは予測合理性に縛られた経営陣の思考回路の切り替え

コラムの著者 西條 都夫氏(日本経済新聞 編集委員)は、早稲田大学ビジネススクールの樋原伸彦准教授が簡単に起業家や新規事業のどちらを選ぶべきかを判定する質問を紹介している。その背景に、新規事業を視点が目標主導に問題があることを指摘している。

○起業や新規事業では目標主導ではなく、手持ちの資源を最大限に生かす手段主導の姿勢が重要

さて、樋原准教授の質問は、起業家に向いているか、あるいは既存事業と新規事業のどちらの職場を選んだ方が良いのかを判定するものである。

まず、質問:あなたが料理をする際の手順について尋ねます。あなたは次のうちどちらのタイプに近いですか?

回答A:何を料理するかを決めて必要な材料を買いに行く。

回答B:冷蔵庫にある手持ちの材料を確かめ、何を作るかを決める。

果たして、読者はA、Bのいずれに近いだろうか。多くの読者が回答Aと答えるという。しかし、樋原准教授によれば、社内起業家を含むアントレプレナーに適しているのは圧倒的にBタイプだという。世界的な実証研究の蓄積で、成功する起業家には思考パターンの共通様式のようなものがあると分かってきたという。

その1つが、まず目標を決め、そのために必要な資金や技術、人脈などの経営資源を獲得しようという、goal-driven (目標主導)ではなく、手持ちの経営資源を最大限に生かそうとするmeans-driven  (手段主導)の姿勢だという。

米国ではヒューレット・パッカード、日本では日立製作所が小さな作業小屋(ガレージ?)から創業したように、できる範囲でスタートすることの価値を示しているという。手段主導の利点は、手持ちの資源から始めるので、起業家やリーダーがストレスなく起業(や料理)に踏み出すことができる。やたらに精緻な計画や予測を作るのも意味がなく、状況に応じた臨機応変性が鍵である。状況によっては見込み違いを素直に受け入れ、大胆に方向転換する柔軟さが重要である。起業家がよく路線変更を行う、ピボットは臨機応変や不可欠性の現れだという。

こう考えると伝統的な大企業が新規事業の大半が失敗する理由も、この手段主導でないことで、「新規事業で売上高XXX億円を達成」などと最初にゴールを掲げる目標ありきの姿勢に問題がある。計画と予測の過剰とそれによる拘束。まずは、経営者の思考を予測合理性から解放することが重要なようだと西條氏は指摘している。🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵