科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>科学軽視のトランプ氏、米国の国力低下懸念」から

2024.12.1  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>科学軽視のトランプ氏、米国の国力低下懸念」から

前任期中に気候変動や感染症などの分野を中心に予算を大幅に削減しようとした

米大統領にドナルド・トランプ前大統領が返り咲くことが決まった。コラムの著者 小玉 祥司氏(日本経済新聞社 編集委員)はトランプ氏の返り咲きは米国の科学技術分野へ多大な影響を与えることになると見ている。小玉氏は前回の任期中の言動から次期政権での動きを予測すると、科学技術への軽視は引き続き行われると懸念を表している。

○米国の科学力低下は国力の低下につながり、世界の一層の不安定化につながる

小玉氏によれば、前政権時に気候変動分野を始め幅広く科学技術関連予算を削減しようとしたが、今回も「反ワクチン」を唱えるロバート・ケネディ・ジュニア氏を厚生長官に指名して科学軽視の傾向を加速しようとしているという。科学技術の停滞だけでなく、米国の国力低下を招く懸念もある。

すでに大統領選での結果が、欧米の主要な科学雑誌で科学者の声として影響を取り上げているという:

  • 英ネイチャー誌:記事で「世界中の科学者が失望と懸念を表明した」と紹介。
    • 2016年ノーベル化学賞を受賞したフレイザー・スタッダート博士は「世界のすべての人々にとって、非常に悪いことだと感じることを目の当たりにした」と言うコメントを引用している。
    • 科学誌から懸念の声が上がるのは、前回の任期中にトランプ氏が気候変動や感染症などの分野を中心に大幅に予算を削減しようとしたからである。

2016年の大統領選挙中からトランプ氏の科学に対する冷淡な主張が目立っていたが、なかでも「地球温暖化はウソだ」という発言はよく知られている。2018年度の予算教書では、環境問題を担当する米環境保護局(EPA)の予算は3割強削減するとした。当時の米議会は民主党の攻勢もあり、この削減案は阻止された。しかし、今回の米議会では、上下両院とも共和党が多数を占め、トランプ色が強く、予算削減も懸念される。

基礎的な科学研究は将来の先端技術や産業を育む苗床だと小玉氏は指摘している。科学への投資縮小が将来、米国の国力低下を招く懸念が大きいと言う。それが一層、世界の不安定化に拍車をかける可能性があることを警告している。🌪️🚀💊🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「スパコン、『発熱』で進化失速」から

2024.12.1   日本経済新聞の記事「スパコン、『発熱』で進化失速」から

失速は深刻で日常生活の停滞にもつながる

コラムの著者 福井 健人氏、阿佐 美茜氏(両氏とも日本経済新聞社)らによれば、スーパーコンピューターは感染症対策や気象の予測など幅広い研究分野で活躍し、国民の安全や暮らしを守っている。だが、いま足元でその進化が止まろうとしているという。要因は、ごみ焼却施設や火力発電所並みの排熱の処理と大量の電力供給の問題でという。進化を止めないためにも、その対策はどうなのかをコラムの著者らは説いている。

○極地移設や先端の光技術や量子コンピュータもコスト高や実用化問題が存在

コラムの著者らによれば、スーパーコンピューターは人類に数々の恩恵をもたらしてきたと言う。正確な気象予報は、大規模な計算が必要で、性能が上がるほど、狭い地域の気象を長時間にわたって予測でき、災害対策に役立つという。日本では、最速のスパコン「富岳」は台風の進路や状況を予測し、発生が懸念される南海トラフ沿いの巨大地震や津波の予測にも活用されている。

その頼りになるスーパーコンピューターの進化が止まろうとしているという。大きな要因は、排熱である。コンピューター本体に使われる半導体の中を流れる電流を制御するトランジスタの数が、従来の面積あたりの2倍に増え続けている。このまま半導体の微細化が進むと、面積あたりの電力消費量や排熱の量も跳ね上がる。ごみ焼却施設や火力発電所並みの排熱がでる。そこで冷却をする設備が必要となる。富岳では電力消費の約3割を冷却設備で利用し、年間の電気代は約10億円に達する。

巨大のスーパーコンピューターをどう冷やすか。多くは水冷式で水を循環させて冷却をする。さらに、北極など極寒地での設置の考えられるが、電力を賄うための保守などの人件費が多く、しかも極端な立地は採算が取れない。となれば、半導体自体の発熱を抑える技術開発が必要となる。1つは電気信号の代わりに光信号で行うもので発熱が少なくなる。また、半導体の微細化を諦めて、通常のスパコンを並列に多数繋いで使ったり、開発が進む量子コンピューターを活用するなら、排熱の問題を避けて高度な計算ができる。ただ、実用化には時間がかかる。🗳️📃🏢🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:気候変動対策はエコシティーで」から

2024.11.26  日本経済新聞の記事「私見卓見:気候変動対策はエコシティーで」から

中国、シンガポール、マレーシアではエコ都市での挑戦が始まっている

アジアの都市は世界の中で特に急速な成長を続いている。コラムの著者 サンディープ・セティ氏(JLLワークダイナミクス アジア太平洋地域代表)によれば、2050年までに都市人口は50%増加すると予想されているが、急速な成長には代償が伴うと言う。世界の年間エネルギー起源CO2排出量の約6割がアジアであるという。しかし、気候変動対策は成長を犠牲にするものではないとサティ氏は語っている。さて、その背景は。

○持続可能な成長に欠かせないアジアの各都市のエコ化

セティ氏によれば、都市開発は気候変動対策の一部に利用できるとしている。人々が住みたくなり、働きたくなり、遊びたくなるような質の高い空間を創造する都市づくりは、気候変動への対応に変革をもたらす可能性もあるという。都市がこれまで短期的な消費主導型の開発から環境と社会的福利厚生を優先した長期的で持続可能な成長へ移行しようとするメカニズムを持とうとしているからである。

  • 中新天津エコシティー(中国):
    • 気候変動に対応。都市計画、環境保護、資源保全、水・廃棄物管理、持続可能な開発などの専門知識を活用。荒地を住みやすい環境に変え、働きやすい都市に変えることを目的にしている。
    • 建物は自然換気、自然彩光、高性能密閉構造システム、再生可能エネルギーシステム、高効率照明システム、水リサイクル技術などを駆使し、環境負荷に配慮した「グリーンビルディング」のコンセプトに基づく。
  • マリーナベイ(シンガポール):
    • 緑と植物を増やすことで生活の質を向上させ、観光客を引き付けるアトラクションの機能も備えている
  • プトラジャヤ(マレーシア):
    • クアラルンプール近郊。湿地を設け、緑豊かな都市に変貌させた。プトラジャヤとクアラルンプールの両都市で90万本の植樹を目指す植樹プログラムを実施。都市の植生を増やして屋外の気温を下げ、二酸化炭素を蓄積させている。

👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇨🇳🇸🇬🇲🇾


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:偽情報と戦う教師たち」から

2024.11.25  日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:偽情報と戦う教師たち」から

情報を理解し、見聞きしたことを鵜呑みにしないことが重要な時代

コラムの著者 アンドリュー・ジャック氏(FINANCIAL TIMES グローバル教育エディター)は、米国の高等学校の政治の授業で、米大統領選挙を題材に、生徒たちに情報をどう伝えるかの懸念と教育としての懸念材料などを取り上げている。

○若者がニュースや事実に基づく情報から、わざと離れていこうとしている

ジャック氏によれば、米ニューヨークの高等学校教師マット・ポラッツォ氏は、大統領選挙後初めての政治の授業で、トランプ前大統領の勝利に関する報道を取り上げた。ある生徒は、テレビ報道が「偏っている」と不満を漏らしたと言う。そこで、マット・ポラッツォ氏は米紙ニューヨーク・タイムズ、米政治サイトのポリティコ、ネットメディアのザ・スリー・プレスの記事の画像を次々に見せた。

マット・ポラッツォ氏は、

「私は皆さんにニュースを見極める読者になってもらいたい」

「多様なメディアに触れてほしい。メディアの主義主張を感じ取り、逆の論調にも目を向けよう」

と生徒たちの語りかけた。米国では伝統的なメディアからSNSに流れる動きを若者が主導し、分断の増幅や偽情報の拡散が懸念されている。NPOのニュース・リテラシー・プロジェクトによると、米国の10代のうち、ニュース、広告、意見、娯楽を正確に識別できたのはわずか18%だという。メディアは民主主義を守るより害していると考える人は半数近くにのぼったという。

AIが発達し、偽情報やディープフェイクなどの危険性も高まっており、情報を理解し、見聞きしたことを鵜呑みにしないことが重要だと訴えている専門家もいる。だが、これらを法規制にかけようとしても、メディアリテラシーに一貫した定義がないために、偽情報などの排除も難しい。また学校の授業にメディアリテラシーを教える法的義務がなく、現場の教師は義務ではないために普段の学科に入れ込めるしかなく深掘りできないという。信頼性を確保する方法も多様で決め手に欠く。

最もジャック氏が懸念していることは、若者がニュースや事実に基づく情報から離れている状況だと言う。📰📺💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>人工光合成に『堂免スクール』系譜育み日本の強みに」から

2024.11.24  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>人工光合成に『堂免スクール』系譜育み日本の強みに」から

科学技術で強い分野を築くには研究者の系譜の有無が重要

コラムの著者 永田好生氏(日本経済新聞社)は、植物のように太陽光で水と二酸化炭素から有用な化合物を作り出す人工光合成の研究の系譜を追っている。永田氏が注目したのは、のちに多くの研究分野で第一人者を輩出する「堂免スクール」と呼ばれる堂免一成氏と門下生に注目している。

○2024年のノーベル物理学賞でも同様な系譜がみられている

永田氏によれば、堂免教授(信州大学特別特任教授、東京大学特別教授)は東京大学の博士課程に在籍した1980年代に「光触媒」という材料にこだわり続けたという。材料は酸化チタンが主成分で、水に浸し、太陽光を当てると水を酸素と水素に分解するという。この現象は「本多・藤嶋効果」と呼ばれ、1967年に日本で発見された。1972年に著名な科学雑誌に論文が掲載され、世界で人工光合成の研究が一気に著名になったという。堂免教授もその1人で、研究論文のみならず、実用的な技術にしたいと目標を掲げた。2024年の今も71歳を迎えたが研究に対する意欲は衰えず、日本国内の人工光合成プロジェクトの研究リーダーとして活躍されている。

門下生には、

  • 高田剛氏(信州大学・特任教授)
  • 酒多喜久氏(山口大学教授)
  • 工藤昭彦氏(東京理科大学教授)
  • 佐山和弘氏(産業技術総合研究所主席研究員)
  • 阿部竜氏(京都大学教授)

などがいて、先の人工光合成プロジェクトに高田教授、酒多教授、工藤教授が参画しているという。同プロジェクトは「光触媒を使う人工光合成研究で世界最強の布陣」と呼ばれている。同プロジェクトでは、総面積100平方メートルの光触媒パネルを屋外に設置し、21年に水素製造を確認し実験は成功している。

堂免教授の論文は、論文の被引用回数も多く、科学情報サービス大手のクラリベイトが2024年に同氏に引用栄誉賞を贈呈している。だが、研究が順風満帆であったわけではない。1990年代に入って苦しい時期が続いたと言う。その間、ニコンが研究を支援し、若手が研究室に加わって、思いを繋いだことが研究の継続の大きな要因だと、堂免教授はクラリベイトの受賞記者会見で語ったという。科学技術で他国よりも強い分野を築くには研究者の連綿とした系譜が重要だと永田氏は指摘している。光触媒では堂免教授を核に広がる「堂免スクール」の面々の活躍が支えている。同様の系譜が、2024年のノーベル物理学賞でも同様な系譜がみられたという。☀️🍃🌿💊🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇦