【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:農業の産地化、生産と販売一体的に」から

 2023.4.19  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:農業の産地化、生産と販売一体的に」から

研修施設「トレーニングファーム」でキュウリは増産に

コラムの著者 窪田 新之助氏(農業ジャーナリスト)が示すのは産地化の成功事例ではなく、日本の農業の課題を浮き彫りにしている。

○生産から販売まで縦割りの除いた工夫がなければ生産者は報われない

窪田氏が今一度気付いたのは、農業の産地化には生産から販売までの関係者が一体となって取り組まないと成功しないことであったという。事例はJAさが(佐賀市)のキュウリ生産である。

ここ数年、JAさがは目覚ましい実績を上げているという。10アールあたりの収量(反収)で10トン前後を新規就農者が上げているという。全国でもトップクラスである。

この背景に、JAさがが2017年度から武雄市で運営する研修施設「トレーニングファーム」の存在があるという。収量を上げるには作物の光合成を活発にする必要がある。それには、園芸施設内の室温や湿度などのデータを収集し、加温器や二酸化炭素発生器などで作物の生育に適した環境をつくることが求められる。「トレーニングファーム」は全国でいち早く環境制御機器の実験を繰り返し、20トン、30トン、40トンと反収の壁を超えた実績のある山口仁司氏が講師となり2年間で栽培技術を教えている。1年目の研修は栽培の基礎で、2年目から独立を前提に栽培施設1棟丸ごと管理を任せ学んでもらう。このように生産側の改善は大幅に進んだ。

しかし、キュウリの産地化はすぐに成功とまではいっていない。象徴的なのは、生産から販売までのプロセスである選果がネックになったことである。つまり当初設定の生産量が低く見積もられ、増産に追いつけず、選果施設が限界になったことである。つまりJAの流通担当者も生産現場の奮闘ぶりを捉えていなかった。選果能力を上げるには作業員を増やすことになり、機械で選果するよりも効率が落ち、人件費も嵩む。それは施設利用料を上げることになり、農家の所得を下げることになる。また、販売担当者も市場ごとの出荷の平準化も行なっていない。このようなプロセスの横断的な情報共有と一体化が進まない限り、生産者、農家の努力は報われないことになっている。🌾🥒🔍✏️📖💡💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:ニップンの期間限定冷食、リピート率高め市場拡大」から 

2023.4.14  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:ニップンの期間限定冷食、リピート率高め市場拡大」から

消費者の手に入れやすい期間限定商品

コラムの著者 高岡 美佳氏(立教大学経営学部教授)が今回取り上げるのはニップンの準高価格帯の個食向け冷凍パスタ「オーマイプレミアム うま塩レモン」のマーケティング戦略である。スーパーマーケットやコンビニエンスストアの定番の味とはことなった商品開発について考察している。

◯20周年を記念した商品

 高岡教授が紹介している同商品は3月上旬に市場投入して以来、想定の1.5倍ペースで出荷量が伸び好調だという。

同社の冷凍パスタ市場に参入した経緯は以下の通りである:

  • 1994年:冷凍パスタ市場に参入。当初は白麺タイプと冷凍ソースをそれぞれ単品で発売。
  • 1998年:過熱後にそのまま食べられるトレー入り商品の発売
  • 2001年:環境負荷を考慮して紙トレーを採用。
  • 2003年〜:オーマイプレミアムシリーズを開始。

冷凍食品市場は約4295億円で冷凍パスタは343億円と最も大きなシェアを占める(インテージ調べ)という。さらに、冷凍パスタで個食に目を向けると、トレー入りパスタの成長は著しいという。このカテゴリーでメジャーは、今回紹介しているオーマイプレミアムである。同社が期間限定商品として発売するのは初めてで、市場的に大きな意味があるという。

これまではスーパーマーケットやコンビニエンスストアで並ぶ冷凍個食パスタはボロネーゼやペペロンチーノといった定番が多いという。定番商品は一定の需要と販売が見込めるため、食品メーカーや小売店バイヤーにとってもメリットがある。ただ、定番では選択がなく、リピート率が下がる。

既存顧客のリピート率を上げるため同社は味のバリエーションを増やす戦略をとった。同社の企画開発部によれば、今回の商品開発の1番の狙いは、顧客に冷凍パスタを選ぶ楽しみを提供し、春夏に向けて、爽やかな味わいを届けたかったという。20周年を迎えて、トップブランド自ら新たな市場開拓に挑戦している。🍝🍴🍽👧👦📗🔉🚚☕️🍮🖥🍶😷🦠🏢🗒🏪🏢💡🔎⚡️happy01🌏🏡👝📦🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「トレンド語り:白湯の人気が上昇、朝飲む飲料の2位に」から 

2023.4.12  日経産業新聞の記事「トレンド語り:白湯の人気が上昇、朝飲む飲料の2位に」から

暖かくしただけの水が売れる!?

コラムの著者 粟飯原 理咲氏(アイランド代表取締役)によれば、一度沸騰させた水を温かい状態で飲む白湯(さゆ)の人気が健康意識の向上や新型コロナウイルスの感染で日常生活にも取り入れやすい健康法として朝のコーヒー替わりに飲む人が増えているという。

◯温活や腸活が推す

粟飯原氏によれば、朝型ライフスタイル提案サイト「朝時間.jp」(運営アイランド)で2023年1月に実施したユーザー調査の「朝によく飲むドリンク」で、

  • 1位:コーヒー
  • 2位:白湯

で、2017年実施の同調査と比較して白湯は12ポイントも引用率が上がっている。このランキングの上昇理由について、背景に健康意識の高まりがあるという。朝時間.jp編集長の澄江元美氏によると、「体を温めて調子を整える『温活』や、口に入れるものを工夫して腸内環境を良好に保つ『腸活』のブームがあった。それ以上に新型コロナウイルスの感染拡大で健康意識が向上する中、白湯は最も日常生活に摂り入れやすいものの1つ」と語っている。

また、寝覚めの一杯として飲むという声が多く「モーニングルーティン(朝の決まった動作)として習慣化している」とも言われている。また白湯に関わる鉄瓶などのアイテムも同サイトで人気であるという。

2022年11月にアサヒ飲料が期間限定で発売した「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」も好調だという。当初は、「温かくしただけの水が売れるのか」といった懸念もあったが、2023年2月時点の売り上げは計画比約2.5倍になっている。さらにターゲットを20〜30代の働く女性が美容・健康目的に飲むことを設定していたが、カフェインレスであることから10〜20代の男性にもコーヒーに代わって支持されているという。🍵☕️🧴📺💻📳🍂🥻👔💡🚕🥬🥕🍞🐱📶📺🦠😷🍲🍵🏢📶🏢💡⚡️🌏happy01📂🌍🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「いいモノ語り:このこのごはん、「ペット」と呼ばないで」から

2023.4.5  日経産業新聞の記事「いいモノ語り:このこのごはん、「ペット」と呼ばないで」から

空前のペットブームの背景にあるものは

コラムの著者 岩永 嘉弘氏(日本ネーミング協会会長)は、いつもの柔らかい口調で最近のトレンドのネーミングについて語っている。

○家族化するペットに対する意識も変化

 近隣の奥様の怒りはどこからなのか。「『その犬、なんていうお名前?』なんて聞くのよ。失礼よね。うちの子をなんと思ってるのかしら、まったく」といった言葉。つまり、この子は「犬」ではなく、彼女にとっては家族で、「ペット」といっても叱られるとのこと。犬の立場や地位がぐんぐん上がってきて、飼い主と対等に近くなった。つまり、家族の一員である。

岩永氏によれば、空前のペットブームで、その背景に、核家族化、孤独なシニアの増加、若者の晩婚と非婚の傾向が、彼ら(ペット)との同居を促したのではないかと思っている。

岩永氏は「このこのごはん」という自然食材で厳選して作った愛情いっぱいのペットフードに注目した。家族化した彼らに対する私たちの呼び方も激変したという。「うちの犬」や「うちの猫」とかは言わなくなった。つまり「このこ」なのである。

このネーミングには「あなたの「この子」のために愛を込めて作りました」というメッセージが込められている。健康を大切に考え、このこへの愛情いっぱいという。ブランド名「コノコトトモニ」も岩永氏のお気に入りである。🐈🐱🐕🐶🍖🍽👜🏯📗🖥👧👦🛌🏢🕛📈🏢💡⚡️🌍happy01🌳🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:1人の人生、複数社でビールに、顧客との共創が進化」から

2023.3.31  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:1人の人生、複数社でビールに、顧客との共創が進化」から

顧客との継続的に実施できる共創モデルも目指す

 コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)は、顧客との共創モデルの進化が新市場を拡大する好例を示しながら、進化の継続の重要性を説いている。

◯人生のストーリーを味わいながらビール体験

 西川教授は共創モデルの進化に関する好例として、サッポロビールの共創を軸にした事業である「ホッピンガレージ」を紹介している。

2012年に顧客の意見をもとにビールを開発する「百人ビール・ラボ」をSNS上に開設した。3商品が開発され、話題性もあり一般流通にも発売したが、売り上げは減少していった。結果、「参加者全員が作りたいもの」では個性が弱く、さらに年1回ほどの開発では、会員のコミュニティー運営も厳しい状態となっていた。

そこで次の責任者となった同社の土代裕也氏は、継続的に共創が実施できるモデルを模索し始めた。2018年にホッピンガレージを立ち上げ、1人の顧客の企画をもとに個性的な商品を開発し、月1商品の開発を目指した。しかし、新型コロナウイルスの感染が広がり、試飲会も開けず、新たな展開を模索しなければならなかった。土代氏は「ビールではなく顧客の人生ストーリーを深く味わいながら飲めるという『ビール体験』である」ことに気づいた。

魅力的な人物を探し出し、その人生ストーリーを語る中で味わいやパッケージで表現したビールを開発した。ビールをコンテンツと共に届けることでより深くストーリーを味わえる体験を設計し、2年で11商品を開発、隔月で常に新作が届く定期便もスタートさせた。

2023年2月からは、このモデルによるビールを社会全体に広げる「ホッピンフレンズプロジェクト」を開始した。自社だけでなく、提携したクラフトビールの各社が、顧客の魅力あるストーリーを元に独自のビールを開発・製造する。同社はそれらを仕入れ、同じストーリーの自社商品とセットで販売する。顧客はストーリーを楽しみながらビールで追体験でき、ブルーワーにとっては販路が広がる。顧客との共創モデルが1つでは限界も多い。諦めず絶えず見直し、共創モデルの進化を止めないことが重要である。🍻🍺🥤💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵