音楽

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:デジタルコンテンツのわな」から

2022.11.21   日経産業新聞の記事「SmartTimes:デジタルコンテンツのわな」から

コスパならぬタイムパフォーマンスを重視する視聴者

コラムの著者 栄籐 稔氏(大阪大学教授)は、我々視聴者、特に若年層はせっかちになり、コストパフォーマンスならぬタイムパフォーマンスをサービス提供者は意識して、公共性のあるバランスのとれたコンテンツを準備する仕組みがどんどん消えているという。

○フック(印象的な場面、言動)で視聴可否が決まる

 栄籐教授によると、インターネット上のストリーミングサービスによって楽曲や映像コンテンツが大きく変容しようとしているという。まずは提供時間の短縮化である。

これまでの楽曲は3分30秒が通常であった。これは古いレコードの最大記録時間が4分だったからだという。それが米国のポップスでは演奏時間が2分になろうとしているという。つまり、イントロの後に落ち着いた曲調のしんみりした歌詞が続きサビとなる構成が一般的であったが、今や、いきなりサビの部分から始まるという。

楽曲提供側からみればサビを先行させフック(印象的な場面、言動)を聴かせることで、繰り返して聴くことを促し、ストリーミングでは最初の数秒で再生可否が行われる中で選択されるように意図したものだという。同様な時間短縮がYouTubeで代表される動画共有サービスでも起こっている。

もう1つは、楽曲や動画の良いところ取りで要約コンテンツが元投稿者との利益配分や暗黙の了解で再投稿され、2次利用が急速に進んできたことである。これもコンテンツの変容であろう。

視聴者はせっかちになり、有限な時間をいかに有効に使うかというタイムパフォーマンスを最大にすることが目的になってきている。それを進めるのがパーソナライズ化である。さらに提供者のリコメンドや視聴履歴の分析でこの現象が助長されて、結果、面白いフックで始まり、心地良いフックでしめるコンテンツのみを視聴する生活になってしまう。栄籐教授はそういった視聴の価値に疑問を持っている。公共性のあるバランスのとれたコンテンツを準備する仕組みを消滅させるべきではないのかという。🎵🏢🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:人間拡張の原理、メタバースが広げるもの」から

2022.11.18  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:人間拡張の原理、メタバースが広げるもの」から

20世紀メディア論から考察

 コラムの著者 三浦 俊彦氏(中央大学商学部教授)は、人間拡張について論じたマーシャル・マクルーハン著「メディア論 人間の拡張の諸相」(みすず書房)を取り上げ、最先端のメタバース(仮想空間)が人間の何の拡張なのかについて考察している。

◯目、口、耳、手足の拡張の先

 三浦教授によれば、20世紀のメディア論の大家であるマクルーハンで、技術やメディアは人間の身体の拡張だと考えてきたという:

  • 石斧:手の拡張
  • 車輪(自動車、自転車):足の代わり
  • ラジオ:耳の代わり
  • テレビ:目の代わり

と考え、人間の身体能力以上にその能力を拡張してきている。

インターネットは目や耳を拡張し、好きな時に世界の人々と繋がり、世界のニュースがわかり、世界の商品を買えるようになり、空間や時間を拡張した。

時間面は、テレビが放送時間の制約があったが、インターネットでは好きな時間に動画配信サイトなどから視聴できる。またショッピングも店舗の営業時間に無関係にインターネット上で注文ができる。放送時間・営業時間の枠を超えて消費者の行動が24時間行えることになった。

空間面では、初期ではPCのある職場か自宅に限られていたが、携帯電話やスマートフォンが普及すると、身体拡張の地点を広げ、能力を空間的にも広げた。

さらに口の能力をインターネットは拡張した。消費者がネットでの配信ができるメディアを持つようになった。もともとはマスメディアと言われるように企業が所有するものであったが、ブログサイトからYouTubeのチャンネルまでで消費者が所有できるようになった。マクルーハンの口の拡張は同著ではメガホンを例示したが、今はYouTubeなど音量の拡張以上に時空間的に口の能力を拡張した。

今や消費者は、好きな時に、好きなことを、好きな場所から世界に発信できるようになった。さて、今話題のメタバースは何の拡張であろうか。🥩🐮🍫🎍🍄📙📖👚🚗📰✏️🗒🍷💻🏢⚡️📖🎓🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「トレンド語り:コネクテッドTV、女性を中心に利用拡大」から 

2022.11.16  日経産業新聞の記事「トレンド語り:コネクテッドTV、女性を中心に利用拡大」から

ネット動画をスマホで視聴しやすい10代、20代とは異なる様子

 コラムの著者 奥 律哉氏(電通総研フェロー)は、電通とビデオリサーチの調査結果を使って、人々がネット情報に接するデバイスとしてテレビの位置付けはどうなのかを分析している。

◯家庭内でのチャンネル選択権を持つ彼女らが選ぶのは

 電通の「d-campX調査(関東地区)」によるテレビの「ネット接続率」は、2022年5月で57.9%で昨年同月比で5.8%上昇しているという。テレビがインターネットのコンテンツ配信の端末として、スマホなどと並びメジャーな存在になりつつあることがわかる。さてテレビの利用率はどうか。

ビデオリサーチの「MCR/ex(東京50キロメートル圏)」2022年6月のデータを使って、テレビのネット利用が多い女性30代の様子を奥氏は紹介している。

  • 1日あたりのネット利用時間(週平均)で自宅内が146分、自宅外が19分で自宅内が9割。
  • 自宅内のネット利用のデバイス別利用:モバイル(スマホ・携帯)、テレビ、パソコン(PC)、タブレットの順で多い。
  • モバイル経由のネット利用の目的:ネット44分、SNS33分、動画17分
  • テレビでのネット利用の目的:動画23分
  • PCでのネット利用の目的:ネット9分、動画4分

となり、動画視聴だけに注目すると、テレビとモバイルでの利用がPCやタブレットの利用を大幅に上回る。動画は大きな画面で見る傾向が強いことがわかる。また、家庭内での彼女らはチャンネル選択権を持っていると考えられるので、放送とネットのどちらで動画を見るかをその番組ごとにかえているという。ネットに繋がるコネクテッドTVで、TVerやネットフリックス、NHKプラス、YouTubeなどの動画配信サービスを楽しんでいる。10代や20代の世代がスマホが主軸であるが、30代女性ではテレビが軸になっていることがわかる。👜🗼✉️🪪📖🏢🥻👔💡🚕🥬🥕🍞🐱📶📺🦠😷🍲🍵🏢📶📺🏢💡⚡️🌏happy01📂🌍🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ニッチ市場を攻めるには、諦めずに多様な手を打つ」から

2022.11.11  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ニッチ市場を攻めるには、諦めずに多様な手を打つ」から

販路拡大に単純な広告宣伝では効果なし

 コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)は、前回に引き続きSNSやクラウドファンディングの活用についてニッチ市場での攻め方の事例を示している。

◯西川教授のゼミ生が挑戦

 西川教授によれば、打開策の多さが、ニッチな市場を立ち上げるといい、その事例を自分の研究ゼミの大学生が挑戦した商品企画で示している。

商品企画の挑戦は、企業からのテーマをもとに全国の大学生が商品企画を競う「Sカレ」への応募であった。ゼミ生が応募した商品企画は「ぺらっぷ」である。

ぺらっぷは、ピアノ演奏経験者の94%が抱える「楽譜めくりが大変」という悩みに応える商品であるという。対象が狭い上に電子楽譜の普及という逆風の市場を狙っている。このアイデアは、メーカーから提示された「クリアシート便利グッズ」を受けて学生自らの経験から発想したという。さらに、専門家などの意見を集め、楽器小売り大手の島村楽器(東京都江戸川区)の商品開発者や楽器インストラクターと接触して助言をもらい、めくりやすく改善しながらターゲットをピアノ演奏者に絞った。試作品の評価も好評で、店頭価格300円を提示して、商品化が決定したら同社が仕入れるとの確約を得た。こうした成果から、Sカレでは2021年12月の大会でぷらっぷの商品企画は優勝し、見事商品化の権利を得た。

ところが、最終試作品を元にメーカーが試算すると初期費用がかかり、小ロットでは店頭価格が880円かかり、商品化は遠のいた。さらに、メディアに取材をしてもらい販路拡大を狙ったが、ニッチな悩みに対応したためか共感が得られず、反応もない状態となった。

そこでゼミ生らは自らのSNSで発信しつつ、初期費用を得るためにクラウドファンディングを利用した。クラウドファンディングでの購入や支援の募集で初期費用を得て、結果的に店頭価格を500円まで下げることができた。島村楽器でぺらっぷの正式販売が決定し、2022年9月より首都圏の店舗とオンラインストアで販売を開始した。ニッチな市場でもいろんな手段を使えば、学生でも商品化が可能であると、西川教授は応援している。🎹🥤💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:メタバースの可能性」から

2022.8.3   日経産業新聞の記事「SmartTimes:メタバースの可能性」から

メタバースの可能性現実を反映した鏡像空間と創作された仮想空間

コラムの著者 栄籐 稔氏(大阪大学教授)は、最近のバズワードとしてAIに代わってメタバースが上がってきているという。メタバースの可能性について解説している。

○個人、場所、時間による物理的制約を解放

 栄藤教授によれば、メタバースはSF作家のニール・スティーブンスン氏が1992年に生み出した言葉であると言う。

SF用語は映画「マトリックス」に機械と戦う仮想世界を表現し、3次元仮想空間でのソーシャルメディアであるセカンドライフを生み出した。

その後20年間で、

  • 無線を含むインターネットの高速化
  • AIによるコンテンツの自動生成
  • VRゴーグルの飛躍的進化

でマトリックスの世界が現実になろうとしている。

メタバースは現実を反映した鏡像空間と創作された仮想空間に分けられるという。前者は実在する都市や施設をデジタルで再現することからミラーワールドやデジタルツインと言われる。シンガポール政府はバーチャルシンガポールという国を丸ごと3次元データ化するプロジェクトを推進しており、渋滞予測、災害対応、施設開発などの都市設計を市民に可視化しているという。日本国内では国土交通省が3次元都市モデルの整備プロジェクトを進めている。このプロジェクトからはシミュレーションで教育、医療•介護、建設、流通、環境・エネルギーの産業分野に最適化実験などで応用される。

創作世界のメタバースも多くの可能性があると言う。オンラインゲームはその代表だが、アバターでの仮想会議での体験は数年前のレベル以上であり、娯楽の分野では大きな成長が期待できると言う。バーチャルタレントやデジタル芸人を育成支援している芸能事務所もある。もはや、個人、場所、時間による制約もなく、演技者にもなれる。📱🩺🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵