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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『株嫌い』80年目の脱却を」から

2024.8.16 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『株嫌い』80年目の脱却を」から

「貯蓄から投資へ」の機会は何度もあった

コラムの著者 梶原 誠氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば戦後79年で日本経済には、国民が企業の成長を支えて共栄できる「貯蓄から投資へ」のチャンスが幾度もあったという。過去の潰えた原因は株安にあったという。今回の日本政府の政策は大丈夫なのか。

○失敗の原因は株安

日経平均株価は先月、4万2000円を超え、過去の最高値を更新した。しかし、8月5日には4451円も急落して今年の値上がり分を帳消しにして乱高下が続いている。このほど導入された少額投資非課税制度(NISA)で投資を始めた人も株式市場のこの動きに当惑しているという。

梶原氏によれば個人金融資産の半分は2000兆円を超える現預金が休眠しているという。企業側も金融機関からの融資だけであればリスクを取る元手としては頼りにくく、株式に期待する。個人の現預金を株式に投資してもらい、企業が成長すれば、株高で個人も資産が作れるという、「ピープルズキャピタリズム(みんなの資本主義)」と呼ぶ日本経済の悲願である。

しかい、多くの試みが失敗してきた。そればかりか、「株は悪」という10年以上も癒えない株嫌いのトラウマを残してしまった。梶原氏は3つの事例を示している:

  • 1947年、日本銀行や証券界が始めた「証券民主化運動」。戦前、財閥が持っていた優良株を社員、地域住民、顧客らに分売し、個人株主の比率を上げ、1949年には69%とした。しかし、ドッジ不況がこれを襲い、株価は暴落し、個人んは損失に耐えきれず、株式を手放した。企業や銀行が受け皿となり、悪名高い株の持ち合いが始まってしまった。
  • 1987年、バブル景気真っ盛りの時期。日本政府が保有しているNTT株を売り出して上場させ、多くの個人株主を生んだ。だが、1990年からの株価急落で、多くの人が深傷を負った。
  • 1996年、日本政府が打ち出した「金融ビッグバン」。株式売買手数料の自由化と確定拠出型年金の導入で貯蓄から株式へのシフトを狙った。しかし、2000年のハイテク株のバブル崩壊や長期デフレで、預貯金の方が有利になった。

今回は新NISAを軸とする「資産運用立国」政策である。デフレは脱却しつつあり、預金の優位性は崩れたことから過去よりは成功のチャンスが大きいと梶原氏は述べている。34年ぶりの日経平均株価の高値更新は、投資家の心の傷を癒やし始めた。2019年に言われた「老後2000万円問題」という国民の切実な需要が原動力にあるという。

振り返ってみれば、ピープルズキャピタリズムの原点は、1945年の敗戦時にある。当時、証券民主化運動を率いた日本銀行の一万田尚登総裁は、目的を「産業の復興、発展」と位置付け、「おカネは銀行に預けなくていいですよ。長く預けていい人は株をもちなさい」と全国を説いて回ったという。企業も動き、1946年に東京通信工業(現ソニーグループ)を創業した井深大氏は、同社の「設立趣意書」で「日本再建、文化向上」を創業の目的に掲げた。個人株主づくりの構想を練り上げていたことがこの趣意書からも伺えるという。💴🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:消費主導の経済回復を本格的な流れに」から

2024.8.17  日本経済新聞の記事「社説:消費主導の経済回復を本格的な流れに」から

企業は賃上げに終始せず人材育成とデジタル化で投資計画を実行せよ

社説の著者によれば、停滞が続いてきた個人消費に反発の兆しが出てきたという。内閣府の2024年4〜6月期のGDP速報値は年率に換算した前期比で3.1%増え、2四半期ぶりにプラスに転じたという。消費は5四半期ぶりに上向いた。それではこの回復基調を絶やさないためにはどうすれば良いか。

○政策は家計や企業が安心してお金が使えるような論争を期待

社説では、消費は、前期比1.0%増加で、自動車以外の衣料品や外食などで前向きな動きが見られたという。企業の設備投資も0.9%増とプラスに転じたと報している。市場の予想では今後も緩やかな成長が続くと見ているが、消費の本格回復には物価高を乗り越える所得増の定着が欠かせない。これまでの賃上げ基調と生産性の向上で賃金と物価の好循環が実現できれば、消費者の節約志向も和らぎ、企業も価値とコストに見合う価格設定ができるだろう。

反面、気掛かりな要因もある:

  • 最近までの株式市場や為替の急変動の余波。円安の修正が進めば、輸入物価から国内物価へと及ぶ上昇圧力が和らぐ。一方で株式が再度不安定になると消費者の心理が冷え込む。
  • 中東情勢の緊迫で原油の国際市場が高騰する懸念がある。

このような状況でポスト岸田政権には財政や社会保障の持続性を鑑み、生活者や企業が安全に投資できるような建設的な政策論争を期待したい。さらに企業は不透明な環境の中で、成長加速に挑む戦略が必要で、単なる賃上げにとどまらず、人材の育成、デジタルへの投資など計画を練って、実行してほしいと期待している。💴🎤🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『ひとり』が生む商機を逃すな」から

2024.8.16 日本経済新聞の記事「私見卓見:『ひとり』が生む商機を逃すな」から

他者情報の「接続過剰」に対するバランスをとるひとり生活

コラムの著者 内浜 大輔氏(博報堂生活総合研究所 上席研究員)は所属する博報堂生活総合研究所の調査を紹介している。2023年に20〜69歳を対象に調査した内容で、「みんな」より「ひとり」でいる方が好きという人が78%に上ったという。この結果から個人の生活に対する新たなマーケティング視点があると示唆している。

○ひとりを前向きに捉え、生かそうとする視点が大きなビジネスチャンス

内浜氏は、「みんな」といるより「ひとり」でいる方が好きな理由として、インターネットやSNSが生活に入り込む環境の下で、常に他人の情報を浴び、やり取りをする「接続過剰」があるのではないかと考えている。

ひとり時間の効用は多岐にわたっているが、ひとりだから何かに没入して体験・鑑賞したり、内省を通して自分の考えを再発見したり、身近に新しい挑戦ができたりできる。誰かと一緒では得られない積極的なものが多いという。

生活者のひとり欲求の充足は有望なマーケティングの対象と考えられるが、課題もあると内浜氏は指摘している。課題としては、先に示したような、ひとり行動の積極的な効用に適合したようなサービスがまだ少ないことである。前提は「みんな」である価格によって決められ、ひとりだからというプレミア価値を意識したところが少ない。オフィスでも大人数ではなく個別で1人で考えられる場所や住宅でも家族から一定の距離をもってひとり時間が楽しめる空間といった内容である。このようにひとりという状態を前向きに捉え、そこにプレミア性や活性する視点があれば新しい商機が見えてくるのではないかというのが、内浜氏の主張である。♨️🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「経済教室:イノベーション経営の国際規格、価値創造へ自社を客観評価」から

2024.8.13  日本経済新聞の記事「経済教室:イノベーション経営の国際規格、価値創造へ自社を客観評価」から

既存企業でもイノベーション創出力が弱ければVBとの連携でも成果がでない

コラムの著者 西口 尚宏氏(上智大学特任教授)は、一国の経済成長と繁栄にはイノベーションの実現が必須であると説いている。スタートアップの成長性と既存企業によるイノベーション創出がその両輪であるという。スタートアップも既存企業も共にイノベーションを起こすことで社会への価値提供、経済成長、雇用増加が期待できる。西口教授は、欧州が主導で進めているイノベーション経営の国際規格を利用し、日本企業が競争力を向上させる方法について触れている。

○イノベーションが起きない企業には共通のパターンがある

西口教授によれば、日本の既存企業はイノベーションの創出力が弱いという。そのためにスタートアップと連携しようとするが、自社のイノベーション創出の強化とスタートアップ連携の両立させることが世界のイノベーション経営のトレンドだという。イノベーション創出力が弱い企業は、社会価値を自ら生み出せず、スタートアップ連携からも成果が出てこない。

さて、スイスのビジネススクールIMDの世界競争力ランキングで上位を占める欧州では米国のように一部の天才的な起業家の力に頼らず、組織的なイノベーション創出のためのマネジメントシステムの共通言語を構築し、欧州全体の競争力を高めようとしている。これを機に2013年国際標準化機構(ISO)を軸にイノベーション経営の国際標準化が開始された。欧州が急いだのは、GAFAMに代表される米企業の台頭への危機感であったと言われている。

標準規格の策定時に議論となったのは、イノベーションが起こらない企業には国籍を問わず共通のパターンがあったことである:

  • イノベーションに意欲的な社員の活動が属人的なもので終始し、組織的な活動に発展していない
  • イノベーションに本来必要な試行錯誤が許されていない、あるいは軽視されている
  • 教育や予算などイノベーション支援への経営トップの関与がない

が挙げられている。国際規格ISO59002では、このような状況が起こり得るとして、イノベーション活動の成功確率を上げるためにの経営システムのあるべき姿を示している。経営者の役割は特に重点的に描かれているという。

国際標準化で大きな議論は、インベンション(発明・技術革新)とイノベーション(価値創造)を区別する合意であった。日本ではイノベーションを技術革新と混同するケースが少なくないという。この2つを区別することで、発明・技術革新は新しい存在だが、それが価値を生むかどうかはわからない。一方、イノベーションは具体的な価値創造が実現している存在物(プロダクト、サービス、プロセスなど)と定義している。さらにこのイノベーションをを起こすプロセスも以下のように合意したという:

  • 機会の特定
  • コンセプトの創造
  • コンサプトの検証
  • ソリューションの開発
  • ソリューションの導入

である。この仮説検証を繰り返す非直線的なプロセスがイノベーションを起こすという。西口教授は今後認証を審査する人材育成やイノベーションを起こす起業家の存在が重要であるという。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:パーパス経営、多様性の尊重から」から

2024.8.14 日本経済新聞の記事「私見卓見:パーパス経営、多様性の尊重から」から

従業員の多様な価値とパーパスの重なりを増やす努力

企業の存在意義を軸にした経営を行う「パーパス経営」が注目されている。コラムの著者 坂本 隆氏(学習院大学経済学部非常勤講師)は、こういった経営に対して企業の不正や不祥事が後を絶たないという。その要因を経営者サイドと従業員サイドの双方から考察している。

○パーパスを通じて経営者と従業員の双方の理解が会社を大きく動かす

坂本氏は、企業の根幹であるパーパスに瑕疵があるのではないか、従業員への浸透ができていないことが要因であるとの仮説を検証している。

各社のパーパスを見渡しても不適切なものはない。そもそもパーパスは企業のいわば「志」であって誠実であることから不適切にはなり得ない。となれば、パーパスが従業員に浸透していないことが原因ではないかと経営者は考えてしまう。そこで経営者は、パーパスの浸透を図るが、そこで従業員の「個人の価値観」の違いが壁となるという。経営者も従業員も個人として人生で培われてきた固有の価値観がある。そこで企業と従業員の価値観がずれている場合、従業員は企業の考えている通りには動かない。そこで、経営者は「従業員の価値観をパーパスに近づけよう」と考える。だが個人の価値観の矯正は簡単ではない。軋轢を生み、企業活動の支障をきたすこともあり得る。経営者は企業行動の多くが従業員主体であることを認識すべきで、従業員の多様な価値観を尊重して大きく育て、自然とパーパスとの重なりを増やす努力をすべきであると、坂本氏は奨めている。

この重なりを増やすことは経営者サイドだけでなく、従業員サイドでも有用であるという。人生の中で勤務する時間は長い。長い時間を自分自身の価値観に沿って過ごすことは人生の充実を意味する。つまり従業員も企業のパーパスに真正面から向き合うべきであろう。経営者も従業員もお互いにパーパスを通じて多様な価値観を理解し合うことこそ、パーパス経営の本領発揮となるはずであると、坂本氏は指摘している。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵