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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoSalon:日本に見る『選択と集中』の危うさ」から

2022.10.12  日経産業新聞の記事「TechnoSalon:日本に見る『選択と集中』の危うさ」から

日本企業の停滞の要因は選択の誤り

コラムの著者 山﨑 弘郎氏(東京大学名誉教授)は、諸外国の産業が成長を続ける中で日本企業だけが30年近くイノベーションに乗り遅れた要因は選択と集中の誤りにあったのではないかと語っている。

◯かつて選択を誤った半導体業界の行方

 山﨑教授の考察によると、他国におよそ30年もイノベーションが進まず乗り遅れた日本企業の要因は、選択と集中の誤りだと指摘している。

「選択と集中」はどの国の企業でも日常行われている。しかし、企業の成長につながるのは対象を正しく選択し、そこに経営資源を集中した場合である。誤った選択は進路を捻じ曲げ、集中は選択の誤りを強調してしまい、傷を広げる結果となる。

では、日本企業の停滞が選択の誤りであったとしたら、どうして選択を誤ってしまったのか。そこには過去の成功(選択の成功)にこだわり、それをもたらした組織体制を継続してしまったからではないか。

確かに経営トップに昇り詰めた人たちのとって、輝かしい過去の成功体験は誇りであって悪いことではない。問題は、社内に新しい事業の芽があっても目に留まらず理解されないで、興味を引かないまま埋もれてしまった対象である。多くの経営者は自らの成功体験が将来も続くと一方的に信じて、そこに選択と集中をやめなかったのではないか。

山﨑教授は、選択の誤りの事例として半導体産業をあげている。かつて日本の半導体メーカーは、世界市場のほぼ半分のシェアを押さえ、1980年代の日本の高度発展を支えてきた。ところが、日米半導体摩擦を機に急速に競争力を失ったという。

日本の半導体メーカーは当時、開発から生産までを一貫して担い、厳しい競争にあった。一方、米国など海外勢は、半導体産業の規模の急拡大に対して、異なる固有技術を持つ設計開発機能と生産機能を分離するようになった。開発部門がファブレス化し、生産はファウンダリーに集中する分業体制に変わっていった。

この分業化の選択を日本企業は行わず、一貫体制の維持にかけた。結果、需要が拡大し、継続的な巨額投資が必要となっても新しい方向性を見出さず、過去の体制維持にでた。やがて、過大な設備投資が経営を圧迫し、多くの企業が行き詰まり半導体製造から手を引くことになった。

需要の変化、技術の進歩が現代は劇的であり、その産業の行方を洞察し、過去の成功体験に拘らずに正しい「選択と集中」をしなければ企業の未来はない。今、半導体産業の再建が具体化しつつあるが、その行方に期待したいと、山﨑教授は語っている。📊⚡️💡😷🌍🤖💻🧠🍞🎓✏️🏙🌾🍓😅🏃‍♀️🏠😷🦠❄️🍅📖🔎⚡🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:話題なきデトロイトショーが映すもの」から

2022.10.6  日経産業新聞の記事「眼光紙背:話題なきデトロイトショーが映すもの」から

かつての世界5大モーターショーもローカルイベント?!

コラムの著者によれば、世界5大モーターショーはもはや死語だという。米デトロイト、スイス・ジュネーブ、独フランクフルト、仏パリ、日本の東京でそれぞれの地域性を映しながら最新のクルマを競って出展してきた。この先はどうなるのか。

○自動車大手メーカーのためから、スタートアップのためにシフト

 コラムの著者によれば、5大モーターショーも今は昔となったのは、テクノロジーの見本市であるCESであるという。すでに家電の域を越え電子電気、エネルギー、ソフトウェアからサービスまでを展示発表している。もう一つは、規模の点で中国のモーターショーの方が大きい。

コラムの著者はそのデトロイトモーターショーに参加したという。新型コロナウイルス禍が一段落したこともあって、3年ぶり9月に現地開催になったという。一昔前までは犯罪多発都市だったデトロイト市の復興も奏功し、会場近くの野外イベントにも多くの人が足を運んだという。

ただし、肝心の出展品が話題に乏しく、迫力に欠けたという。かつては所狭しと新車が勢揃いしたが、一部がイベントスペースになるなど場所を持て余し気味であった。一方で熱気があったのは、新しく設置されたスタートアップ企業の展示であった。自動車大手による自分達のための展示から転換と考えると、すでに言われ続けている「100年に一度の大転換」を象徴しているようだという。💴💹☀️🏢🚗🚀⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵🇬🇧


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:サラリーマン起業への挑戦」から

2022.10.3   日経産業新聞の記事「SmartTimes:サラリーマン起業への挑戦」から

ローリスクな日本の大手企業の社内起業

コラムの著者 吉井 信隆氏(インターウォーズ社長)は、6月2日に永眠された元ソニー社長の出井伸之氏の言葉を引用して、日本の社内企業について提案している。

○社内起業家とスタートアップに内部留保を投資すべき

 吉井氏によると、生前出井氏と社内起業について話す機会があり、その時

「あなたと同じように僕もサラリーマンこそ社内起業に挑戦すべきとずっと言っている。会社の中なら社内でバックアップしてくれるし、大きな損失を出して失敗しても会社が盾となって守ってくれる」

「自己破産して路頭に迷うことはないので思い切った挑戦ができる。スタートアップにない様々な恩恵を受けローリスクで起業できるのだから日本の企業はもっとサラリーマンに社内起業をやらせるべきだ」

と語ったという。ご本人の出井氏も31歳の若さでソニーの仏販売会社を起業した経験から、こういった考えに至ったのだと思う。

一方、シリコンバレーで多くのスタートアップが誕生し続けるのは、循環する豊富な資金だけではなく、起業家と共に仕事をする有能な人材の流動性や産学連携の集合知性、弁護士、会計士、ヘッドハンター、メディアなどが構成するエコシステムが存在すると言われている。日本国内は投資額は増加しているが、起業を目指す人が少ない。出井氏のいたソニーでは、常に未来を先取りし、社内起業によって世界を変える事業を創造し、「創造的失敗を恐れない、挑戦によるイノベーション」で歴史を築いてきた。いまこそ、この精神を見習って、内部留保を社内起業家とスタートアップに投資するとともに、M&Aを含めたオープンイノベーションで日本のエコシステムの土壌を作る必要があろう。📱🩺🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:和牛のブランド戦略、『生産者✖️消費者』の視点を」から

2022.10.7  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:和牛のブランド戦略、『生産者✖️消費者』の視点を」から

商品ブランド戦略は機能的と情緒的価値の両者を創造すること

 コラムの著者 三浦 俊彦氏(中央大学商学部教授)が取り上げるのは、前回に引き続き食品ブランドに関わって「和牛の五輪」と呼ばれる全国和牛能力共進会(本年は鹿児島で10日6日から10日開催)でのJA鹿児島経済連のブランド戦略である。

◯関西から関東へのブランド確立を狙うJA鹿児島

 三浦教授によれば、全国和牛能力共進会の今大会は、雌雄の種牛の審査をする「種牛の部」と肉質を審査する「肉牛の部」があり、毎年40近くの道府県が参加するという。和牛ブランド力の向上につながる最重要大会で、前回の宮城大会では鹿児島県が総合優勝し、今年も狙っている。

だが、和牛ブランドとして鹿児島は松阪牛や神戸牛に比べ、知名度が低い。関西では認知を受けつつあるが、関東ではまだまだだという。そこで東京など関東でのブランド確立に向けて戦略を練っている。

三浦教授によれば、商品ブランドの戦略はブランドコンセプトを押さえた上で、機能的価値と情緒的価値を創造することだという。そこには生産者と消費者の双方の視点が欠かせないという。

鹿児島黒牛は機能的価値は生産者視点からはA5等級の霜降り肉で最高である。ただ、消費者は、脂身控えめの赤身肉がヘルシーだと考える人もいる。商品から受ける情緒的価値も、生産者は肉汁の滴るステーキかもしれないが、消費者は、牧草飼育による赤身の健康イメージかもしれない。消費者の健康志向や社会志向が高まる中、農産物も味だけでなく、生産者のトレーサビリティーや商品がどのように生産されたかも念頭に置くようになった。しいては、飼料についても穀物か牧草か、飼育環境は快適でアニマルウェルフェア(動物福祉)を考慮しているかまでも追求するようになり、生産者も気遣う視点が出てくる。

ブランドの成功は、この生産者と消費者の視点の一致、マッチングから生まれるという。🍳🥩🐮🍫🎍🍄📙📖👚🚗📰✏️🗒🍷💻🏢⚡️📖🎓🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ロシアからの撤退」から

2022.10.4  日経産業新聞の記事「眼光紙背:ロシアからの撤退」から

ロシア産業の中国化、中国支配が進む?!

コラムの著者によれば、トヨタ自動車がサンクトペテルブルクの工場を閉鎖し、マツダもウラジオストクでの委託生産を終了すると報道され、ウクライナ侵攻での分断が一層進んでいるという。

○ロシアは完成品工場、中国は部材の工場で影響力の違いが

 コラムの著者によれば、両社とも表向きは部品調達が困難になったことを撤退の理由としているが、両社の納入先の欧米メーカーが中国拠点からの供給を容認しなくなったことが直接の理由だという。すでに半年前から欧米に輸出される電子、電器関係の部品、素材を生産する日本企業が拠点をベトナム、タイ、インドに移しているという。

中国の場合ロシアと異なって、組み立て型の完成品だけでなく、部材でもグローバル市場で高いシェアを誇っている。かつてのトヨタのサンクトペテルブルク工場では、一時中国の天津から部材の供給を受けたこともある。ロシア、中国共に工場が逆風に晒されているが、ロシアは完成品、中国は部材の生産拠点が流出する点が大きく異なっている。つまり、中国の場合は旺盛な内需と部品産業の集積があるために完成品工場は限られる。一方、ロシアの場合、部品の供給が弱いため、「部品の切れ目が縁の切れ目」となって完成品メーカーは撤退していく。

今後予測されるシナリオは、中国メーカーが部材をロシアに供給し、ロシア産業の中国化、中国支配を進めていくことになろう。裾野産業のない国家の弱点である。💴💹☀️🏢🚗🚀⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒🌏🇯🇵🇨🇳🇷🇺