2018.6.26   日経産業新聞の記事「眼光紙背：渡辺翁が泣いている」から

周辺地域の近代化にも貢献した宇部興産

コラムの著者は、明治政府で長州系の元勲が疑獄にあった中で、毅然と地元宇部で起業した渡辺祐策氏を紹介し今回の同社の品質不正問題について語っている。

○時代のニーズにあった多角化で成功

　長州藩出身の山県有朋、井上馨らが財閥と癒着し疑獄にあった中で、同郷の渡辺氏は、炭鉱を起業。さらに開発した後の炭鉱枯渇も念頭に入れ、炭鉱機械製造を興し、炭鉱の廃土を原料にセメントを製造した。さらに、石炭を燃料とした窒素の製造で次第に化学分野へと多角化を推進して成功した。宇部興産は、地域の近代化にも貢献し、鉄道、電気、湾港などのインフラも整えた。

そんな企業が品質不正問題で揺れている。捏造は1970年代に始まり意図的なデータ改ざんまで行われたという。事業の先々まで熟考した創業者の渡辺氏の偉業も、一気に色あせてしまった。　🔬🏢🌕💡🔎⚡️🌎