【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:シンガポール航空、和食刷新、本物志向、先陣切る」から
2017/03/21
2017.3.16 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:シンガポール航空、和食刷新、本物志向、先陣切る」から
模倣されるなら先陣を切る投資方針
コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、創立70周年、来年日本就航50周年となるシンガポール航空の機内食にみるマーケティング戦略について語っている。
○変わった和食を取り巻く環境
小野教授は、エアラインの品質ランキングで上位を占める同航空会社。シンガポールのナショナルフラグである同社が、ビジネスクラスに出される和食の刷新を図った。
人口規模が小さく、当初から他国市場で競争する宿命を負ったことからエアラインの品質ランキングで高い位置を占めている。
注目の日本食は、スイート、ファースト、ビジネスクラスで出される同社のメニューは著名な料理人を集めたインターナショナル・カリナリー・パネルで創作されるという。日本線の和食はメニューの創作から器のデザインに至るまで京懐石の老舗「菊乃井」村田 吉弘氏が監修したものだという。機内食の貧相さを改革したいとの思いでこの仕事を引き受けたという。
航空業界は、機材やシートの供給メーカーが限られており、差別化の自由度はそれほどない。すぐに模倣されることもあり、運賃やマイレージといった価格価値に重きをおきがちだ。その業界状況に対して同社が高い評価を受け続けているのは、やがて模倣されるなら、先陣を切って先に導入することが投資方針にあるという。
機材調達では、エアバス社の最新鋭機を定期便として初めて羽田空港に導入した。機内食も、機内をレストランや映画館のようにとのコンセプトの一例である。グルメメニューの創作や機内エンターテインメントも100以上の中から選べるなど充実させている。
和食を取り巻く環境も村田氏が携わった約20年前は日本人客だけが選んだが、今や世界に広まり、本物の和食を求める日本人以外の客も増加しているという。
何をどう提供するかだけではなく、どのタイミングで革新し社会にインパクトを与えるかもマーケティングとしては重要である好例でである。✈️🍴
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