【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:寺田寅彦にみる科学研究、大局的観点も重要」から
2016/07/08
2016.7.5 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:寺田寅彦にみる科学研究、大局的観点も重要」から
「天災は忘れた頃に来る」など滋味深い随筆も
コラムの著者 筒井泉氏(高エネルギー加速器研究機構准教授)は、夏目漱石の「吾輩は猫である」の寒川君のモデルとなった、東京帝国大学教授で物理学者の寺田寅彦について、その科学に対する姿勢に触れている。
◯本業である物理学者としてもユニークな存在
「天災は忘れた頃に来る」など、芸術と科学とを難なくこなす寺田寅彦は、当時からユニークな存在であったようだ。東京帝国大学では実験物理の研究室を主宰したが、地震研、航空研、理化学研究所にも研究拠点をもった。その研究テーマも多岐にわたり、
- 音響
- 磁気
- 固体の結晶構造
- 海水の潮汐振動
- 魚群探知機の開発
- 霜や雷雨、地震の発生
- 火山や温泉の構造
- 気流と渦の性質
- 気球と火花放電
- 割れ目や縞模様の生成
など多様である。さらにどの研究でも後継者を育て、新しい学問として発展する基礎を作った。
これらの研究テーマを貫くものは、偶然が支配する自然界の身近な現象になぜある種の規則性が現れるかという常識的な視点であった。これらは当時の学界では異端とされ歓迎されなかった。それでも晩年まで研究が継続できた背景は、専門という狭い世界ではなく、科学研究には大局的で常識的な観点も重要であることを、彼の実績が物語っている。
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