【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:望遠鏡設置、日米の選択」から
2015/06/03
2015.5.29 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:望遠鏡設置、日米の選択」から
各国の得意分野で解決
コラムの著者 山﨑 弘郎氏(東京大学名誉教授)は、日本と米国での得意分野の違いで同じ高性能な望遠鏡を設置するにも大きな考えの違いがあることについて語っている
○日本の障害要因の抑止戦略と米国の課題要因の一気解決戦略
山﨑教授によると、宇宙の果ての天体観測する高性能な望遠鏡には、直系の大きな反射鏡が必要になるという。反射鏡は、実質的な限界を決める要因として、巨大な反射鏡の向きを変えるときに重力の影響で鏡面が変形して画像が乱れることがある。さらに、地球の大気の揺らぎによって画僧がちらつく。重力や大気の存在は人間の活動に不可欠で、天体観測には厳しい障壁であった。
この障壁に立ち向かった日米の研究者は異なったアプローチをとった;
米国は重力もなく、大気もない宇宙空間に望遠鏡を移動して観測の限界を一気に突破する戦略をとった。一方、日本は、地上における障害要因を抑え込む戦略をとった。
米国の戦略は理想主義的である。しかし、画質を改善するためには宇宙における修理作業が容易でない。これがハッブル望遠鏡である。
日本は大気のゆるぎの少ないハワイ島の山頂にすばる望遠鏡を建設した。障壁には、200個以上のセンサーとアクチュエーターを使用して外圧で変形を補正した。大気の揺らぎは、波面の乱れを補正する光学系を取り入れ、押さえ込んだ。
日米の両立し得ない人間の生活環境と宇宙観測の環境調和を図る戦略の差異は興味深い。ただ、戦略の選択の背景は、各国の動員できる最高技術であったことは間違いなさそうである。
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