【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ピップエレキバンM、消費者の経験を意識」から
2015/06/29
2015.6.25 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ピップエレキバンM、消費者の経験を意識」から
製品を通じて消費者の経験をデザインすることで商機
コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、ピップの『ピップエレキバンM』で多段階の効果が新市場を作る事例を紹介している。
○アトラクションゲームのように次々と体験を提供
多段階の効果が新市場を開く可能性について西川教授は語っている。ピップエレキバンは1972年に生まれた磁気付き絆創膏の草分け。ロングセラーではあるが、大きな改革ができず、売上減少が続いていたという。そこで再生に向け自社商品の課題出しを行い整理したという。結果として
- 新製品を追加しても既存製品と食い合いを起こしていた
- 使うのをやめてしまう人が増えている
といったことがわかり、何故新規顧客が増えないのかをさらに調査した;
- 未利用者はエレキバンは年配の商品で自分向けでない
- かぶれるのではないか
- 効果がわからない
とわかり、中止した人も
- 効果が感じられない
- 肌がかぶれる
- 即効性がない
と同様な意見が主流であった。中止者の6割が外用鎮痛消炎剤に流出していることも分かった。また肩こり製品の購入ユーザーの6割は複数の製品を併用して、新しい効能への感度が高いこともわかった。
顧客の幅を広げて広告の対象を40代女性にした。このターゲットに共感出来る利用シーンや効能表現に変えた。さらに即効性の感じられる製品の開発も進めた。また、外用鎮痛消炎剤でメントール系製品には年齢に関係なく根強い人気があり、メントール入りの絆創膏を開発することにした。2012年発売したピップエレキバンMは、使い始めにメントールの体感できる効果を出し、従来のエレキバン同様に磁気でじっくり血行改善をはかる二段構えにした。
テスト販売でもターゲットの40代女性が獲得でき、既存製品との競合を起こしていないことも調査で分かった。この2段階効果で、下降トレンドから脱出、2013年には製品全体のリニューアルも行い、11年ぶりに業績を回復した。
このように消費者に製品を通じて経験をデザインすることも新市場の開拓に役立つことを示した。
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