【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:トイレ紙に消臭機能」から
2015/03/16
2015.3.12 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:トイレ紙に消臭機能」から
ナショナルブランドの収益の維持
コラムの著者 高岡美佳氏(立教大学経営学部教授)は、王子ネピアが4月1日に発売する消臭機能付きトイレットペーパー「ネピアにおわん」、「ネピアにおわにゃん」のマーケティング戦略について触れる。
○消臭機能の訴求と付加価値創造
同製品は、植物由来の消臭剤をペーパーの芯に配合し、いずれも二枚重ねで長さは45メートル。価格はオープンだが、店頭想定は各8ロール入りで450円程度である。
問題は8ロールが12ロールよりも同じ量であるにもかかわらず、消費者の反応が悪いということである。何と、8ロールは、金額ベースで全体の5%、容量ベースで3%程度であるという。
メーカーにとってはパッケージのフィルム使用量や配送効率の点で、流通企業にとって配送効率や収納効率の点で、消費者にとっては持ち運びの容易さや交換回数、エコといった有利性はあるのに認知度が低い。そこで、これを打開するために、市場が伸びている「消臭」をかけることで、その利点を訴求したいと考えた。ただ、消臭機能は、その価値自体を意識していない人には伝わりにくい。そこで、ネーミングをユニークにし、犬や猫の鼻でもにおわないといったニュアンスをアピール。モニター調査では、消費者に支持されたという。
食品同様、コンビニやスーパーのPB(プライベート・ブランド)商品が拡大する中で、メーカーは自社のナショナル・ブランドの収益性を上げる必要がある。安価な商品を使っているシーンで高価な商品に切り替えてもらうには、付加価値創造が必須である。かつてネピアモイスチャーティッシュ」を「鼻セレブ」としてヒット商品にしたように、どのようなシーンで利用するかを明確にして付加価値を訴える必要性があると、高岡教授は指摘している。
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