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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:地域とつながり市場育つ」から

2014.6.5   日経産業新聞の記事「西川英彦の目:地域とつながり市場育つ」から

逆転発想で新市場を拓く

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、徳島の地域と野球の関係で逆転発想により成功させた事例を示している。

○「野球による地域活性化」から「地域による野球の活性化」へ

プロ野球独立リーグである四国アイランドリーグPlusの「徳島インディゴソックス」について西川教授は注目している。2005年にスタートし、野球による地域の活性化を目標とした。つまり、野球が地域のつながりを強化するというのが当初の目標である。しかし、2010年に大口のスポンサーが抜けた後、苦境に立たされた。

そこに弁護士から転身した球団代表が就任した。坂口浩昭氏である。同氏が目指したのは、「原因」と「結果」、すなわち因果の反転であった。チームが地域を活性化するといった従来の目標とは逆転して、野球という市場を地域につくろうというものだ。

そこで、チームから積極的に地域とのつながりを求めた。野球教室や学校訪問、登下校の見守りや祭りへの参加、県産品のPR、掃除、募金と地域貢献活動を従来の7倍213件もおこなった。

スポンサーも小口設定にし、年間千円から受付、少額の支援を行ってもらって、つながりを感じてもらうことに変えた。このような施策で、スポンサー収入は改善し、その結果、最下位のチームが、2011年、2013年にリーグ優勝を果たした。さらに選手2名をプロ野球に送り込んだ。このように地域とのつながりが、野球という市場を生み出した。さらに、この野球という市場が、他の地域とも連携し、それが、収益を改善するスパイラルが周りはじまたという。baseballhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:3Dプリンターと3DCAD」から

2014. 6.4  日経産業新聞の記事「眼光紙背:3Dプリンターと3DCAD」から

試作が不要?

コラムの著者は、海外メーカーが優勢な3Dプリンターであるが、その起源は日本の工業研究所の開発者によるものであったことを語っている。

○名古屋市工業研究所にいた小玉秀男氏が1980年に光造形法の装置を初めて開発した

小玉氏が開発に乗り出した動機は、このコラムによると、

『3DCADで見えるのは2次元。2次元で立体を見せたり、画面の中で回転できても、手に取ってみることができない』

ことで、いらだちを感じたからだという。小玉氏は、3DCADでも現物は必要と直感、半導体のフォトリソグラフィー技術と印刷の版下作製技術を組み合わせて、光造形装置を作った。しかし、日本の企業の多くは、3DCADがあれば試作が不要として、欧米の3DCADシステムをこぞって導入した。

それが、今や試作がいらないはずの3DCADのデータで3Dプリンターを使って試作品を作ることが多くなっている。小玉氏の考え通りであったが、時すでに遅く、低コスト化や知財では日本勢は海外勢におされているという。国家プロジェクトとして金属造形が取り上げられたが、小玉氏のような直感は果たして有効に活用されるのか。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「パッケージNOW:押し加減で適量楽々」から

2014.6.3  日経産業新聞の記事「パッケージNOW:押し加減で適量楽々」から

パッケージがさらに差別化に

コラムの筆者 竹原あき子氏(工業デザイナー)は、前回に引き続いて、パッケージに機能を持たせ、他商品との差別化を図っている例を示している。

○仏食料オイル大手レジュール(Lesieur)社の植物オイルの容器

 従来の瓶詰のオリーブオイルを注ぐときに、最後の一滴が注ぎ口から漏れて、戸棚や保管場所を汚してしまうことが多々ある。その都度、瓶の口を拭えば済むことであるが、面倒だ。ところが同社の製品「イジオ4」はその心配がないという。

 それは、注ぎ口に備えた、四つ割りになった柔らかな透明なシリコン製のノズルで解決している。軽く押すと勢いよく飛び出し、力を抜くとピタッと止まる優れものであるという。

 さらに、今までの瓶ではスプーンに適量を注ぐのさえ難しい。しかし、この容器なら、押す力加減で微妙な調整ができる。

 このような革新的な容器を出す同社は、1908年創業の老舗である点も興味深い。1924年にもそれまでの木製のたるだったオイルの容器を卓上用のガラス瓶に置き換えたのも、同社である。老舗といえども、常に改革の努力を怠らない。pouchhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:真のグローバル人材、当意即妙の才が条件」から

2014.6.3  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:真のグローバル人材、当意即妙の才が条件」から

ウイット(当意即妙)で良き国際的な友人を作れ

コラムの著者 和田昭允氏(東京大学名誉教授)は日本人の長所である生真面目さを取り上げ、さらに、グローバル化時代には、バーナード・ショーとウインストン・チャーチルのやり取りで示されるようなウィットも必要だという。

○バーナード・ショーとウインストン・チャーチルのやり取り

バーナード・ショーがウインストン・チャーチルに、自分が演出した劇の招待状を送った。内容は、

  • バーナード・ショー:『初日においでいただければ光栄です。お友達もお連れください。でも、もしお友達がおられたらのはなしですが』

といったもの。チャーチルのっ返事は、

  • 『ご招待ありがとうごさいます。初日はうかがうことができないので、2日目に参ります。でも、もし2日目があればの話ですが』

と切り返した。和田教授はウィットも日本人が世界をまたにかけて活躍するグローバル化の必要条件に入れている。さらに、

  • 自分の考えを論理的に伝えられる会話力
  • 自分と相手の国の歴史と文化に明るいこと
  • ウィットに富んだ会話ゲームで偉大な友人を作ること

で十分条件を満たすと、和田教授は示唆している。性愛の誰からも尊敬される知性にあふれた洗練された人格をどう育てるのか。この高いハードルを越えねば真のグローバル化とは言えないと同教授は指摘する。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:頭の柔らかさ、サイエンス思考に必須」から

2014.5.23  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:頭の柔らかさ、サイエンス思考に必須」から

2つの試み

コラムの著者 和田昭允氏(東京大学名誉教授)は、指導している横浜サイエンスフロンティア高校でのサロンでのやり取り、もう一つは、同氏が主催する社会人対象の勉強会での話で、科学的思考の応用について語っている。

○サロンでのやり取り

『君たちは授業で立派な先生方から知識を教わっている。それは答えのあることで、それがちゃんと答えられるかどうかの試験がされる。しかし、このサロンは授業じゃない。「答えのないこと」をアーでも、コーでもないとひねくり回して知恵を出すところだ』

と言って軽食を行いながら話をおこなうというものだ。生徒の反応も、和田教授の狙い通り、頭を柔軟にして、次元と宗教までも一緒に考えるまでも言ったとのことである。(詳細は割愛)

○社会人対象の勉強会

幅広い社会人を受け入れた勉強会で、宇宙物理学の権威の佐藤勝彦氏を招いて行ったそうだ。そこでの和田教授は、

『佐藤さんの話は宇宙誕生のドラマで、ビッグバンとかインフレーション、あるいは相転移などのキーワードが出てきます。これらの現象は、企業活動とは全く関係はない。しかしそれらが持っている概念は一般的で、皆さんのお仕事のつぎの発展に重要なヒントを投げかけるはずです。ぜひ、現象のうしろに隠れている本質を感得してください』

と語ったそうである。

さて、この2つの試み、今必要な柔軟な頭につながるだろうか。happy01