【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:老朽下水管、日本発、再生技術に期待」から
2013/05/17
2013.5.14 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:老朽下水管、日本発、再生技術に期待」から
成熟社会の弱点を克服する技術開発
コラムの著者 山﨑弘郎名誉教授(東京大学)が期待しているのは、社会インフラの老朽化が成熟社会の弱点であり重要課題であるが、それを克服しようとする再生技術である。
○下水道の老朽化の現状
日本の下水管の総延長:43万キロ
- このうち耐用年数(50年)を経過した管路:1万キロ
- 東京23区内では総延長1万6千キロの内、2千キロが老朽化。東京オリンピック前後に敷設された下水管6千キロがこれに加わるとのこと
地下のため目立ちにくいが、官の破損や漏水で全国年間4千件以上の道路陥没が発生している。交通量の多い道路が上部にあって下水管を再敷設するとなると、大きな影響がその地域に発生するといった課題があり、さらにコストも大きい。
○革新的な再生技術
下水管をそのまま利用しながら、内壁の内側に新しい内壁を作り、旧壁との間をモルタルで埋める工法で、効率よく管路を再生する技術を、積水化学工業、東京都下水道サービス、足立建設工業などの技術者が共同開発した。
- 特殊な断面を持つ特殊塩化ビニール樹脂の帯状部材を開発
- これをマンホールから連続的に供給。らせん状に旧管壁面に巻き付けて内壁を作成
- 部材の接合接着、湾曲部の伸縮にも対応
- 円形断面以外の下水管にも対応
- 施工前に下水管を診断し、内壁を施工するロボットや旧内壁との間に特殊なモルタルを注入する機械の開発
- 分岐部分も作成することも可能
といった自動化機材と施工技術とも合わせて開発した素晴らしい再生技術である。海外も含め施工実績を積み上げており、国債規格等の策定にも注力しているという。
保守・保全といった一見地味な作業を革新的な技術で推進すれば、日本発のイノベーションとして開花するのではないかと山﨑教授は期待している。
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