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2012.11.8  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:リバース・イノベーション」から

異質なものの融合=イノベーションを途上国に求める

コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、最近の経済関係の書籍を取り上げ、途上国をビジネスの顧客と考えることでイノベーションが成功した事例を示している。

○「リバース・イノベーション」(ビジャイ・コビンダラジャンほか著、ダイヤモンド社)から

途上国で生まれたイノベーションを先進国で逆流させる考えが面白いという。グローバル・マーケティングでは、IPLC(国際プロダクトライフサイクル)で良く言われた方向とは逆であるという。IPLCでは、例えば、テレビであれば、米国⇒他の先進国⇒途上国と段階的に普及するという。

  • 米GEヘルスケア:先進国で好評な3000ド以上の心電計が、医療事情の悪いインドでは売れない。そこで、800ドルの簡便・軽量の新機種MAC400を開発したところ、瞬く間に普及した。
  • 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G):、最先端技術の生理用品が全く売れない。現地の需要を基にコンセプトや商標名から開発するといった手法で新商品の導入に成功したという。

○「ネクスト・マーケット」(C・K・プラハラード著、英治出版)から

BOP(ベース・オブ・ピラミッド=最貧国市場)という用語を広め、途上国向け戦略の大転換を提言している。途上国は寄付や援助の対象ではなく、顧客として捉えろという。

  • 英蘭ユニリーバ:アンナプルト・ソルト(ヨード添加塩)。この塩は途上国の多く子供たちがヨード欠乏によって知的障害を起こすことから重宝されていた。インドでは約2割はヨード添加塩であるが、同社は、搬送や調理で失われるヨードを分子レベルでカプセル化し成分を保つことに成功。シェアを大きく伸ばしている。

○「コトラーのマーケティング3・0」(フィリップ・コトラーほか著、朝日新聞出版)から

途上国は先進国と事情が全く異なることを前提にすべきと説く。

  • アジアの住宅メーカーの事例:先進国では住宅だけ売ればよい。途上国では、道路沿いの商店スペースを一緒に提供しなければ、購入に先立つ雇用も必要だという。

途上国に異質なものを融合してイノベーションを起こす源泉があると、欧米メーカーは見始めている。happy01

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