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2012.2.15  日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑭」から

社員の自由を担保した上で最低限守るべきことをきちんと定める

コラムの著者 酒巻氏(キヤノン電子社長)は、コンプライアンス(法令順守)について社内でリーダーが取るべき考えを説いている。

○コンプライサンスに委縮せず

昨年来の大企業の不祥事を受けて、コンプライアンスの重要性が改めて指摘されている。一方で、コンプライサンスの行きすぎで組織を委縮させているという批判があるという。何のためのコンプライアンスかといった根本部分が不在である。何かあると困るからと、あれをやってはダメ、これやってはダメと予防措置的に管理を厳しくしている?結果かもしれないという。

コンプライアンスとは、本来、法令の順守を基本として「倫理」に基づき行動することである。倫理を欠いての法令順守では、「法令違反さえしなければ何をしてもかまわない」という違法すれすれの行為に出てくることになる。その結果、社会に迷惑が及ぶ事態になれば、例え法令違反してなくても企業倫理が問われ、組織はたちまち信用を落とし、取り返しのつかない痛手を被ることにもなりかねない。

大事なことは倫理である。ここで言う倫理とは、人に迷惑をかけない、騙されないといった当たり前の道徳的観念である。であれば、何に委縮するのか。

その要因は「何かあったらどうする」とリーダーがその枠の外までも心配して、縛りをかける。おかしな相互監視をしたりして、社員が委縮する。こう言った愚を避けるために、最低限守るべきことを明確に定めてた上で社員の自由を担保したい。

○倫理と常識は新人の時から

酒巻社長は新入社員のときから社会人として当然身につけるべき世の中のルールと倫理をきちんと教えることが肝要だという。これを怠ると、倫理に欠けた法令違反や脱法行為が当たり前になり、リーダや先輩が見逃すうちに、倫理観が麻痺してしまう。やがて権限のある地位となったときに背任や粉飾決算などの大きな悪事に手を染める可能性もある。

「これくらいなら良いだろう」という小さなルール違反の繰り返しが、やがて大きな世間を騒がす不祥事に発展する。倫理なき企業風土は極めて怖い。小さなルール守れない人に大きなルールが守れるはずがないと酒巻社長は警告する。sign03

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