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2010.12.9の日経産業新聞の「美術で磨くグローバル思考⑧」より

日本人の天性を「温故知新」で評価

コラムでは、「ガラパゴス化と日本的試練」と題して江戸から明治、そして戦中戦後の美術史から、日本人の天性を解説している。世界標準に対する日本の独自の発展をガラパゴスと称するなら、鎖国時代の江戸時代はガラパゴス化そのものということができる。

ガラパゴス化は、江戸の素晴らしい文化が、美術史では欧州や米国に及ぼした影響は決して小さくはない。印象派の画家たちに影響を与えた写楽や北斎は証左のとおりである。

ボストン美術の館学芸員であった岡倉天心は、既にこのガラパゴス化を進める天性を見抜いている。「古いもの失わず新しいものを歓迎する」ことを日本人の天性とし、自在置物を含む工芸的・装飾的伝統を評価した。

まさに日本人の感性の泉は「温故知新」にあるわけだ。ガラパゴスでの是非も重要だ、しかし、その恩恵を考えた場合、江戸時代は、国内が主で大海の外とのやり取りは出来ない時代であった。明治はその反動で、国際化する。高度経済成長で、再びガラパゴス化すると、次は国際化だというわけである。高度経済成長では、確かに外国製品の憧れはあったが日本国内の製品で十分だあった。今回の国際化は世界標準に乗るだけではない。今回はそれをリードしなければならない。リードを行うには、ガラパゴスの源泉の温故知新がヒントになるのではないか。

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