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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞 - 強い大学 シリーズ

2010.07.05の日経産業新聞の特集記事より

強い大学とは? 「育てる」を忘れた教育機関

 日経産業新聞のこの特集では、大学の法人化に伴う問題点を浮き彫りにしている。大学を小中高の一貫教育として、塾の存在までとりこんだもの。学費を取り込むために就職先のレベルで勝負しようという動き。留学生を軸にして国際化を謳うもの。どれを見ても、学生に対する「指導」や「学習」は語っているが、「育てる」話は出てこない。

 育てることは、コストを上げることだけなのか?

 先ごろ、明治大学学長の杉山先生のお話を聴く機会があった。杉山学長が語った中で『大学は、「教える」、「育てる」がなく「研究」にのみ没頭すればその存在価値がなくなる』という言葉があった。かつての大学教官は、研究さえできれば象牙の塔の住人として名誉であった。しかし、学生にその研究成果を教え、研究するこころをもつ人財を育てることが今の大学の役割であると。

 研究は自発的で、しかも創造的な活動である。企業が研究する商品開発や技術開発は、そういった意味では自発的でなく、研究とは呼べないかもしれない。では、自発的で創造的な活動は、どう育まれるのか?そこに大学教官や教員に必要な人財教育がある。さらに重要なことは、自発的であるということ。創造性は企業の研究所でも求められるが、自発的にテーマを選び、探求し、真実を求めるアプローチに必要なことは創造性になる。自発的でなくなった途端、学生との関係は、階層社会そのものになってしまう。

 名古屋大学で多くのノーベル賞を受賞した要因は、自由闊達な研究室の意見交換(時には激烈な論戦)であったという。また、こういった環境を伝統的に引き継ぐ、教員の先見性があったに違いない。

 大学は最高学府であり、最高の人財開発の場でなければならない。