【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑬Let's challenge!
【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑭Let's challenge!

【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑭他人との会話を大事にしよう!

 これまで、アイデアのネタはもっぱら自分から出したものでした。今度は、会話を通じて話し相手からネタを頂戴することを考えてみましょう。

語る話、聴く話

 ハイデルベルグやダ・ヴィンチ、平賀源内も発明や発見の業績の裏には、周りや仲間、ライバルとの討論があります。言い換えれば自分の考えを交換できる相手との交流です。さらに、発明や発見の前に、必ずと言っていいほど激しい討論があります。討論は他人の理解を得ることです。同時に、自分のアイデアの欠点に点検する効果もあります。

 このような建設的な討論は、発想を支援する力になります。逆に批判的な意見は、発想を萎めてしまいます。批判的な討議をしないで、建設的な討論ができないものでしょうか。

 2つの努力が必要です。1つは、自分のアイデアを語ってください。説明するのではなく、語るのです。差がわからないって?そうアイデアを自分の言葉で、相手に、語るのです。説明では、アイデアの素晴らしさや希少性などを強調しますが、語る場合は、自分がこのアイデアを出した背景やきっかけ、動機を話します。次に、アイデアが出たことで、どのような気持ちになり、ワクワクしたかということです。アイデアの説明では、アイデアの開示にはなっても、聞いた相手には素晴らしさを押し付けられたと感じ、アイデアが相手に理解されないものであれば、無視か反発するだけです。アイデアを語ることで、相手の協力を得るのです。つまり、ワクワク感を聞いた方も感じて、何か手伝いたいと思ってもらうことが大切なのです。こういった段階になって初めて、サポーターあるいはアドバイザーとして建設的な意見をもらえることになります。説明しないで語ってください。

 二つめは、聴くことです。建設的な討議になったとき、先ずは相手の意見やコメント、フィードバックを聴いてください。「聴く」のであって「聞く」のではないことに気付いてください。「聴く」のは心、つまり相手の支援したい、といった気持ちに対して謙虚に聴くことです。「聞く」は、物理的に耳で聞くことです。聞く耳は持つけれど、自分のアイデアを頑なに固辞しすぎることです。折角相手に自分のアイデアを聴いてもらう機会を得たのですから、自分とは違った考え方、アイデアを聴き逃さないことが重要です。そこに新しいアイデアのヒントがあるかもしれません。

無駄話に本当のニーズあり!

 討議と言っても、肩肘はったものではありません。仲間との意見交換です。話題に参加していない人から見ると、無駄話のように聞こえるはずです。一見無駄話と思える討議に、発案者への本音が出て来て戸惑ったり、新しい展開で、アイデアが広がったりします。

 リラックスした中で、思いついたアイデアを叩き合うことは、ヒット商品を企画する上で非常に重要なことです。仲間の本音の中に、お客様の視点があるからです。「いいアイデアで使いたい。さらに、□□の機能があれば、もっと使うのに・・・」という口調です。アイデアの否定ではなく、使われ方、アイデアの応用範囲、アイデアを包み込む、もっと大きなニーズという視点です。

 あなたも、ブレーンストームという言葉を聞いたことがありますね。脳を活性化するために、「批判しない」、「質より量」、「他人のアイデアに乗ることも自由」といった、アイデア出しの手法です。ルール1やこの本の練習も基本的には同じ意図です。ブレーンストーム、脳の嵐を起こすには、建設的な討議が前提です。

 無駄話こそ、どうして聞き手がそんな意見を持つのかを冷静に検討する最良の時間と思ってください。

ヒットの陰に「何気ない」意見あり

 米国アップル社の製品に、iPhoneという多機能電話があります。それまで日本では、同様の製品が数多く発売されていました。機能的には、日本の既存の電話の方が高いとも言われていました。後発のコンピュータメーカーのアップルがなぜ、携帯電話を必要としたのでしょうか?

 その疑問が解けたのは、iPhoneが発売される5年ほど前に、米国出身の同僚に聴いた何気ない意見でした。「日本の電話は凄いけれど、僕の欲しい電話じゃない。」何気なく聴いた意見にその理由を聞いてみたのです。「マックもPCも自由にプログラムを自分で決めて動作させる。ここまで機能の高い日本の携帯電話で、逆に不自由なことは、いらない機能が多くて、本当に欲しい機能が、モデルチェンジの時に消えていることもあるということ。それでいて、誰でもが使うのが携帯電話。欲しい機能だけついた携帯電話ってどうして出来ないのだろう。」

当時、同僚のこの言葉に出来ない理由を説明できませんでした。その回答の1つが、iPhoneだったのです。つまり、製品は同じだけれど、使っている機能が利用者によって違う携帯電話の登場だったわけです。

 何気ない意見と思えたのは当時の私の見方が、当時の携帯電話とはこういうものだ、という既成概念に捕われていたからでしょう。本当のニーズを的確に表現したのは、同僚の意見の方でした。何気ない意見などではなく、ずっと疑問に思っていたことを吐き出した意見だったのです。

 企画や開発、制作といった仕事を自分でも手がけ、仲間が仕事を進めている中で、常に念頭に置くべきことがあります。それは、「我田引水」、「裸の王様」になっていないかという点検です。時には、この警告を無視した場合、仲間として注意してくれるといったことが、一番感謝すべきことです。

 今回のプラクティスは、アイデアを語り、仲間の意見を聴く練習です。自分が発想を語るときに、我田引水になっていないかもチェックしながら進んでみましょう。

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