【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:『脱・株主第一』は止まらず」から

2024.9.11  日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:『脱・株主第一』は止まらず」から

米テキサス州での法廷闘争は言論の自由、企業経営に大きな影響を与える

コラムの著者 ジリアン・テット氏(FINANCIAL TIMES コラムニスト)は、米テキサス州政府を持続可能な事業慣行を推進する企業団体「アメリカン・サステナブル・ビジネス協会(ASBC)」が提訴したことを取り上げ、これが言論の自由や企業経営の戦略に大きな影響を与えると述べている。

○単なるESGの是非論争からさらに複雑な課題へ

テット氏によれば、米テキサス州政府が提訴された内容はESG(環境・社会・企業統治)戦略を掲げている企業をブラックリストに指定することにした2021年、2022年の州政府の決定を不服としていることである。

同州の右派の政治家が、当初、ESG活動家が気候変動に関する見解を他人に強いることを阻止する対策としてブラックリスト指定を正当化したものという。だが、ASBCの原告側は、この決定が、暗に金融界に化石燃料の支援を強いることであり、言論の自由のルールを破っているのは、反ESG運動の方であると訴えた。つまり今回の訴訟は法律的な「返し技」である。

この訴訟のポイントは2つあるとテット氏は述べている:

  • 5年前のESGという言葉が大流行した当時とは、取り巻く風潮が大きく変わったこと:
    • 2019年米経営者団体のビジネス・ランドテーブル(BRT)は米経済学者ミルトン・フリードマンが提唱した「株主第一」からの脱却にそって、代わりに社会の利益と価値観を取り入れる「ステークホルダー(利害関係者)」の枠組みを提唱した。
    • 以後、ESGやDEI(多様性、公平性、包摂性)が右派の格好の標的となる
    • 一方、実業界や金融界の多くは政治的標的となることを避けるためにこのような言葉は控えている。
  • 反ESG運動が見かけの上よりも複雑になってきた。運動の先は見えない:
    • 一見、20世紀終盤のフリードマンの考えに戻ろうとする試みに見えたが、意外にも株主第一に戻ることを名国にするのは少数派である。従業員、サプライヤー、コミュニティーというステークホルダーと社会の利益重視を求めているのは、左派だけでなく反ESG派にもいる。

テット氏は、このような変化の要因が企業に対する社会の態度の変化にあると見ている。フリードマンの論説が強い時には市民は一般的に社会課題の解決を企業ではなく米政府の役割だと考えていた。つまり企業の透明性に期待を置いていなかった。今は企業がイニシアティブをとるべきという考えが優勢である。また、経営者も次第に自分たちが事業を営む社会的、文化的背景をもはや無視できないと感じ始めている。

一方、企業への最大のショックは、過去10年、ESGではなく、気候変動、パンデミック、ジェンダーの権利、政治的対立、戦争が別の世界から起こった。つまり、ESGという旗印の是非とは別に、ステークホルダー主義が繁栄してきているということである。迫り来る米大統領選挙と同様にテキサス州のこの訴訟の行方をステークホルダーは知らねばならないとテット氏は指摘している。🏢💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「あすへの話題:再生可能エネルギー」から

2024.9.9  日本経済新聞の記事「あすへの話題:再生可能エネルギー」から

再生可能エネルギーは自然や地域との共生が大前提

コラムの著者 國分 文也氏(丸紅会長)は、東海道新幹線の車窓の風景から太陽光発電から再生可能エネルギーの次への段階について語っている。

○災害問題やパネルなどの廃棄問題の対策が次へのステージ

國分氏が東京駅から西へ車窓を楽しむと、緑豊かな山や農地が広がり始め、緊張が解けていくという。ただ、風景の中に太陽を受けて銀色に光る物体が頻繁に目に飛び込んでくるという。小規模な太陽光発電施設である。畑と住宅の間の狭い空間や山の急斜面のわずかな空き地にも嵌め込むように太陽光発電パネルが設置されているという。

太陽光発電施設には、広大な土地に多数のパネルを設置した「メガソーラー」と呼ばれる大規模なものから、限られた土地に小規模に建設されたものまでさまざまである。國分氏も、誤解を恐れずにいえばと、前置きしながら、小規模な施設の中には周囲の環境や土地の条件に似つかわしくないと感じるものがあるという。

再生可能エネルギーは自然や地域との共生が大前提である。しかし、これが、地滑りや崩落といった災害の原因になっては本末転倒で、行政においても対策への仕組み作りが進められているが、今や線状降水帯による桁違いの豪雨などを見ると安心していられない。

もはや「再生可能エネルギーといえば何でも増やせ」という時代は終焉を迎え、地域の安全や景観といった秩序ある開発を強力に推進する時代となっていると國分氏は指摘している。さらに耐用年数を超えた太陽光発電パネルの処分問題もクローズアップされている。再生可能エネルギーの開発そのものが、強制と循環に基づく新しいステージに突入したと、國分氏は示唆している。🍵💡☀️⚡️🧅💬📗📕👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「推し博物館に寄付いかが、クラウドファンディング活況」から

2024.9.7  日本経済新聞の記事「推し博物館に寄付いかが、クラウドファンディング活況」から

コロナ禍が契機/特典ツアー魅力

コラムの著者 草塩 拓郎氏(日本経済新聞社)は、滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)を事例に博物館や美術館が新たな財源にクラウドファンディング(CF)を使って財源の確保と特典で熱心なファンを惹きつける効果があることを示したいる。

○英米の比べ寄付収入の少ない国内

コラムによれば、知と文化を担う博物館や美術館の新たな財源としてCFが名乗りを上げているという。まだまだ欧米に比べ、取り組みは遅れているが、新型コロナウイルスの感染症拡大で入館数が激減したことをきっかけに普及は広がっているという。CFの導入は財源の多様化ができることや普段は立ち入れない展示の舞台裏を見学できるといった特典で熱心なファンを惹きつける効果もあるという。

滋賀県立琵琶湖博物館では、2023年2月に、ビワコオオナマズを展示する水槽が割れる事故が発生した。幸いなことに怪我人は出ず、ナマズも無傷であったという。しかし、水槽を点検すると、複数の傷が見つかり、全ての水槽を修理するには数千万円以上かかる。そこで、同博物館は、来館者がくぐるトンネル型水槽の窓と、他の6つの水槽の修理費を2023年11月から2024年1月にCFで寄付金を募集した。担当部門長は、目標の500万円も集まらないのではないかと不安であったが、実際は、1159万3千円が集まったという。募金の返礼として日本の主な淡水魚を感謝状や琵琶湖に棲む生物などを盛り込んだデスクトップの壁紙を用意。普段は立ち入れない淡水に棲む希少な魚を保護する施設への見学ツアーなども人気を集めたという。寄付が体験につながり、さらに熱心なファンを再生産する好循環ができてきた。

博物館や美術館は国や地方自治体が支出する公的収入と、入館料やグッズの販売などによる事業収入の2本を財源としている。ところがコロナ禍で入館数が激減し、文化庁の調べによると全国の博物館の9割が休館し、入館料収入は2019年の半分以下となった。

指導した日本国内のCFも課題が残る。財源に占める寄付収入の割合は1%程度以下の博物館が多く、米英の大手博物館の10分の1程度であるという。博物館や美術館を市民が支える意識がまだ低く、寄付を集めるノウハウを持つ人材も不足しているという。さらに寄付に関する税制も改善の余地があると、CF大手のREADYFOR(東京・千代田)の広安みゆき氏(認定ファンドレイザー)も指摘している。寄付文化を日本に根付かせる広い施策が必要なようだ。💴🖼️🐡🐟🦭🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「春秋:感染症と戦争」から

2024.9.8  日本経済新聞の記事「春秋:感染症と戦争」から

悪疫をのさばらす過ちを犯すなら全人類への敵対行為

コラムの著者が紹介しているのは、歴史上、感染症と戦争はしばしば互いに強く影響しあうことが研究から明らかになっているということである。エイズも1981年に最初に患者が発見され、その後中央アフリカで大流行した。その背景に、1978年のタンザニア・ウガンダ戦争と、続くウガンダの内戦で政権が崩壊した。

○戦争はウイルスからみれば人間の愚かさに笑いが止まらないかもしれない

コラムの著者によれば、徴兵や暴力、国土の荒廃による衛生面の環境悪化が、感染症を拡大させる。歴史上最悪のパンデミックを引き起こしたスペイン風邪もそうだという。第1次世界大戦末期の1918年、ヨーロッパの西部戦線にいた軍関係者や兵士が次々と感染し、ドイツ軍、連合軍の双方に多数の死者を出した。結果、戦争の終結の要因の1つになったという。

国連も2020年3月新型コロナウイルスの感染拡大で、グテレス事務総長が「地球規模の緊急停戦」を呼びかけたという。だが、ロシアによるウクライナ侵略が発生。さらにイスラエルとハマスの戦闘が続いている。ウイルスからみれば人間の愚かさに笑いが止まらないかもしれない状況であろう。

再び、感染症をのさばらす過ちを人類が犯し続けるなら、それは全人類への敵対行為という他はないとコラムの著者は非難している。😷💉🦠🚲🍼👶📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『空気なんだよ、愚か者』の時代」から

2024.9.7 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『空気なんだよ、愚か者』の時代」から

クリントン元大統領の「経済なんだよ、愚か者」をもじって今は

コラムの著者 小竹 洋之氏(日本経済新聞社 コメンテーター)がいう、「空気」とは教育も議論もデータも、そしておそらく科学的解明も歯が立たない「妖怪」のようなもので、SNSなどの追い風を受けて、主要国の選挙で世界の脆弱さを見せつけたという。小竹氏の指摘を追ってみよう。

○厄介な「空気」で左右される政治の動き

米国では、2008年9月のリーマン・ショック前後に近い低水準の消費傾向から抜け出せないでいるという。高齢で不人気のバイデン大統領が11月の米大統領選挙からの撤退を強いられたのは、現実とは異なるバイブ(vibe)があるからだとされる。バイブは、空気、雰囲気、心理といった意味を持ち、今の米国ではこの言葉が蔓延しているという。そして、「バイブシフト(雰囲気の変化)」で、ハリス副大統領は当初、指導者としての力量に疑念があったにも関わらず、バイデン氏の後継候補に収まった途端、救世主と見られるようになった。個人の印象が公約を勝る「空気」に乗って、トランプ前大統領と接戦となっている。

クリントン元大統領が景気停滞の克服こそが重要と訴え、ブッシュ元大統領に再選を阻んだ。この時の言葉が、「」経済なんだよ、愚か者」といったことを、今の「空気」の影響をもじって「空気なんだよ、愚か者」と言いたくなる時代だと、小竹氏は訴えている。

米国だけでなく、日本のポスト岸田政権も、ドイツのシュルツ首相やフランスのマクロン大統領が低支持率に喘ぎ、全てが悪いと断じて刷新を迫った有権者の動きなど、「空気」が働いている。時代の流れに応じて民意は移ろい、選良の資質や政策も変わり得る。

SNSも「空気」の動きに敏感であるが、その空気に「歪み」を生じさせているという。SNSが拡散する極論、フェイク、陰謀論は正常な世論形成や政策決定を妨げる恐れもある。妖怪である空気はさらにSNSで追い風を受けつつ、大きな力を振るい始めていいる。そこには主要各国の政治や経済の弱さが「空気」を生み、さらにその「空気」に政治や経済に影響を与えるスパイラルが生じている。そこから脱出するには確かな国家観や経済・外交政策を競う議論が必要だと小竹氏は指摘している。🌀🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸🇩🇪🇫🇷🇯🇵