ビジネスへの応用

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AI、多国間協力に光」から

2024.10.31   日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AI、多国間協力に光」から

インターネットと同様にAIの可能性と安全性は世界の公共財

コラムの著者 イアン・ブレマー氏(米ユーラシア・グループ社長)とマリーチェ・シャーケ氏(元欧州議会議員)によれば、近年、国際的な多国間主義は悉く厳しい状態にあるという。例えば、国際連合の安全保障理事会はロシアによるウクライナ侵略も阻止できず、パレスチナ自治区ガザとレバノンでは停戦もできていないという。国際連合のCOPでも温暖化対策に必要な加盟国の対応を十分に促進できていない。いまだ保護主義が強く、国家連合や経済圏に分断されている状況である。その中で多国間主義で希望が持てる事項としてデジタル技術と人工知能(AI)の世界的統治に関する包括的な枠組みであるグローバル・デジタル・コンパクト(GDC)を採択した。ここでの熱意は、世界中の誰もがAIの恩恵を受けられるようにすることだという。両氏は国連での取り組みについて解説している。

○AIには膨大な需要が存在するが、成長に目を光らせるインフラや仕組みが必要

ブレマー氏とシャーケ氏によれば、国連のグテレス事務総長は約1年前に国際的にAIをどのように統治すれば全人類の役に立つかの意見を求めた。ハイレベル諮問会議を立ち上げ、その報告書をコラムの著者らが執筆して報告した。各大陸から39人のメンバーが選出され、政府や学識経験者、市民団体、テック企業の代表で構成された。そこで、AIに関する国際科学パネルの設置を提言し基本的な承認を得た。

このパネル設置には、気候変動対策を通じて得た教訓がある。AI技術開発の進捗分析という難作業が不可欠で、これをパネルが担い、目標や議論、政策決定の判断材料として政策立案者に中立でかつ事実に基づく根拠情報が提供できることになる。

一部ではなく世界の誰もがAIの恩恵を受けられることを熱望するが故の活動である。共通の知識基盤の構築に加え、あらゆる国やコミュニティーでAIへのアクセスを強化する取り組みを勧告している。中には、国連がこのような統治をAIに行うことやその役割を疑問視する意見もある。国やテック企業が取り組むべき課題も山積しているが、インターネットの利用と同様にAIの可能性や安全性は世界の公共財である。🇺🇳🛜🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:地元への投資に目を向けよう」から

2024.10.30   日本経済新聞の記事「私見卓見:地元への投資に目を向けよう」から

地方でも投資が注目

コラムの著者 吉川 正経氏(ゆうちょ銀行 調査部 グループリーダー)によれば、これまで日本国内は投資に対して消極的であったという。総務省の全国家計構造調査を地域ごとに分析すると、都市部に比べ地方の方がさらに投資に消極的であった。そこには可処分所得やリスク選好の都市部と地方との差異があったが、ここにきて海外市況やNISAの促進などで投資が注目を浴びると見ている。さらに吉川氏はその投資先を海外でなく、国内、とりわけ地方に誘導することを提案している。

○投資先を国内、特に地方へ誘導するのも国内資産の点で有益

吉川氏はさらに、最近のインフレーションの定着による現金・預金の実質的な目減りやNISAの整備、国内外の株価上昇を背景にしているのではないかという。全国的な投資ブームが起こる可能性もある。これは地方でも同じ傾向である。

預金するよりも期待の高い投資の拡大は、長期的には資産運用の増加につながり、消費の増加などの家計環境の改善に役立つ。だが、多くの投資先が、米国株式に偏っているのは気がかりであると吉川氏は指摘している。日本に比べ高成長の海外からのリターンは確かに家計を一助になるが、国内から投資の原資が海外に流出しているとも言える。

そこで、吉川氏は、投資先を国内、とりわけ地方に誘導してはどうかとの提案をしている。投資先がさらに地元であれば、地方の成長を支援することになり、地域活性化につながる。地域に愛着を持つ人が地元の企業に投資するならば、投資のリターンプラス地域活性化の恩恵も受ける利点があろう。

すでに地域に投資する仕組みとしてクラウドファンディングがあるが、利用率は投信などに比べて低い。現在の法律では制限があるが、例えば、地域金融機関が行なっている地域活性化ファンドに個人が投資信託のように簡便に投資できるといった仕組みも考えられるという。確かに投資環境を整えるのに多くの手間や法律の改正などが必要だが、それ以上に地域住民に地域活性化を促進するという意義が大きのではないかと、吉川氏は考えている。🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:AI導入に必要な慎重な姿勢」から

2024.10.29   日本経済新聞の記事「私見卓見:AI導入に必要な慎重な姿勢」から

AIを脅威ではなく善の力として活用させる視点からアプローチすべき

コラムの著者 スーザン・マーティン氏(英国規格協会(BSI)CEO)は、総務省の2024年度版情報通信白書を使って日本企業が他国に比べAIをあまり活用していない背景について考察し、そこから日本的なアプローチの特徴を考察している。

○新技術にすぐに飛びつくことなく見極める

マーティン氏は、同白書による活用をみると、日本では9.1%の人しかAIを「利用」しておらず、中国では56.3%だったという。マーティン氏のBSIの調査でも、日本のビジネスリーダーに対する世論調査で5分の1がAIをリスクと見做し、懸念事項として主にサイバーセキュリティを挙げているという。しかも、殆どの日本企業がAIへの投資を考えねば競争優位性は保てないかもしれないとも考えている。しかし、今後5年間の投資額は中国が100%であるのに対して日本はわずか3分の2にとどまっているという。

このようなAIの成熟度の遅れは、マーティン氏によれば、日本独自の価値観、つまり特に十分な検討をせずに新規導入したり、既存の手続きを変更するといったことには消極的であることが要因であると考えている。このような「様子見」戦略はAIの誇大宣伝が席巻する中では健全な態度であろう。日本も英国もAIの影響やリスクに対する懸念が主流になりつつあり、規制、管理、監視の強化といったネガティブな面が浮上している。

さらに日本における成功は、必ずしも一番になることではなく、社会全体の信頼を築き、うまく導入する点にある。日本企業の慎重なアプローチは、他国の成功や失敗から学び、真に社会に利益をもたらす方法で進歩をか加速させる位置付けにあるという。日本的なアプローチはAIに投資しながらも善の力として活用することにあると、マーティン氏は見ている。❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇬🇧


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『小さなAI』は大を兼ねるか、機動的な開発戦略を」から

2024.10.27  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『小さなAI』は大を兼ねるか、機動的な開発戦略を」から

AI開発の枠組みを変える可能性も

コラムの著者 吉川 和輝氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、AIの研究開発の中心は、大規模言語モデル(LLM)であるが、存在感が高まっているのは大規模ならぬ軽量のLLMで日本企業の研究開発も盛んだという。果たして小規模モデルは米有力企業がスケールを重視したAI開発を推進している中でその可能性はどうなのかを解説している。

○「AIの民主化」よりも「覇権主義」の台頭が早いか?

吉川氏によれば、NTTではtsuzumi(つづみ)という軽量LLMを開発中であるという。同社以外の日本企業では日本語能力を強化した比較的小規模なLLMを重視している。国内ではAIを応用を業務改革やスマートフォン搭載などの需要が大きいためだという。

LLMのダウンサイジングは世界的に進み、米MSはモデルのパラメーター(機械学習によって調整される変数)を少ないビット数で表現する1ビットLLMを開発した。従来のLLMと同等の性能で消費電力を抑制でき省エネルギーにつながる。ソフトウェア開発の世界的な技術プラットフォーム、GitHubではEntropixというプロジェクトが進み、情報理論におけるエントロピーの概念を応用してLLMの推論を効率化する試みを行なっている。モデルの規模は1000分の1にできる可能性もあるという。

一方で米巨大テック企業の多くは、ハイパースケールという大規模なAI開発用のデーターセンターの建設を計画している。ここに中国勢も加わり、AIの覇権を狙う「軍拡競争」の様相となっているという。

日本企業の中でも例外的にスケール志向を示しているのがソフトバンクグループの孫正義会長兼社長で、軽量化による「AIの民主化」が進む前に最先端のハイパースケールのAI技術が覇権を握る可能性もあるからである。そこには汎用人工知能(AGI)の早期実現が研究開発の速度を上げる要因になっている。

吉川氏は、小さなAIモデルも技術開発の枠組みを変革する可能性を秘めているという。小さなAIの集合知でAGIを実現するという狙いもある。日本政府や企業は、今後の技術動向を見極め、研究開発の戦略を機動的に打ち出す必要があると、吉川氏は指摘している。🧠📱🛜💊👩‍🎓🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:グーグルは第2の『ベル研』か」から

2024.10.26   日本経済新聞の記事「Deep Insight:グーグルは第2の『ベル研』か」から

米AT&Tを彷彿とさせる最近のGoogle

コラムの著者 村山 恵一氏(日本経済新聞社 コメンテーター)は、2桁のノーベル賞受賞者を輩出したベル研究所の研究環境や親会社の米AT&Tの当時の状況を彷彿とさせる、米Googleについて同じ轍を踏まないためにも米新政権は競争政策とAI規制など難問を解かねばならないと感じている。

○2024年のノーベル賞はAIの分野で米Googleの関係者3人が受賞

村山氏によれば、2024年のノーベル物理学賞はAIの分野でジェフリー・ヒルトン氏(トロント大学)で2023年まで米Googleに所属し、化学賞のデミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー両氏はGoogleの持株会社、アルファベット傘下のグーグルディープマインドで、それぞれCEO、ディレクターを務めているという。

興味深いことに、Googleの研究環境について、ハサビス氏は「黄金時代のベル研究所に触発された。似たものをつくりたかった」と語ったという。

ベル研究所は1925年、米AT&Tが創設した。現在は業界再編でフィンランドの通信機器大手ノキアの傘下にある。同研究所にはトランジスタやレーダー、太陽電池、通信衛星など産業界に大きな貢献をした成果がある。研究所は、専門分野の壁を越えた交流でアイデアを育ててきた。数学者、化学者、材料科学者、冶金学者、エンジニアなどが同じ研究所で交流したという。

さらにこの研究所の特徴は、潤沢な研究開発費が親会社のAT&Tから提供され、研究者は息の長い研究にじっくり取り組める自由があったという。こうした研究環境が2桁のノーベル賞受賞者を輩出した。一方、グーグルディープマインドはベル研究所を規範として、機械学習やAI、工学、物理学、生物学、哲学などの世界的権威が集まっている。資金もベル研究所と同様に設立4年後のお2014年に収益力のあるGoogleに買収された。

研究環境に非常に似通っているベル研究所とグーグルディープマインドだが、親会社の悲哀も似通ってきている。Googleの検索サービスは反トラスト法(日本でいう独占禁止法)違反だとする米司法省が、独占の是正案を裁判所に提出した。提案には会社分割や事業の売却が含まれている。かつて1974年司法省はAT&Tに対して反トラスト法訴訟を起こし、1984年にAT&Tは分割された。ベル研究所もリストラや人材流出で、かつての輝くを失っていった。

もちろん、GoogleはAT&Tの轍を踏むことは回避したいだろう。多くの巨大テック企業が独禁裁判に直面している。だた、中には米国内の巨大企業が独禁裁判で弱体化すれば、テック覇権を狙っている中国に利を奪われかねないとの声もある。課題はノーベル賞を取るような企業の解体をどう向き合うべきかであり、受賞が免罪符ではなく、冷静と公正で判断する必要があるときだ。🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸