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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「WAVE:知られざる偉人」から

2023.4.6   日経産業新聞の記事「WAVE:知られざる偉人」から

バイオテクノロジー黎明期の金字塔を打ち立てた宮家隆次氏

コラムの著者 室田 浩司氏(京都大学産官学連携本部長)は、日本のイノベーションでノーベル賞受賞者意外にも現代の極めて重要な研究を行ってはいたものの一般には知られていない研究者について触れている。

○米バイオテック企業のアムジェンを成長に導いた研究成果とは

日本の大学の成果から生まれたイノベーションの多くはノーベル賞受賞者の研究が著名である:

  • 本庶佑教授(京都大学):免疫チェックポイント阻害因子の発見はがん治療のあり方を変えた。
  • 赤崎勇教授と天野浩教授ら(名古屋大学):青色発光ダイオードの発明は高輝度かつ省エネルギーな白色光源を生んだ。

室田氏はこれらのノーベル賞受賞者以外でほとんど一般に名前が知られず、大きな成果を世界に残した研究者を紹介している。熊本大学出身の宮家隆次氏である。

熊本大学医学部の研究者であった宮家氏は、体内に存在することと赤血球を増やすことはわかったが、当時、世界中の研究者が単独分離に成功していない「エリスロポエチン(EPO)」の研究であったという。

EPOは赤血球の不足によって産生されるために、宮家氏は重度の貧血である再生不良性貧血の患者の尿にEPOが豊富に含まれているのではないかという仮説を立てた。そこで、熊本大学病院や近隣病院の外来患者の尿を集め、特殊なフィルターで濾しEPOの濃縮に取り組み始めた。実験はまさに昼夜兼行で行ったが、大量の尿の悪臭と戦って得られたのが2.5トンの尿からわずか15mgのEPOの粗精製品を得たにすぎなかった。しかし、動物実験で赤血球増の効果が確認された。問題はEPOを純粋な物質に生成する実験装置も研究費もなかったことである。

この苦難を乗り越えるため、宮家氏はライバルである米シカゴ大学を頼ることにした。その後宮家氏は研究を続け、1976年7月、ついにEPOの精製に成功した。この成功で、EPOのアミノ酸配列がわかり、後にEPOをコードする遺伝子も発見された。シカゴ大学と共同研究でEPOを医薬品として開発したのが米バイオテック企業、アムジェンであった。

EPOを有効成分とする「エポジェン」は透析患者を対象とした臨床試験で極めて高い有効性を示した。エポジェンはアムジェンの大型成長製品となり巨大企業に成長する。まさに宮家隆次氏の業績はバイオテクノロジー黎明期の金字塔であったが、日本ではほとんど顧みられず、2018年亡くなった。😷🐱🐶📡🛰🏢🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「いいモノ語り:このこのごはん、「ペット」と呼ばないで」から

2023.4.5  日経産業新聞の記事「いいモノ語り:このこのごはん、「ペット」と呼ばないで」から

空前のペットブームの背景にあるものは

コラムの著者 岩永 嘉弘氏(日本ネーミング協会会長)は、いつもの柔らかい口調で最近のトレンドのネーミングについて語っている。

○家族化するペットに対する意識も変化

 近隣の奥様の怒りはどこからなのか。「『その犬、なんていうお名前?』なんて聞くのよ。失礼よね。うちの子をなんと思ってるのかしら、まったく」といった言葉。つまり、この子は「犬」ではなく、彼女にとっては家族で、「ペット」といっても叱られるとのこと。犬の立場や地位がぐんぐん上がってきて、飼い主と対等に近くなった。つまり、家族の一員である。

岩永氏によれば、空前のペットブームで、その背景に、核家族化、孤独なシニアの増加、若者の晩婚と非婚の傾向が、彼ら(ペット)との同居を促したのではないかと思っている。

岩永氏は「このこのごはん」という自然食材で厳選して作った愛情いっぱいのペットフードに注目した。家族化した彼らに対する私たちの呼び方も激変したという。「うちの犬」や「うちの猫」とかは言わなくなった。つまり「このこ」なのである。

このネーミングには「あなたの「この子」のために愛を込めて作りました」というメッセージが込められている。健康を大切に考え、このこへの愛情いっぱいという。ブランド名「コノコトトモニ」も岩永氏のお気に入りである。🐈🐱🐕🐶🍖🍽👜🏯📗🖥👧👦🛌🏢🕛📈🏢💡⚡️🌍happy01🌳🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:1人の人生、複数社でビールに、顧客との共創が進化」から

2023.3.31  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:1人の人生、複数社でビールに、顧客との共創が進化」から

顧客との継続的に実施できる共創モデルも目指す

 コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)は、顧客との共創モデルの進化が新市場を拡大する好例を示しながら、進化の継続の重要性を説いている。

◯人生のストーリーを味わいながらビール体験

 西川教授は共創モデルの進化に関する好例として、サッポロビールの共創を軸にした事業である「ホッピンガレージ」を紹介している。

2012年に顧客の意見をもとにビールを開発する「百人ビール・ラボ」をSNS上に開設した。3商品が開発され、話題性もあり一般流通にも発売したが、売り上げは減少していった。結果、「参加者全員が作りたいもの」では個性が弱く、さらに年1回ほどの開発では、会員のコミュニティー運営も厳しい状態となっていた。

そこで次の責任者となった同社の土代裕也氏は、継続的に共創が実施できるモデルを模索し始めた。2018年にホッピンガレージを立ち上げ、1人の顧客の企画をもとに個性的な商品を開発し、月1商品の開発を目指した。しかし、新型コロナウイルスの感染が広がり、試飲会も開けず、新たな展開を模索しなければならなかった。土代氏は「ビールではなく顧客の人生ストーリーを深く味わいながら飲めるという『ビール体験』である」ことに気づいた。

魅力的な人物を探し出し、その人生ストーリーを語る中で味わいやパッケージで表現したビールを開発した。ビールをコンテンツと共に届けることでより深くストーリーを味わえる体験を設計し、2年で11商品を開発、隔月で常に新作が届く定期便もスタートさせた。

2023年2月からは、このモデルによるビールを社会全体に広げる「ホッピンフレンズプロジェクト」を開始した。自社だけでなく、提携したクラフトビールの各社が、顧客の魅力あるストーリーを元に独自のビールを開発・製造する。同社はそれらを仕入れ、同じストーリーの自社商品とセットで販売する。顧客はストーリーを楽しみながらビールで追体験でき、ブルーワーにとっては販路が広がる。顧客との共創モデルが1つでは限界も多い。諦めず絶えず見直し、共創モデルの進化を止めないことが重要である。🍻🍺🥤💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:生成AIの破壊力」から

2023.3.22  日経産業新聞の記事「SmartTimes:生成AIの破壊力」から

今後は道具として使いこなす指示力と採用するかの判断力が必要

コラムの著者  栄籐 稔氏(大阪大学教授)は、ChatGPTで話題になっている生成AIについて、その本質と留意すべき点について語っている。

○今の生成AIは人間のレベルにはない

 栄籐教授によれば、自らが関わったLINE社で2年前に生成AIに出会い、その後実用化段階になったことで話題になっているという。

さらに、栄籐教授は自ら実験的に次のようなことを行なって生成AIの実力を説明している:

  • 以下の文をコンピュータに入力してみる:

「200文字の報道発表文章を書いてください。キーワードはタイムマシン、未来旅行、競馬の予想、宝くじが当たる」

  • すると、コンピュータは生成AIによって次のような文章は返してきた。

「タイムマシン開発社は未来旅行による競馬の予想技術を開発しました。これにより、将来的に競馬のレース結果を知ることができ、宝くじにも当たる可能性があります。これは、タイムトラベル技術の進化により、科学的に可能になったものです。今後も、さらに多くの分野にタイムトラベル技術を活用し、人々の生活を豊かにすることを目指します」

栄籐教授は、自分の書きたい空想記事をコンピューターが自動生成してきたと語っている。

では、その仕組みはどうなのか。

  • まず人間がインターネット上にある「有用な」文章を大量に「うまく」選んでコンピューターに入れ、文字の順序を学習させる。つまり、これは、文書を自動生成するプログラムを作ることを意味する。
  • できたプログラムをさらに人間との会話に適した文章を生成するように訓練する。つまり、訓練によってプログラムが人間の論理的思考を模倣するようになる。

だが、現時点の生成AIは過去の記録された文章を学習して確率的に発生する文言の連鎖を表層的に学習しているに過ぎない。だから、明日の天気もわからないし、突然の事故発生で対応して出動できる消防士にもなれない。

しかし、過去のデータを使って道具として有用なことは多いという。例えば、プログラミング、仕様書や報告書の作成、翻訳、音声書き起こしが生成AIで劇的に効率化されるという。文書には各社の内規や独特の言い回しがあるが、それをコンピューターが学習すれば、多くの定型的な文書の作成は簡単なコンピューターへの指示で自動化できる。

そこで生成AIに対して人間側が必要なものが、道具として使いこなす指示力と生成AIの著作を採用するか否かという判断力が求められる。宿題を誰がやったかの真贋判定よりも、当人のコンピューター以上の文章が書ける能力が問われるだろうと栄籐教授は示唆している。📓♨️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:半導体、『薄給』の失敗を繰り返すな」から

2023.3.7  日経産業新聞の記事「眼光紙背:半導体、『薄給』の失敗を繰り返すな」から

台湾積体電路製造(TSMC)の初任給のレベルは

コラムの著者によれば、熊本県で工場建設を進めている半導体ファンダリー大手のTSMCが2022年春に提示した大学生、大学院生の初任給が話題になったという。

○日本の半導体産業の衰退の一因に技術者の待遇軽視がある

熊本工場を担うJASM(熊本市)の募集では、23年春入社見込みの大学卒が28万円、修士が32万円、博士が36万円というもので、日本国内企業の賃上げニュース以上の額であったという。

ただ、これはあくまでも日本国内の水準で、世界水準では低い。工場誘致に投資すること以上に、技術者の待遇改善に取り組まねば過去の失敗を繰り返すことになる。

その過去の失敗とは、かつて隆盛を誇った日本の半導体産業のことである。国内半導体産業が衰退した要因は、日米半導体協定や継続的な投資不足など要因に加え、技術者の待遇軽視も大きな要因であった。日本の優秀な技術者が高給で海外メーカーに引き抜かれたり、休日にこっそり技術指導に海を渡ったりしたことが当時話題になったが、日本企業の待遇の低さが背景にあった。

当時の日本は米国に次ぐ経済大国で世界的にみても平均的な給与水準は高かったという。それでも技術者への待遇は見劣りしていた。

半導体のみならず、量子技術やAIなどの先端産業も同じ失敗を繰り返してはならない。👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸🇹🇼