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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ものづくり大国の核心、製品付帯サービスの強み」から

2023.7.7  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ものづくり大国の核心、製品付帯サービスの強み」から

日本製品の強みは購買時の品質が購買後も続く点

日本の海外でのイメージが高品質で、自動車や家庭電化製品、事務機器などの販売に良い影響を与えてきたが、コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)は、イメージの根源について考察している。

◯グローバル・マーケティングで重要なカントリー・オブ・オリジン(COO、原産国)効果

 西川教授によれば、COO効果は製品にプラス、時としてマイナスの効果を与えるという考えである。例えば、おしゃれなイメージのあるフランスの化粧品は世界でよく売れ、品質を作り込む印象の強いドイツ車も世界でよく売れる。日本もドイツと同様に、高品質のイメージがあり、自動車や家庭電化製品、事務機器などを世界で販売し、ものづくり大国と呼ばれてきた。

欧州の消費者に日欧米9カ国の製品のイメージを尋ねた調査(ウィルキンソン1992)では、日本はドイツについで高品質のイメージで、アジア主要14都市での調査(博報堂2012)では日本製品は欧米の製品よりも高品質のイメージであったという。

この高品質のイメージはどこからきているのかを考察しているのが三浦教授である。高度経済成長の対米進出以来、自動車なら燃費や馬力、テレビなら解像度などの基本機能が日本製品が優位であった点もあるが、もう1つ言われてきたのが「耐久性(壊れない)」ことがあるという。米国では修理に時間がかかることもあり、壊れない日本製品は歓迎されたという。

30年前の各国製品のイメージ

(数字は9カ国中の順位、欧州の消費者を対象に調査、出典:ウィルキンソン1992)

イノベーティブ (1)日本(2)米国(3)ドイツ
高品質 (1)ドイツ(2)日本(3)フランス
安全 (1)ドイツ(2)英国・スウェーデン(4)日本・米国
ファッショナブル (1)フランス(2)イタリア(7)日本
楽しい (1)フランス(2)イタリア(3)スペイン(7)日本
安物 (1)スペイン(2)日本(3)イタリア

消費者にとって製品の品質は、購買時と購買後の2つがあるという。購買時の高品質が購買後もずっと継続することが重要だというわけである。日本製品は壊れにくいだけでなく、壊れた際の修理サービスが迅速で保証も充実し、お客様窓口サービスもしっかりしている。日本国内ではあるが、2003年のgoo調査で日本製品を選択する理由として、自動車とPCでは1位が「サービスやメンテナンス」で2位が「性能」であったという。

日本の高品質のイメージは、購買時の品質が高いだけでなく、購買後も品質を維持するサービスなどの製品付帯サービスの力が大きかったのである。日本のものづくり大国の再強化のヒントはこのあたりにもありそうだ。📠📺🚕🚗💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵🇩🇪🇺🇸🇫🇷


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「いいモノ語り:ヒツジのいらない枕、もう数えなくても大丈夫」から

2023.7.5  日経産業新聞の記事「いいモノ語り:ヒツジのいらない枕、もう数えなくても大丈夫」から

寝付きの追求からわかった「安眠は寝返りがカギ」

コラムの著者 岩永 嘉弘氏(日本ネーミング協会会長)が取り上げるネーミングが優れた商品は、「ヒツジのいらない枕」(発売元、太陽=東京・目黒区)で、「眠りへのロマン」を掻き立てるネーミングを評価している。

○童話的、文学的なネーミングでベットでの眠りへのロマンを提供

 岩永氏によれば、この商品のネーミングは、村上春樹氏の「羊をめぐる冒険」ではないが「眠りをめぐる冒険」という寝「モノ語り」で、コラムのタイトルにぴったりとのこと。童話的、文学的で、なつかしいベッドの眠りへのロマンを引き出すという。

ネーミング以外のこの商品の機能も優れているという。寝返りのしやすさと寝付きとの関係をとことん追求して、遂に2秒で寝落ち、という記録を打ち立てたという優れもの。つまり、寝付きは寝返りのしやすさが鍵で、これを実現するために、枕の表面の格子点を増やした。格子点を増やすと頭部を置くことでの圧力が分散され、包み込まれるような感覚とスムーズな寝返りができるようになったという。素材のきめ細かい三角格子構造で、卵を手で押し付けても割れないほど圧力が分散されるという。😴💤🛌🐏📚📗🖥👧👦🛌🏢🕛📈🏢💡⚡️🌍happy01🌳🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:電源レスIoTカメラ、工場から農場まで応用広く」から

2023.6.30  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:電源レスIoTカメラ、工場から農場まで応用広く」から

現場監視での用途が広く

 コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)が紹介しているのは、スタートアップ、LiLz(リルズ、沖縄県宜野湾市)が開発したIoTカメラ「リルズゲージ」で、電源レスなIoT機器での応用の広さを説明している。

◯フル充電で1日3回の撮影が3年間継続可能

 西川教授は、この仕様であれば計測器監視以上に多くの応用が考えられると述べている。同社が手掛けたのは、製鉄・化学プラントや発電所などで計器の日常点検を支援することであった。

計器点検の87%は監視員が巡回して目視で行い、熟練者の5感に頼っているという。そこで、計器の数値を自動で読み取り、ネットワークを使ってデータ管理できるIoTカメラは、同社以外にも存在する。だが、多くの現場は電源がなく、取り付けるには新たに電源工事をしなければならない。充電式もあるが、数十日で再充電が必要で手間もかかる。

こうした中で、このような仕様は待機電流を極力抑え、小さな電力で撮影できるIoTカメラを同社が開発した。また現場での再充電で固定位置がズレないマグネット接点での充電式とした。カメラは約10万円であるが、携帯電話回線の1台月額数千円で利用できる。すでに250社に3500台を提供している。185台を設置したある施設では、日常点検にかかる時間を以前より70%減らせ、計測値を転記する作業を大幅に削減できたという。

現場に電源がないのは、計測機器周辺だけではなく、駐車場の混雑や河川の水位、農作物の色づき、害獣のわななど応用が広い。🕧🕒🕜💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:岸田首相の大盤振る舞いの影で」から

2023.6.26 日経産業新聞の記事「眼光紙背:岸田首相の大盤振る舞いの影で」から

デモンストレーションの後で

5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の開幕前日、岸田文雄首相が首相官邸に世界有数の半導体企業を招き、政府が支援をしているというアピールとデモンストレーションを行なったという。コラムの著者は約1か月後の米マイクロン・テクノロジーのレイオフが本国では日常茶飯事であるが、補助金の原資である税が使われていることに納税者として納得いかないと述べている。

○日本政府の半導体産業支援のデモンストレーションとは裏腹に

コラムの著者によれば、首相官邸に招待されたのは米インテル、台湾積体電路製造(TSMC)、韓国サムスン電子などの首脳で、日本政府がTSMC熊本工場へ4760億円の補助金を出すといった巨額の半導体支援を行なっていることをアピールするデモンストレーションであった。

さらに首相のお膝元である広島県東広島市に工場を構える米マイクロン・テクノロジーで、官邸訪問にあわせて、同社のCEO、サンジェイ・メロートラ氏も今後数年間で広島工場に最大5000億円を投資すると発表した。デモンストレーションの演出効果は最高潮であったという。

問題は約1か月後に起こった。関係者によれば、マイクロンは5月に工場従業員の約3700人の10〜15%相当の数百人規模の人員削減を実施。地元のハローワークあが5月末に同市内で開催した失業者対象の相談会には100人以上が訪れ再就職への不安を示したという。

同社広島工場は昨年発表した設備増強で465億円の補助金を要求しており、さらにサミットで公表した5000億円の投資に対しては2000億円の補助金を求めているという。業績に応じたレイオフが日常茶飯事である米企業には罪悪感はないだろうが、日本の納税者は補助金の原資が税であることから納得はできるだろうか。💴📈📉🔍✏️📖💡💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:非ファブレスの強み」から

2023.6.13  日経産業新聞の記事「眼光紙背:非ファブレスの強み」から

利益率の高いファブレスにも弱点が

コラムの著者は、世界シェアで欧州の2社の後塵を拝してきたジャパンエンジンであったが、5月に4年ぶりに愛媛県今治市で開催された国際海事展「バリシップ」でそのエンジンの評判が高かったという。非ファブレスである同社の強みとは何か。

○大型船舶用エンジンを開発する会社は日欧の3社のみ

コラムの著者によれば、世界で大型船舶用ディーゼルエンジンを開発しているのは日欧の3社のみだという。独国のMANエナジー・ソリューションズ、スイスのウインターツール・ガス・アンド・ディーゼル(WinGD)、そして日本のジャパン・エンジンコーポレーションの3社である。

欧州2社は設計・開発のみ行うファブレスでエンジンメーカーにライセンスを供与している。一方、ジャパン・エンジンは三菱重工業の船舶用ディーゼルエンジン事業と神戸発動機を統合し2017年に発足した。ライセンス供与も行うが、自らもエンジンを生産しているところもあり非ファブレスであるところが特徴である。

確かに欧米のファブレス方式は利益率が高いことから、日本の製造業は遅れをとっていると言われてきたが、必ずしもそうでもないのがこのジャパン・エンジンの事例だという。バリシップで好評を得た新型エンジンは、燃費性能が素晴らしく、中国の内航コンテナ船で採用が相次いだという。その背景に、ジャパン・エンジンの幹部の言葉を引用して「ライセンスの供与によるブラックボックスがない上に、自社生産であるため改善点をすぐに反映できる」ことが強みのようだ。日本の製造業は後れているとは言われるが必ずしもそうでないことを示している。🧑‍🔧🚢🎓🔍✏️📖💡💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡happy01🌏💡🔎🇯🇵🇨🇭🇩🇪