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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

2024.11.15  日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

学業や賃金に影響を与える「ショック」を利用して長期的スマホ利用の経済的影響を研究

世界的に多くのの国や地域で、未成年者のスマートフォンやネットゲームの利用すべきかどうか議論になっている。コラムの著者 渡辺安虎氏(東京大学教授)は、規制の是非や根拠を考える前に、スマートフォンの過剰な利用が利用者にどのような影響を与えるかを理解すべきだと言う。渡辺教授は、最近の米ウィスコンシン大学マディソン校と中国の経済学者が共同で発表した研究に注目しているという。

○スマートフォンの長期利用が成績を下げることは確認できた

渡辺教授氏によれば、この研究では、中国の大学生のスマートフォン利用データを取得し、個々の学生の授業出席や成績との関係、さらに将来の就職や賃金まで結びつけたデータを作成し、分析を行った。

分析の際に考慮しなければいけない点がある。学業や賃金に及ぼす影響を考える時、「逆向きの因果」と呼ばれる問題が発生することだと言う。スマートフォン利用の学業に及ぼす影響を測定したいも関わらず、逆に学業がうまくいかないからスマートフォンの利用時間が増えるという影響をとらえかねない。

こうした問題を解決するために、この研究では、学業や賃金に直接影響せず、スマートフォン利用を通じてのみ学業や賃金に影響を与える「ショック」を活用している点である。この研究では世界的大ヒットゲーム「原神」のリリースと中国政府による未成年者のゲーム導入規制を「ショック」として利用して、統計的因果推論を行なっている。

結果として、スマートフォンの長期利用が成績を低下させているということは確認できたという。興味深いのは、その影響の半分以上が友人からの間接的効果だという結果である。若年層のスマートフォン利用は、友人関係と想像以上に強い関係であることがわかり、また、成績低下は授業への遅刻や早退とも強い相関を示した。

さらに就職後の賃金も低下させており、大学生に週3時間のゲーム規制を実施すれば、約1%賃金が上昇すると試算している。スマートフォンのヘビーユーザーほどメンタルヘルスが悪く、就職の出願数も低下し、仕事に不満を持つこともわかったという。

今後も利用場面ごとに規制の是非やその具体的な形について議論が続くと渡辺教授はみている。これらの研究を集め蓄積し、具体的なデータやエビデンスに即した議論を行う必要があると示唆している。🛜📱📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇨🇳🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<ゲームのトビラ>『サウジにエンタメ都市』、eスポーツ中心地に」から

2024.10.5   日本経済新聞の記事「<ゲームのトビラ>『サウジにエンタメ都市』、eスポーツ中心地に」から

サウジアラビアの国家プロジェクト「キディャ・シティ」の狙い

コラムの著者 野安 ゆきお氏(ゲームライター)は、サウジアラビアで進んでいる巨大なゲームに関するプロジェクトを紹介している。9月26日〜29日に開催されたゲーム関係の見本市「東京ゲームショウ2024」で会場最大級の大型ブースで出展した「Qiddyya Gaming (キディャ・ゲーミング)」がその巨大プロジェクトの紹介である。

○中東文化を背景にしたゲームが誕生

野安氏によれば、巨大ブースでサウジアラビアが国家をあげて推進しているプロジェクト「キディャ・シティ」が紹介されていたという。エンターテイメント、スポーツ、そしてカルチャーをテーマに、遊びに特化した都市を、首都リアドの近くに新造する計画のプロジェクトである。

その規模はとてつもなく巨大で、東京23区の半分強で総面積360平方キロメートルである。モータースポーツのスピードウェー、ゴルフコース、さらに複数のテーマパークを建設し、2030年までに年間1000万人の観光客を誘致することを目指しているという。さらにこれだけの規模であれば大きな雇用が生まれ、60万人の居住者を見込んでいる。日本の大学を中核とした学研都市の大規模版である。特筆すばきは桁外れの規模のeスポーツ用アリーナの建設で、世界の中心となる可能性が高いという。

野安氏はゲームファンにとっては朗報で、歓迎したいという。しかもプレーヤーは全世界に広がっており、世界的にヒットを生み出せる企業は北米、欧州、日本を含む東アジア圏で偏っている。ここ中東で、ゲームを中心としたビジネスが発展し、若年層を刺激すれば、欧米や東アジアと異なった、中東文化を背景にする斬新なゲームが生まれる可能性が高いという。🎮👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇨🇳🇸🇦🇩🇪🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<直言×テクノ新世>情報中毒から理性守れ」から

2024.8.11 日本経済新聞の記事「<直言×テクノ新世>情報中毒から理性守れ」から

理性を用いれば正しい道が歩めるという前提が崩壊しはじめている

ソーシャルメディア、アルゴリズム、AIなどICTは恩恵と同時に様々な社会てきな課題を生んでいる。コラムの著者 ジョセフ・ヒース氏(カナダ・トロント大学教授、哲学者)は、合理的なはずの人間が時として非合理的な行動をとるメカニズムを考察してきた。そこで、コラムでは対話形式でテクノロジーとの対峙について処方箋を聞いている。

○高邁な理念の背景にはしたたかな資本主義の論理がある

ヒース教授によれば、トランプ前米大統領のような政治家が台頭したり、新型コロナウイルスの感染が広がってきた時にデマや陰謀論が流布したことを見ると、人間は理性的な存在であるという前提であった近代社会の主軸が崩れはじめているのは事実であるという。

ちょうどそれは20世紀半ばのロックスターのジレンマに似ているという。ロックスターは反体制のメッセージを発することで人々の支持を集めるが、反権力・反資本主義のメッセージが支持されるほど、本人はどんどん権威化し、資本主義社会の勝者になるという矛盾が生じる。結局、当時のカウンターカルチャーは美化され、何一つ理想を実現できず、強欲な資本主義を強化することにつながった。

ヒース教授によれば、見かけの上で資本主義は変わったように見えるが、対象が地球環境にやさしいという環境保護などが餌食となり、ロックスターと同様な構造が再度起こっている。つまり、高邁な理念の裏のはしたたかな資本主義の論理が働き続けていることである。

テクノロジーも善悪ではなく、受け止める人間に課題がある。多くの資本主義を動かす企業は、個人の社会生活に介入し、人間に考える時間や注意力をも犠牲にしはじめている。つまり、集中力を欠き、刺激に身を委ねるだけで熟考の習慣を失った人々はやがて、非合理的な判断に陥ることになる。思考停止、他者への攻撃的な態度、そして摩擦と分断がおこる。ICTがもたらしたこういった状況は、今や正気を失っているとヒース教授は指摘している。

人間は素晴らしい合理性を発揮する一方で、とんでもない集団的不合理にも陥りやすい。理性の力を手放さず、いかに正気を保ち続けるかがヒース教授によれば現代社会の最大の課題だと指摘している。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇨🇦


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「社説:主要国並みのサイバー防御で安全高めよ」から

2024.6.13  日本経済新聞の記事「社説:主要国並みのサイバー防御で安全高めよ」から

現代の戦争は物理的な攻撃とサイバー攻撃が同時並行で発生

ロシアのウクライナ侵攻などで浮き彫りになった物理的攻撃に対する防御とともに安全保障上重要になっているのが、能動的サイバー防御をめぐる議論である。社説の著者によれば、相次ぐサイバー攻撃から重要なインフラストラクチャーや国家機密を守る問題意識が浮上しており、有識者会議で能動的サイバー防御について議論を進め、西側主要国の中でも立ち遅れた体制を急ぎ、国民の安全と安心を高めるべきだとしている。

○憲法21条の「通信の秘密」との整合性、政府機関への権限付与とその行動の監視の議論も重要

社説によれば、能動的サイバー防御とは、日本政府が平時から外国からの通信を監視するなどして攻撃の兆候を探り、危機が発生すると判断すれば、攻撃を無力化する措置をとることだという。能動的サイバー防御は事案が発生してからでは被害の拡大が防ぎきれないこともあり、危機を未然に防ぎ、国民の暮らしや命を守ることが目的だという。

電力や金融などの社会インフラストラクチャーが麻痺したりすれば社会は大混乱に陥る。すでにサイバー攻撃を受けた事案が国内にもある。攻撃の頻度も過去10年で35倍に増えたとの指摘もあり、手口の巧妙化も進み、脅威が増大している。

ウクライナ戦争でも物理的な攻撃とサイバー攻撃を同時進行で発生させるのが常套手段となってきている。サイバー面の防御を固めるのも安全保障上の必須要件である。すでに、米国や英国、オーストラリア、ドイツなどの西側先進国もサイバー防御の強化に力を入れてきている。東アジア情勢の緊迫化に直面する日本も各国並みに体制を整える必要があるという。

有識者会議の主要議題の1つが通信情報の活用である。悪用の疑わられるサーバーやサイトを検知するには、通信網における不審な交信に目を光らせることが有効であるとされている。このような交信の監視と憲法21条の「通信の秘密」とどのように整合を取るのかが問題である。外部の攻撃から国民を守るという「公共の福祉」のために通信の秘密が一定程度、制約される可能性もあるという。もちろん、日本政府の監視は、必要最低限度に絞り、人権やプライバシーの保護を遵守する歯止めも必須であろう。米国や英国に倣い、政府の挙動をチェックする独立機関の設置も必要であろう。💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇬🇧🇦🇺🇩🇪


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「春秋:人間、機械を問わず大量の『作られた声』」から

2024.5.28  日本経済新聞の記事「春秋:人間、機械を問わず大量の『作られた声』」から

人の声は他者を楽しませ、安心させ、励ます力を持つからこそ

コラムの著者が立命館大学教授のグレーヴェ・グドウルン氏の研究テーマ、日本の「声」の文化に焦点をあて、今社会的な問題となっている生成AIによる音声合成について考察している。

○合成音声が自分の声に酷似していると訴えている米国の女優、スカーレット・ヨハンソン氏

グドウルン教授によれば、日本の「声」の文化は欧米とは異なっているという。日本語の聲(こえ)は楽器の音が耳に届く様を表しているという。対して英語やフランス語の語源は「よびかけ」で、ドイツ語には「票」の意味もあるという。つまり、欧米では声自体より声の主に重点を置き、日本語は声の音に重きを置く。

また、日本では大量に音声が使われている。デパートや野球場、選挙カーのアナウンス。家電を操作すれば、機械を通して細かい確認や指示をしてくれる。必要不可欠なものもあるが、利便性の向上が狙いのようだ。つまり、日本では、人間、機械を問わず大量の「作られた声」を日々聞いていることになる。

その「声」が生成AIの時代で問題となっている。米オープンAI社のChatGPTの音声機能の声が、自分の声に酷似していると、米国の俳優、スカーレット・ヨハンソン氏が同社を訴えている。彼女によれば「親しい友人でもわからないほど、不気味なくらい似ている」と、スカイと名付けられた問題の合成音声を聞いて「衝撃、怒りを感じた」という。まるで体の一部を奪われたように感じたのであろうと、コラムの著者は推察している。

声は他者を楽しませ、安心させ、励ます力も持っている。ある意味で声は一人一人の個性でもある。AI時代に個性の1つである声の扱いを慎重に、敬意をもって扱う必要がありそうだ。💬📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸